キャパシタ

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キャパシタとは、 かかる電圧によって電界を生じ、その電界が静電エネルギーを蓄えることができ、 電荷をためる受動素子である。 コンデンサと呼ばれることも多い。 電荷や静電エネルギーの量などの性質を示す値はキャパシタンスと呼ばれ、単位は主にファラド である。

耐電圧[編集]

キャパシタは電圧をかけて静電エネルギーや電荷をためるなどの使うが、その電圧には限界がありそれを耐電圧と呼ぶ。 耐電圧をこえると放電し、通常のキャパシタとして取り扱えない動作を引き起こすので、あらかじめ定められた範囲内の電圧で使われる。 複数のキャパシタを直列接続すると、各キャパシタにかかる電圧は分圧されるので、全体の耐電圧は増加するが、キャパシタンスは減少するので同じ電圧でたまる電荷や静電エネルギーも減少する。 複数のキャパシタを並列接続しても、各キャパシタにかかる電圧は一定なので、耐電圧は増加しないが、キャパシタンスは増加するので 同じ電圧でたまる電荷や静電エネルギーも増加する。 接続されたキャパシタンスについては、キャパシタンスを参照されたい。

寄生素子[編集]

現実には純粋なキャパシタはないと言っても良く、寄生素子を含んでいる。 問題にならないほど小さいことも多いが、周波数などによっては影響が強くなる。

また、逆に他の素子にもキャパシタのような寄生素子が含まれている。 例えば、導線はキャパシタンスが小さく無視できる量であるが、0ではないのでこの効果によって電圧が非連続な値を取ることはない。(キャパシタンスを参照) 他にも、トランジスタにはキャパシタに類似の構造がある。 トランジスタの微細化の仕方によっては、キャパシタンスが増大して余計な電流や充電時間が発生し、トランジスタの性能に影響を与える。

平行平板コンデンサ[編集]

キャパシタ(コンデンサ)の一例に、平行平板コンデンサというものがある。 これは、名前の通りに平行に置かれた2枚1対の金属製平板(極板)でできたコンデンサである。 極板の間に誘電体を挿入するとすることも多い。 しばしば理解を簡単にするため端部効果を無視するが、 これは極板間の距離に対して極板の幅が十分に広かったり、誘電体の誘電率が十分に高かったりする条件で成り立つ。

キャパシタンスの導出[編集]

以下では、端部効果を無視し、極版間は真空であるとして、平行平板コンデンサの単位長さあたりのキャパシタンスを求める。 真空の誘電率 極板間の距離を、極板の幅を、 極板間にかかる電圧を、極板間の平均電界、 各極板にたまる電荷(単位長さあたり)をとする。 軸を極版に垂直で、基準()を極版のうち負の電荷がたまる方で、もう一方の極版が()の方向になるようにとる。 電界の向きは軸正の向きを正とする。

このとき、ガウスの法則から各極版のみが存在したときの電界分布を考えて、

以上の重ね合わせから電界は

また、電界は電位の傾きであることより

である。

よって

であるので

奥行き方向に長さあるとすると、たまる電荷は倍になるので、極版の面積を用いて

である。
つまり、キャパシタンスは面積(あるいは幅)と誘電率に比例して、極版間の距離に反比例する。

誘電体を挿入した場合[編集]

前項より誘電体(一般に誘電率は真空中よりも大きい)を挿入すると、誘電率の増大によってキャパシタンスも大きくなる。 中途半端挿入すると、誘電率の高い部分と低い部分の並列接続のような状態になる。 挿入した部分の誘電率が高くなるのでキャパシタンスが増加し、静電エネルギーや電荷も変化し得る。 このエネルギーの変化を仮想変位の原理で考えると、誘電体を引き込むような力が働くことがわかる。

また、平衡平板コンデンサに限った話ではないが、誘電体は分極によって局所的に電界強度を変化させる。 真空中では平均電界のみが電界であったが、誘電体がある場合はミクロで見ると平均電界と異なる電界分布になる。 ヒステリシスをもつようなキャパシタになることもある。

インダクタンスの導出[編集]

キャパシタンスと関連のある値として、インダクタンスがある。 以下では、端部効果を無視し、極版間は真空であるとして、平行平板コンデンサの単位長さあたりのインダクタンスを求める。 真空の透磁率 極板間の距離を、極板の幅を、 極板間に鎖交する磁束(単位長さ当たり)を、極板間の磁界、 各極板の奥行き方向に流れる電流とする。 軸を極版に垂直で、基準()を極版のうち負の電流が流れる方で、もう一方の極版が()の方向になるようにとる。 磁界の向きは正の電流が極版間につくる磁界の向きが正になるようにする。

このとき、アンペールの法則から各極版のみが存在したときの磁界分布を考えて、

以上の重ね合わせから磁界は

また、磁束は磁束密度積分したものなのでことより

である。

よって

であるので

となる。
これと単位長さあたりのキャパシタンス

から

となって、キャパシタの寸法に依らない一定値になる。 このことは、異なる形状や真空中ではなく誘電体中などでも成立することが知られている。 ただし、形状が異なる場合それぞれの値は変化する。あくまで積が誘電率と透磁率の積になるのみである。

関連項目[編集]