大松右京のラプソディ
「大松右京のラプソディ」(おおまつうきょうのラプソディ)は、手塚治虫による短編漫画作品。
『漫画サンデー』(実業之日本社)の1973年8月15日号に読み切り掲載された。
タイトルにある「大松右京」なる登場人物は作中には登場しておらず、本作のエピローグにも「タイトルと本文には何の関係もありません」とある。これは当時、小松左京の小説『日本沈没』、および小説を原作とした映画、テレビドラマが流行しており、本作はそのパロディといった面もある。
手塚治虫漫画全集などの単行本には長らく採録されておらず、「幻の作品」とも呼ばれていたが、2019年に刊行された『ばるぼら〈オリジナル版〉』(小学館)、2023年に刊行された『手塚治虫大人漫画大全』(国書刊行会)に収録された。
あらすじ[編集]
日本は、どこも人間で満杯。通勤列車は殺人的な通勤ラッシュ、コインロッカーには捨て子のラッシュ。
本作の主人公・フースケ[注釈 1]は相変わらず女にもてない。フースケが1人で観光ホテルに泊まったところ、そのホテルも観光客で満杯で「1人で1部屋なんてずうずうしい」とホテル従業員に嫌味を言われる始末。ホテルに嫌気がさして、海辺の神社で寝たところ全裸のイザナミノミコトが現れる。イザナミの言うことには、大八洲国を産んだあと、夫(イザナギ)が浮気をして逃げてしまい、長いこと独り身で欲求不満とのこと。フースケを抱いて満たされたイザナミは、礼としてフースケの願い事をひとつかなえることになった。フースケの願いは「土地が欲しい」。
すると日本全国的に地震が発生し、海底隆起し始めた。富士山は標高5000メートルになり、四国と中国地方とは陸続きとなり、東京は標高1000メートルになった。不動産会社と商社と銀行は、たちまち土地を切り取り奪い合いをはじめ、所有権を主張するフースケはあえなく放り出された。
相変わらず1人寝のフースケの夢枕に臨月のお腹をかかえたイザナミが現れる。膨れ続けた日本列島はパンクし、小さな日本列島が産まれた。
脚注[編集]
外部リンク[編集]
- 大松右京のラプソディ - 手塚治虫公式サイト