デルブリュック散乱

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デルブリュック散乱とは、強い電磁場の仮想光子による光子の散乱のことである。これは、量子電磁力学で予測される最初の非線形効果である。デルブリュック散乱は、コンプトン散乱とは異なり、散乱点における場のベクトルポテンシャルが0となる参照系において光子のエネルギーを変化させない。デルブリュック散乱は、光子のスピンの保存または反転のいずれの場合でも起こり得る。

仕組み[編集]

場の仮想光子電子-陽電子を生成する。入射光子はレプトンの1つによって散乱され、その後、その反粒子と対消滅して仮想光子を生成する。

散乱断面積[編集]

低エネルギーの光子(ωmec2)について、スピンが保存される散乱断面積は、

dσ++=dσ=1,004×103(Zα)4r02cos4(ϑ2)dΩ

そしてスピン反転を伴う弾性散乱断面積は、

dσ+=dσ+=3,81×104(Zα)4r02sin4(ϑ2)dΩ
  • ϑ=光子散乱角
  • Z=原子電荷
  • dΩ=立体角の要素
  • r0=e24πεmec2=電子の古典的な半径

高エネルギー領域内における前方散乱断面積は次のようになる。

dσ|ϑ=0=4981π2(Zα)4r02(ωmec2)[ln20,15ωmec2;π24]dΩ

ここで、角括弧内の最初の項はスピン変化を伴わない散乱に関係し、2番目の項はスピン反転に関係する。

ωmec2の場合、デルブリュック散乱の全断面積は次の極限に収束する。

σω=98Z4α6281πme2c2

関連項目[編集]