牙人
ナビゲーションに移動
検索に移動
概要[編集]
『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に1984年4月13日号、同年5月18日号、同年11月16日号に掲載されたが、未完である。3話とも単行本『ブッキラによろしく!』2巻に収録されており、『手塚治虫漫画全集』でも308巻「ブッキラによろしく! 2」に収録されている。「さらばアーリィ」、「大地の顔役バギ」を併録した秋田文庫版『牙人』が1999年に刊行されている。
登場人物[編集]
- 牙人(きばんど)
- アマゾンの奥地でピューマに育てられた狼少年ならぬ「山猫少年」。人間にはまったく懐かなかったが、なぜか富通野にだけは懐いたため、日本に引き取られることになった。
- 身体能力は高く、地震の予知のようなことも行った。
- 人間の言葉は理解できているようであるが、自分から言葉を発っすることはほとんどない。
- 1話の最後で、並子に向かって「ねーさん」、2話の最後で「アイシテル」(救出した社長息子が怪我した牙人に言い続けた言葉)と言っている。
- 2年が経過した3話では普通に話せるようになっている。
- 富通野(ふつうの)
- 村井警部がキャスティングされている。
- 刑事。牙人を引き取る。
- 富通野には猫のようなヒゲが生えており、顔に親しみがあったため牙人が懐いたのではないかと言われている。
- 団地暮らしをしており、妻には逃げられている。
- 富通野 並子(ふつうの なみこ)
- 富通野の娘。母親がいないため富通野家の家事を担っており、牙人に普通の生活ができるよう苦労している。
- 次第に牙人を異性として意識するようになる。
各話[編集]
風紋[編集]
『週刊少年チャンピオン』1984年4月13日号掲載。
- あらすじ
- 短機関銃で武装した凶悪犯たちが人質を取って立てこもる事件が起きた。マスコミは無責任に機動隊の突入などを進言するが、状況から警察は手を出せないでいた。
- そこへ木から木を飛び移って突入した1人の少年は、目にも止まらぬ速さで犯人たちをやっつけた。その少年は富通野刑事がアマゾンで出会い、引き取った山猫少年であった。
- いったんは捕まった凶悪犯たちであったが、1人は麻薬中毒であり心神喪失状態にあったとされて入院措置になった。麻薬を求め病院を脱走し、売人の男へ詰め寄った凶悪犯だったが、逆に銃殺されてしまい、近くの砂浜に埋められた。発砲音の通報によって、富通野刑事らがやってきた。砂浜は風紋になっており、死体を見つけることができない。富通野の後をつけてきていた牙人が野生の勘で犯人の死体を見つけた。
暗黒のドラマ[編集]
『週刊少年チャンピオン』1984年5月18日号掲載。
- あらすじ
- 地震が起き、製薬会社社長の息子が下水道に流された。その捜索に富通野刑事は牙人を起用。牙人は下水道で社長息子を見つける。
- そこへ会社乗っ取りを企む専務一派が拳銃を手に現れ、牙人と社長息子を殺害しようとする。社長息子を下水に突き落としたのも専務であった。
- 専務一派を殺害した牙人は銃創を負いながら、社長息子を担いで脱出した。
アマゾンの匂い[編集]
『週刊少年チャンピオン』1984年11月16日号掲載。
- あらすじ
- 牙人が富通野家に引き取られて2年が経っていた。
- 「アマゾンの匂い」を感じた牙人が、匂いの元であるトラックに乗りこむと、そこにはピラルクの入った水槽が積まれていた。搬送先は伊笠間水族館だったが、伊笠間水族館はこれまでにピラルクを何匹も輸入しては直ぐに死なせてしまっていた。牙人はピラルクを奪って川へ逃がしたが、ピラルクは淡水魚のため海へは逃げず、川を遡上する。水族館の館長が血眼になってピラルクと牙人を追った。館長はピラルクに宝石を呑ませて密輸入を行っていたのだった。