ハンドガン
ハンドガン(英:Handgun、日:拳銃)とは、本来は「携行可能な銃砲」の意味であったが、現在ではもっぱら「片手でも銃弾を撃てるように設計された、小型の銃」をいう。
現行のハンドガンは回転式のリボルバーとオートマチック(自動拳銃)とデリンジャーに分類される。
なお、火薬を使用しない拳銃(エアピストルやビームピストルなど)については当該項目を参照されたい。
歴史[編集]
初期の拳銃は専ら前装式(先込め式)であり、火縄銃でも使用されたマッチロック式や火打石を使用するフリントロック式が主流であった。また、この時代は拳銃と長物、銃と砲の区別は明確なものではなかった。その後、コルト・M1851のようなシリンダー部分から黒色火薬と弾丸を入れ、ローディングレバーで弾丸を圧入し、ニップルにプライマー(雷管。「キャップ」とも)を嵌め込むパーカッション式リボルバーが普及した。リボルバー型の連発銃は、構造的に長物には不向きであり、銃が連発式になったのは拳銃の方が先である。パーカッションロック式はマッチロック式やフリントロックよりも不発の可能性が低く、点火から発射までのタイムラグも少ないが、カートリッジ化された銃弾が使用されるようになると姿を消した。
用途[編集]
拳銃は射程距離が短く、小銃や散弾銃を相手に銃撃戦をするのは無理だが、メインアームが弾切れや故障などで使用できなくなくなった場合、サイドアームとして使われる、戦地において丸腰にならないという安心感から今もなお携行される場合が多い。日本軍では、拳銃は自殺用と考えられていた。また、不時着した軍用機や、パラシュート降下した搭乗員の護身用には適した武器である。
一方、室内などの狭い空間での作戦を前提とした特殊部隊などではメインアームとして使用されることもある。室内でライフルは取り回しが悪く、より小回りの利く拳銃やPDWが用いられることが多いためである。
民間用途としては狩猟用や射撃競技用としての利用がある。日本で拳銃は狩猟用として所持することはできないが、アメリカでは大型獣との不意の遭遇や獲物に合わせた弾丸を使用するために拳銃が使われるケースがある。また、射撃用途では22LR弾との組み合わせで使われることも多い[1]。
日本における拳銃[編集]
日本においては拳銃の所有は厳しく制限されており、警察官等、職務遂行上必要な職業に就いている者に貸与されるほか、射撃競技を目的として50人が所持を許可されている[2]。
日本の執行機関で調達されている拳銃は国内でもいくつかのバリエーションがあり、制服警察官は主にリボルバーであるS&W M360J、通称「サクラ」や制服警察官などに貸与されるSIG 230Pなどが、自衛隊は9mm拳銃(SIG 220Pのライセンス生産品)などがある。
著名なハンドガン[編集]
「ルパン三世」の「ワルサーP38」ほか、「名銃」として知られる拳銃は多くある。
長らくニューナンブM60は日本警察のサイドアームとして親しまれており、S&W M37への更新の際に精度がM60より悪いとしてのメーカー担当者を本国から呼びつけたのは有名な話である。また、コルト・M1911は設計から100年を経過してなお根強い人気があり、45口径のストッピングパワーやその信頼性の高さからアメリカの魂とまで評される名銃である。独自のセイフティシステムとポリマーフレームを搭載したグロック17やそのシリーズは今や世界各国の執行機関に納入されており名銃と呼んでも差し支えはないだろう。
関連項目[編集]
- ↑ なお、22LR弾は意外に強力で、軍用のヘルメットでも貫通するくらいの威力はある。007シリーズの「カジノ・ロワイヤル」だと思ったが、暗殺用か何かでAR7(.22)が使われていた場面があったように思う。米国の一部の州では13歳の誕生日プレゼントにAR7を与えたという話もあったという。射撃競技用に使われるのは殺傷能力が低いというわけではなく、射撃音が他の弾薬より相対的に小さく、また反動が少なく扱いやすい弾薬であり、なにより精度と価格のバランスに優れているためであるのだが
- ↑ 許可されているといっても競技銃は警察において管理され、実射を伴う練習や試合のときのみ持ち出しが許可される厳しいものである。なお、当然ながらほとんどの競技銃は自腹で購入する