AH-1Z ヴァイパー

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

AH-1Z ヴァイパー(AH-1Z Viper)は、ベル・ヘリコプターアメリカ海兵隊向けに開発した双発攻撃ヘリコプターである。ベル AH-1 コブラシリーズの最新派生型であり、AH-1W スーパーコブラの後継機として位置づけられている。愛称の「ヴァイパー」(Viper)は、マムシを意味する。

開発[編集]

AH-1Zの開発は、アメリカ海兵隊のH-1アップグレードプログラムの一環として開始された。このプログラムは、AH-1WスーパーコブラとUH-1N ツインヒューイを、それぞれAH-1ZとUH-1Y ヴェノムにアップグレードすることを目的としていた。共通性の高い機体構造とシステムを採用することで、運用コストの削減と整備性の向上を図っている。

AH-1Zの原型機は2000年12月8日に初飛行した。広範な試験と評価を経て、2010年9月30日に初期運用能力(IOC)を獲得した。

機体[編集]

AH-1Zは、AH-1Wの胴体構造を大幅に改良し、新しいローターシステム、エンジン、アビオニクスを搭載している。

ローターシステム[編集]

メインローターは、AH-1Wの2枚ブレードから、複合材料製の4枚ブレード・ヒンジレスローターシステムに変更された。このシステムは、AH-1Wと比較して振動を低減し、飛行性能と生存性を向上させている。テールローターも4枚ブレードとなっている。

エンジン[編集]

エンジンは、AH-1Wのゼネラル・エレクトリック T700-GE-401Cを2基搭載している。これはUH-1Y ヴェノムと共通である。

アビオニクス[編集]

コックピットは、多機能ディスプレイを備えたグラスコックピットとなり、パイロットの状況認識能力を向上させている。最新の統合アビオニクスシステムと兵器システム管理システムが搭載されている。機首には、目標の探知・追跡を行うためのFLIR(前方監視赤外線装置)/TVセンサーシステムが装備されている。

武装[編集]

機首には、M197 20mmガトリング砲が装備されている。翼端には2つのスタブウイングがあり、それぞれ3つのハードポイントを備えている。これにより、以下の武装を搭載可能である。

運用[編集]

AH-1Zは、アメリカ海兵隊の航空支援任務において、近接航空支援武装偵察護衛などの任務に従事している。UH-1Y ヴェノムとの共通性が高いため、整備や兵站において効率的な運用が可能となっている。

比較[編集]

AH-1Zは、その高い能力と多用途性から、他国の攻撃ヘリコプターと比較されることが多い。特に、AH-64 アパッチユーロコプター ティーガーなどと比べられることがあるが、AH-1Zはアメリカ海兵隊の強襲揚陸艦からの運用を前提とした設計が特徴である。

仕様[編集]

  • 乗員: 2名(パイロット1名、副操縦士/砲手1名)
  • 全長: 17.75 m (58 ft 3 in) (ローター回転時)
  • ローター直径: 14.63 m (48 ft)
  • 全高: 4.37 m (14 ft 4 in)
  • 空虚重量: 5,579 kg (12,300 lb)
  • 最大離陸重量: 8,390 kg (18,500 lb)
  • エンジン: ゼネラル・エレクトリック T700-GE-401C ターボシャフトエンジン × 2基
    • 出力: 1,800 shp (1,342 kW) (各エンジン)
  • 最大速度: 411 km/h (255 mph, 222 knots)
  • 巡航速度: 296 km/h (184 mph, 160 knots)
  • 戦闘行動半径: 231 km (144 mi, 125 nmi)
  • フェリー航続距離: 685 km (426 mi, 370 nmi)
  • 実用上昇限度: 6,100 m (20,000 ft)

豆知識[編集]

AH-1Zは、その高い機動性と武装能力から「ゾロ」(Zulu)の愛称で呼ばれることもある。これは、Z型であることに由来する。

関連項目[編集]

カテゴリ[編集]