伊豆クレイル
伊豆クレイル(いずクレイル、IZU CRAIL)は、JR東日本が運行していた観光列車[1]であり、使用されていた車輛の愛称である。
概要[編集]
小田原駅と伊豆急下田駅間で土休日のみ1日1往復する運用で、全車両グリーン車指定席の快速列車である。根府川付近や伊豆熱川駅と伊豆稲取駅間などのビューポイントでは、徐行運転や一時停止も実施された[1]。
2016年7月16日から2020年3月29日まで運行された。
車両[編集]

高崎線で2014年に651系1000番台が導入され、特急あかぎなどに11両編成で運行されていた。これが余剰車輛となったことで、3編成のうちのOM301編成が国府津車両センターに転属し、伊豆クレイルに改造されることになった。転属および伊豆クレイル改造後はIR01編成となった。
外装[編集]
651系の外装の特徴でもある車体下の金色の細帯を残す形で、白色をメインとした車体に伊豆にゆかりのある「桜」「海風」「さざ波」をピンクゴールドのラインで描いている[1]。
内装[編集]
元の651系からは大きく改造されている。
- 1号車,3号車
- 元の座席は全撤去され、グループ客向けの個室としても使えるボックス席が取り付けられた。
- 1号車の海側には2人用カウンター席、山側には2人用の向かい合わせ席が配置された[1]。山側の席は床面が少し高めになっており、海側の車窓の見やすくなっている[1]。座席のモケットは青色(海側)と緑色(山側)が使用され、木製のひじ掛けも設置されていた[1]。
- 3号車には、4人用コンパートメント席が5室、車イスも置けるスペースが確保された2人用コンパ−トメント席が1室の計6室があり、全室が海側に面していた[1]。これらのコンパーメント席は西伊豆の夕陽をイメージしたオレンジ色の座席モケットとなっており、大型テーブルも配置されていた[1]。山側の通路との間には四季折々にデザインが変わるカーテンの仕切りで通路側からの視線を遮ることも可能であった[1]。
- 乗車には食事とセットでの申し込みが必要だった。
- 4号車
- 元の座席をそのまま活用し、モケット張り替えなど改造規模は少なめ。モケットの配色は海側が青色と山側が緑色で伊豆の海と山をイメージしている[1]。また、一部座席は4名ボックス席になっており、テーブルも設置されていた。
- 特急あかぎで使用していた際には通常座席であったが、伊豆クレイルではグリーン席として設定された。このため、「ものたりないグリーン席」とも揶揄された。また、「青春18きっぷで乗車させないための措置ではないか」と勘繰られることにもなった。
- 指定席券売機で購入することが出来た。
- 2号車
- フリースペースであり、1号車、2号車、4号車の乗客が利用できた。
- 大型のディスプレイが設置され、伊豆の見どころなどを紹介する[1]ほか、無料ライブなどが開催されることもあった。
- 車内にバーカウンター形式での売店があり、お土産、食べ物、アルコール飲料などを販売していた。ベンチ席も設けられていた。
- 1両まるまる売店の車輛というのも、なかなか例が無い。
旅行セット[編集]
上述(#内装)のように4号車座席は日本全国のJR主要駅や旅行会社などで販売するグリーン車指定席券と乗車券での利用が可能であったが、1号車・3号車の座席はびゅう旅行商品として販売された[1]。
稲取温泉、下田温泉、下賀茂温泉などに宿泊するプラン(伊豆クレイルの利用は、往復利用、往路のみ、復路のみの3タイプ)や、東京駅や小田原駅、熱海駅を発着とする日帰りプランなどが用意されていた[1]。
提供される食事(弁当)メニューは東京都目黒のフランス家庭料理レストラン「モルソー」の秋元さくらオーナーシェフが監修した伊豆の食材を用いた四季折々のオリジナルメニューであった[1]。
廃車[編集]
定期運用の終了となる2020年3月のタイミングで引退となり、ラストランなどは行われなかった。2020年6月28日にラストラン運行の計画があったほか、同年4月4日には相模線始発で伊豆急下田行きのツアー計画もあったのだが、コロナ禍のために中止となっている。
2020年10月8日から10月9日にかけて長野総合車両センターへ回送され廃車となった。
デビューから4年に満たない期間での廃車となった理由としては、公式には「651系車輛の老朽化」が挙げられている。しかしながら、その後も高崎線では651系が運用されていおり、老朽化のみが理由とは考え難い。
2020年3月から運行を開始したサフィール踊り子と置き換える形になっていることから、伊豆クレイルには「本格的な観光列車」としてサフィール踊り子を開発・運用するための試作品的な要素があったのではないかと推測されている。
また、651系の高崎線運用自体も2023年改正でE257系に置き換えられたことや、2026年時点で延命工事が進んでいる211系も同じ主電動機を使用していることから部品取りの側面もあった可能性がある。