OpenTP1

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OpenTP1
開発元 日立製作所
初版 1993年[1]
最新版 uCosminexus OpenTP1 Version 7.7[2]
ライセンス プロプライエタリ
対応OS Linux(Version 7.7)、Windows(Version 7.6まで)、UNIX(Version 7.5まで)[2]
サポート状況 提供中
種別 トランザクションモニター(分散トランザクションマネージャー)
公式サイト uCosminexus OpenTP1
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OpenTP1(オープンティーピーワン)は、日立製作所が開発・販売する分散トランザクション処理用のミドルウェア(TPモニター)である。オープンシステム上でオンライントランザクション処理(OLTP)を実現するためのソフトウェアで、X/Open(現・The Open Group)が規定した分散トランザクション処理(DTP)モデルに準拠する[3][4]。現行製品群の総称はuCosminexus OpenTP1(ユーコズミネクサス オープンティーピーワン)で、Version 7以降は個々の製品名にも「uCosminexus」が冠されている[5]。

日立によれば1993年に販売が開始され[1]、金融機関の窓口オンラインシステムや証券市場の売買システム、鉄道の座席予約システムなど、国内の基幹業務システムの基盤として採用されてきた[6][7][8][9]。JP1、HiRDB、Cosminexusなどとともに、日立がメインフレームで培った技術をオープン環境に継承したとする「日立オープンミドルウェア」を構成する製品の一つである[10][11]。

概要[編集]

OpenTP1は、日立が「TPモニタ」と位置づける分散トランザクション処理機能の製品群の総称である[12][5]。従来のOLTPは大規模コンピューターで一括して処理する集中型であったが、OpenTP1は資源と機能を分散配置した分散コンピューティング環境でのOLTPを実現し、システム規模や業務量に応じた構成を柔軟に選択できるようにした[13]。ユーザーアプリケーションプログラム(UAP)を含めたシステム構成がクライアント/サーバー構造を取るため、プログラムやデータベースといったソフトウェア資源をハードウェア構成から独立させることができ、業務量の増加に伴ってハードウェア構成を変更してもソフトウェア資源にはほとんど影響しない[14]。また、日立のメインフレーム用オペレーティングシステムVOS3などの基幹システムと接続し、基幹システムからワークステーションまでを含む大規模システムを構成できる[15]。

X/OpenのDTPモデルに準拠しているため、UAPではTXインターフェース(トランザクション制御)、XATMIインターフェースおよびTxRPCインターフェース(いずれも通信)といったX/Open準拠のAPIを使用でき、XAインターフェースに準拠したDBMS(HiRDBなど)をはじめとする各種リソースマネジャーと接続できる[3][16]。UAPの記述言語にはC言語(ANSI C形式およびK&R形式)、C++、COBOL(COBOL85およびCOBOL2002)が使え、COBOLではデータ操作言語(DML)も利用できるため、ホストコンピューター上でのUAP作成環境をOpenTP1上で再現できる[17]。24時間運転業務に対応するため、システムを二重化する系切り替え機能を備える[17]。

日立はOpenTP1を、メインフレームで培った信頼性を基に「情報ライフラインを支えるオープンで拡張性の高い次世代基幹システムの基盤を提供する」製品と説明しており[4]、2007年には統合システム構築基盤「Cosminexus」の統一ブランドに統合された[18][19]。日立の現行のWebサイトでは、日立オープンミドルウェアの一製品として「uCosminexus OpenTP1」の名称で「分散トランザクションマネージャ」に位置づけられている[10]。

歴史[編集]

発売と1990年代の展開[編集]

日立は、OpenTP1を1993年に発売したとしている[1]。1994年には日経BPの日経BP技術賞システム部門賞を受賞した。1995年12月の発表では、国産メーカーとして初めてUNIX上で本格的な分散処理を可能にする分散オンライントランザクション処理用ソフトウェアとしてOpenTP1を製品化し、マルチベンダー環境における基幹業務に活用されてきたと説明している[20]。同月には、WWWブラウザーからインターネットを介してOpenTP1上の業務システムを利用できるようにする「TP1/Internet WWW Gateway」が製品化された[20]。

1995年から1996年にかけては、OpenTP1を基にしたクラスター/並列マシン上でのOLTPシステム構築方式、クラスター構成による多重化で高信頼性を実現する機能、広域ネットワークに対応してOLTPシステムをドメインに分割し階層化するサービス名管理方式などに関する研究が情報処理学会全国大会で発表されている[21][22][23]。また同時期には、OpenTP1のトランザクション管理機能を基盤としてCORBAのオブジェクトトランザクションサービス(OTS)を実現した分散オブジェクト指向型トランザクション管理システムが『日立評論』で報告されている[24]。

1997年2月には、Javaで開発したクライアントソフトウェアやJavaアプレットとサーバー上のOpenTP1アプリケーションを連携させ、ブラウザー環境からトランザクション処理を行う「TP1/Client for Java」が発表された[25]。1998年6月には「OpenTP1 Version5」が発売され、金融端末の制御機能を提供する「TP1/Terminal Control Library for Finance」、窓口端末やATM端末をRPCで直接連携させて24時間運転機能や負荷分散機能を提供する「TP1/Extension 1」、メッセージキューイング製品「TP1/Message Queue」、大規模なメッセージキューイングシステムを1台のコンソールで運用管理する「Message Queue - Operation - Center」などが追加された。日立はこのとき、OpenTP1を金融機関の窓口オンラインシステムをはじめとする基幹業務システムを支える製品で「国内トップシェア」と説明している[6]。2000年9月には日立がLinux対応の強化を発表し、OpenTP1のLinux版も順次投入する計画とされた[26]。

Webシステムとの連携とCosminexusへの統合(2000年代)[編集]

2002年4月、日立はWebアプリケーションサーバー「Cosminexus Application Server Version 5」にOpenTP1との統合機能を追加し、OpenTP1を基盤とする基幹業務処理をWebアプリケーションから同期または非同期に実行できるようにした[27][28]。日立は同時に、OpenTP1がJR東日本のICカード出改札システム「Suica」をはじめ多数の企業の基幹業務システム基盤に適用され、累計35万本の出荷実績があると説明した[27]。同年12月には、オープンシステムとのシステム間通信を実現する「OpenTP1-RPC接続機能」を備えたエンタープライズサーバー「AP7000」向けオペレーティングシステム「VOS1/LS」が製品化された[29]。

2003年1月には、日立と野村総合研究所(NRI)がOpenTP1上で稼働する基幹業務システムのWebシステム化を支援する開発環境を共同開発し、Cosminexus Application Server、OpenTP1との連携ソフトウェア、NRIの「オブジェクトワークス」を組み合わせた「Cosminexus/OpenTP1 Webフロントエンドセット」を商品化した[30][31][32]。このセットには、日立キャピタルが同年4月に運用を開始する予定の次期基幹業務システムの構築を通じて効果が実証された製品が含まれるとされた[30]。

2003年2月には「OpenTP1 Version 6」が発売された。日立は1993年の発売以来のべ約38万本の販売実績があると発表し、システム全体を停止せずにユーザープログラムや通信プログラムを入れ替える機能、ネームサーバーによるトランザクション負荷情報の一元管理機能、「TP1/High Availability」とHAモニタの連携による待機系への高速な切り替え、同時実行可能なトランザクション数やプロセス数などのリソース拡大、TP1/Client/Jのトランザクション連携機能の強化(Webシステム側と基幹業務システム側のデータベースの同期更新)などを特長として挙げた[1]。

2005年6月に発表されたCosminexus新版の製品一覧には、「uCosminexus」を冠したTP1/Server Baseが含まれた[33]。日立は、Version 7以降はすべての製品名の先頭に「uCosminexus」を付け、製品群の総称を「uCosminexus OpenTP1」としている[5]。Version 7では、リアルタイム統計情報取得機能や定義チェックコマンドなどが追加された[34]。2007年6月には、日立がサービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づく統合システム構築基盤としてCosminexusを刷新し、OpenTP1とHiRDBをCosminexusの統一ブランドに統合した[18][19][35]。

Version 7.5以降[編集]

Version 7.5では、大規模化とサーバー集約に対応するための使用可能リソース量の拡大、HAモニタなどのクラスターソフトウェアを使用しないシステムでもOpenTP1の稼働状況を監視して自動的に再起動する機能、Hitachi System Information Captureの「サーバ間連携機能」によるOpenTP1とHiRDB間のトランザクションの関連付け、状態確認コマンドの追加、コンテナ対応などの強化が行われた[36]。また、複数台のクラスター構成においてトランザクション決着専用のサーバーを1台待機させ、サーバー障害時にトランザクションの決着を代行させて縮退運転を継続する「N対1クラスター」構成がVersion 7.5以降で可能になった。UNIX版・Linux版ではHAモニタと、Windows版ではHitachi HA Toolkit ExtensionまたはCLUSTERPROと連携する[37]。

コンテナ環境については、TP1/Server Base(Linux版)およびTP1/Client/JがDockerとKubernetesを使用したコンテナオーケストレーション環境に対応し、その後、対応するコンテナプラットフォームとオーケストレーションツールが追加された[38][16]。

2025年3月には、共栄火災海上保険がメインフレーム上の基幹業務システムをパブリッククラウドへ移行するプロジェクトで、移行時のアプリケーション変更を最小限に抑えるためにOpenTP1、HiRDB、JP1、Cosminexusなどの日立オープンミドルウェアを採用すると発表された。稼働は2030年度中の予定である[11][39]。2026年9月には、日立がパブリッククラウド上でミッションクリティカル業務の継続性を高める「クラウド高信頼化ソリューション」の提供を開始した。新開発のミドルウェア「Hitachi Volume Replication Driver」(HVRD)と、HAモニタ、HiRDB、OpenTP1、JP1を密に連携させて一体的に制御するもので、Amazon Web Servicesの同一リージョン内で複数のアベイラビリティゾーンにまたがる構成から提供を始め、障害時には数十秒で待機系へ自動的に切り替えるとしている[40][41][42]。

機能と構造[編集]

X/Open DTPモデルとの関係[編集]

X/OpenのDTPモデルは、アプリケーションプログラム(AP)、トランザクションマネジャー(TM)、リソースマネジャー(RM)、コミュニケーションリソースマネジャー(CRM)から構成される。OpenTP1を使った分散トランザクション処理システムはこのモデルに準拠しており、APはOpenTP1のUAPに当たる。各要素間のインターフェースにはTX、XATMI、TxRPC、XA、XA+が用いられ、OpenTP1自身も後述のDAMファイルやTAMファイルなどを管理するリソースマネジャーを提供する[43]。

システム形態[編集]

OpenTP1を使用したシステムは、複数のOpenTP1システムが協調して一つのオンラインシステムとして動作する水平分散のクライアント/サーバーシステム、大型コンピューターのセンター業務を分担するフロントエンドプロセッサー(FEP)、大型コンピューターに接続された営業店や支店に配置する垂直分散の分散処理システムといった形態に適用できる[44]。FEPの形態では、大型コンピューターとFEPを高速LANまたはチャネルで接続し、通信プロトコル処理や業務処理の一部をFEP上のOpenTP1が実行することで、大型コンピューターの負荷を軽減したり、大型コンピューターの障害時にセンター業務を継続したりできる[45]。

通信形態[編集]

UAP間の通信には次の三つの形態がある[46]。

  • クライアント/サーバー形態の通信 - TCP/IPで接続したLANを介し、UAPからリモートプロシージャコール(RPC)を発行して通信する。サービスを要求する側をクライアントUAP、提供する側をサーバーUAPと呼び、RPCをトランザクションの範囲に含めるトランザクショナルRPCが可能である。OpenTP1独自のインターフェースのほかX/Open準拠のXATMIおよびTxRPCインターフェースが使え、通信プロトコルにはTCP/IPのほかOSI TPも選択できる。OpenTP1独自のインターフェースではファイアウォールの内側にあるサーバーUAPへのRPCも可能だが、その場合は通過先のサーバーUAPをトランザクション処理に含めることはできない[47]。また「TP1/Web」を用いると、WWWサーバーとWWWブラウザーの間の情報のやり取りをOpenTP1のRPCに変換し、ブラウザーを端末とする業務システムを構築できる[46]。
  • メッセージ送受信形態の通信 - 各種の通信プロトコルに準拠した手順で、ネットワークを介して他システムとメッセージを送受信する。メッセージ送受信機能の製品(TP1/Message ControlおよびTP1/NET/Library)と、プロトコルごとの通信プロトコル対応製品を組み合わせて使用し、マニュアルではこれらを総称してMCF(Message Control Facility)と表記する[46]。日立のメインフレームのほか、他社のメインフレームやシステムとの接続にも用いられる[48]。
  • メッセージキューイング機能を使った通信 - キューマネジャー(TP1/Message Queue)を介して、通信相手の状態に関係なく非同期にメッセージを転送する[46][49]。

アプリケーションプログラム[編集]

OpenTP1上で動作するUAPには、業務形態に応じて次の種類がある[50]。

  • サービス利用プログラム(SUP) - クライアント専用のUAP
  • サービス提供プログラム(SPP) - クライアントUAPからの要求に対してサービスを提供するサーバーUAP
  • メッセージ処理プログラム(MHP) - 通信回線を経由して送られたメッセージを受信して処理するUAP
  • このほか、ユーザーファイルを初期化するオフラインのUAPや、TP1/Clientで使用するクライアントUAP(CUP)がある

UAPはC言語、C++、COBOLで記述する[17]。クライアント側の製品には、ワークステーション向けの「TP1/Client/W」、パーソナルコンピューター向けの「TP1/Client/P」、Java実行環境向けの「TP1/Client/J」があり、TP1/Client/JではJavaアプレット、Javaアプリケーション、Javaサーブレットからサーバーへサービスを要求できる[51][49]。

信頼性と性能[編集]

分散コンピューティング環境でのトランザクションの整合性は2フェーズコミットによって保証され、第1フェーズで更新準備処理、第2フェーズで実際の更新処理を行うことで、トランザクションに含まれるすべての資源の整合性を保つ[52]。アプリケーション障害やシステム障害の自動回復、ホットスタンバイや縮退運用による系切り替えなどの障害対策機能を備え、日立はこれらにより「メインフレームと同等の信頼性」を実現していると説明している[4][52]。系切り替え機能を使う場合は「TP1/High Availability」と、日立のクラスターソフトウェア「HAモニタ」が前提となる[49]。

性能面では、スケジューリング機能によってサーバー上で動くプロセス数を絞り込んで資源を有効利用し、負荷分散スケジューリング、優先度スケジューリング、動的プロセス生成といったアプリケーション制御機能により、高トラフィックなトランザクション処理を実現するとしている[53]。TP1/Extension 1では、サービス呼び出しのどこに時間がかかっているかを分析する性能検証用トレース、スケジューラーを複数起動してボトルネックを解消するマルチスケジューラー機能、オンライン中のサーバープロセス多重度変更、オンラインを停止せずにユーザーサーバーのロードモジュールを入れ替えるプロセスリフレッシュ機能などの拡張機能が提供される[49]。

OpenTP1の本体は、トランザクションサービス、ネームサービス、スケジュールサービス、プロセスサービス、ステータスサービス、ジャーナルサービス、ロックサービス、ログサービス、タイマーサービスなどのシステムサービスから構成され、これにユーザーデータを管理するサービス、メッセージ送受信関連やメッセージキューイング関連のサービス、OpenTP1を監視するサービスなどが加わる[54]。

運用管理と開発支援[編集]

運用管理では統合システム運用管理製品JP1との連携が用意されており、OpenTP1の開始・終了などのイベントをJP1/Baseに登録してJP1/AJSと連携した自動運転を行ったり、JP1/NETM/DMによってプログラムを一括配布したりできる。JP1/AJS2 - Scenario Operationでは、OpenTP1が提供するシナリオテンプレートを組み合わせて運用を自動化できる[55]。JP1/Performance Managementと連携すると、OpenTP1のトランザクション情報、RPC情報、スケジュール情報などをリアルタイムに収集・監視できる[56]。開発支援としては、アプリケーション開発支援ツール「SEWB+」によるUAP開発[57]のほか、OpenTP1が稼働していない環境でUAPをテストするオフラインテスター、稼働環境でテストする「TP1/Online Tester」、メッセージ制御機能を使うUAPをテストする「TP1/Message Control/Tester」がある[49]。

製品構成[編集]

uCosminexus OpenTP1を使用するシステムでは、トランザクション制御、アプリケーション制御、スケジューリング制御などの基本機能を提供する「uCosminexus TP1/Server Base」が必須製品となり、業務形態や通信形態に応じて付加製品を組み合わせる[58]。Version 7.5時点の主な製品は次の通りである(製品名の「uCosminexus」は省略)[59][49]。

分類 製品名 概要
サーバー基本製品 TP1/Server Base 分散トランザクション処理を提供するOpenTP1の本体部分
TP1/LiNK 小規模な部門向けに、組み込みからセットアップまでを簡単にした分散アプリケーションサーバー機能の本体
ユーザーデータ管理 TP1/FS/Direct Access 直接編成ファイル(DAMファイル)をトランザクション処理と同期して管理
TP1/FS/Table Access 共用メモリ上のテーブルを回復可能なファイルとして扱うテーブルアクセス法(TAMファイル)
TP1/Shared Table Access 複数のOpenTP1システムで共用するメモリ上のテーブル(ISTテーブル)
拡張・運用 TP1/Extension 1 性能検証用トレース、マルチスケジューラー、負荷分散調整などの拡張機能
TP1/High Availability HAモニタと連携した系切り替え機能
TP1/Online Tester デバッガー連携などオンラインプログラムテストの支援
TP1/Resource Manager Monitor OpenTP1提供以外のリソースマネジャーの開始・終了制御
TP1/Multi 複数ノードを操作するマルチノード機能、グローバルアーカイブジャーナル機能
高速トランザクション処理 TP1/Server Base Enterprise Option / Enterprise Edition マルチスレッドによる大量トランザクション実行基盤。Enterprise EditionはServer Base、Extension 1、Enterprise Optionのセット製品[60]
TP1/EE/Extended Transaction Controller インメモリデータ処理による高速メッセージ処理
TP1/EE/Message Control Extension Enterprise Option対応のメッセージ通信機能
TP1/Server Base Extreme Transaction Platform インメモリキャッシュ技術による高トラフィック・低レイテンシの処理基盤。証券系市場のアルゴリズム取引などを想定[61]
クライアント TP1/Client/P パーソナルコンピューター上で動作するクライアントライブラリ
TP1/Client/W ワークステーション上で動作するクライアントライブラリ
TP1/Client/J JavaアプリケーションからOpenTP1にアクセスするクラスライブラリ
ネットワーク基本 TP1/Message Control 通信プロトコルを制御するネットワーク制御(MCF)
TP1/NET/Library ネットワーク制御のライブラリ
TP1/Messaging TP1/Message ControlとTP1/NET/Libraryに相当する機能に加え、TCP/IP通信機能を併せ持つ製品
ネットワーク付加 TP1/NET/TCP/IP、TP1/NET/User Datagram Protocol、TP1/NET/XMAP3、TP1/NET/User Agent、TP1/NET/OSI-TP、TP1/NET/OSAS-NIF、TP1/NET/Secondary Logical Unit - TypeP2、TP1/NET/High Availability、TP1/Message Control - Extension 1、TP1/Messaging - Extension 1 TCP/IP、UDP、XMAP3、OSAS/UA、OSI TP、NIF/OSI、SNAのSLU-TypeP(二次局)の各プロトコルによるメッセージ送受信支援、ネットワーク制御の高信頼化、構成変更再開始機能、TP1/Messagingの拡張機能など[62]
メッセージキュー TP1/Message Queue メッセージキューイング機能
TP1/Message Queue Access OpenTP1以外のシステムからTP1/Message Queueへのリモートアクセス
Cosminexus連携 TP1 Connector、TP1/COBOL adapter for Cosminexus JavaアプリケーションからJ2CAインターフェースでOpenTP1にアクセスする機能、OpenTP1のCOBOLアプリケーションと通信するJavaBeansの自動生成
インターネット関連 TP1/Web インターネットゲートウェイ連携機能

動作環境[編集]

サーバー製品はUNIX版、Linux版、Windows版が提供されてきた[1][63]。日立のWebサイトでは、Version 7.5がUNIX版・Linux版・Windows版、Version 7.6がLinux版・Windows版、Version 7.7がLinux版として動作環境が案内されている[2]。TP1/Client/JはJava VM上で動作する[63]。

関連製品[編集]

日立は、OpenTP1と組み合わせて使用する関連製品として、Webシステム構築基盤のCosminexus、統合システム運用管理のJP1、DBMSのHiRDB、業務アプリケーション開発用のCOBOL2002、画面・帳票の定義から表示・印刷までを支援するXMAP3を挙げている[64]。このほか、系切り替え機能の前提となるクラスターソフトウェア「HAモニタ」[49]、UAP開発を支援する「SEWB+」[57]、帳票システム構築支援の「EUR」などの日立オープンミドルウェアとともに採用された事例がある[65][66]。

採用事例[編集]

日立は、OpenTP1が金融機関の窓口オンラインシステムをはじめとする基幹業務システムに採用されてきたとしており[6]、日立が公表している主な適用事例には次のようなものがある。

  • 日本証券業協会の「JASDAQマーケットメイクシステム」 - 店頭市場のマーケットメイク銘柄の値付けと約定交渉を自動化するシステム。UNIXサーバーをベースにOpenTP1、HAモニタ、HiRDB、JP1を組み合わせて構築され、2000年3月27日に稼働した。日立はこれを「UNIXベースでは国内初の株式売買システム」としている[7]。
  • 鉄道情報システムの座席予約システム「マルス」 - メインフレームとUNIXサーバー、PCサーバーを連携させる構成の中で、Cosminexusによるメインフレーム連携とWebアプリケーションでのCOBOL活用に加え、OpenTP1がアプリケーションサーバーの性能と信頼性を高める基盤として用いられている[9]。
  • JR東日本のICカード出改札システム「Suica」 - 日立は2002年に、OpenTP1がSuicaをはじめ多数の企業の基幹業務システム基盤に適用されていると発表している[27]。
  • ユニーの協業型MD(マーチャンダイジング)システム - 2001年に着手したMD改革プロジェクトで、他社製メインフレームで構築されていた旧システムをオープン化し、JP1、Cosminexus、HiRDB、OpenTP1などを導入した。2002年11月に第一次システム、2005年8月に第三次システムが稼働した[67]。
  • 日立キャピタルの次期基幹業務システム - 2003年4月に運用開始予定とされた営業支援・統合顧客・統合会計の各システムで、Cosminexus Application ServerとOpenTP1との連携ソフトウェアなどを採用した[30]。
  • 大阪証券取引所の新売買システム - 2006年2月に全面稼働した売買システムで、メインフレームからオープンシステムへ移行し、HiRDBとOpenTP1、HAモニタ、HA Boosterの連携によって障害時の高速な系切り替えを実現した[8][68]。
  • 三菱東京UFJ銀行の外為分散システム - 従来のメインフレームに代えてオープンシステムを全面採用した外国為替業務システムで、2007年2月に第一弾が本稼働した。BladeSymphonyとLinuxの組み合わせの上でJP1、OpenTP1、EURなどが用いられている[65]。
  • メイテツコムによる名鉄運輸グループの基幹システム - 2001年に名鉄運輸とそのグループ会社2社の基幹オンライン業務を、OpenTP1、JP1、HiRDBを活用してメインフレームからUNIXサーバーへ集約し、その後基幹バッチシステムのオープン化も行った[69]。
  • 東京航空計器の基幹システム - 2009年に開始したプロジェクトで、他社メインフレーム上の生産管理・販売管理・在庫管理などの基幹システムを、日立INSソフトウェアの協力のもとCOBOL2002、OpenTP1、Cosminexus、JP1、EURを用いてBladeSymphony BS320へ移行した[66]。
  • 共栄火災海上保険の基幹業務システム - 2025年4月に開始するとされたメインフレームからパブリッククラウドへの移行プロジェクトで、OpenTP1などの日立オープンミドルウェアを採用し、2030年度中の稼働を予定している[11][39]。

研修・技術支援[編集]

日立グループの研修会社である日立アカデミーは、OpenTP1を使用してOLTPシステムを構築・運用・設計する技術者向けの研修コースを提供している[70]。また日立は、環境定義のパラメーターレビューや環境構築の支援、TP1/Message Queueによるメッセージ連携環境の構築などのテクニカルサービスを提供している[71]。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ↑ a b c d e “ミッションクリティカルなシステムの安定稼動を支援し、Webシステムと基幹業務システムのシームレスな連携を実現する「OpenTP1 Version 6」を発売”. 日立製作所 (2003年2月24日). 2026年9月8日確認。
  2. ↑ a b c “分散トランザクションマネージャ uCosminexus OpenTP1:動作環境”. 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  3. ↑ a b “1.1.4 オープンシステム化推進の支援”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  4. ↑ a b c “分散トランザクションマネージャ uCosminexus OpenTP1:特徴”. 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  5. ↑ a b c “分散トランザクションマネージャ uCosminexus OpenTP1:主な製品”. 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  6. ↑ a b c “信頼性の高い基幹業務システムを構築する「OpenTP1 Version5」を発売”. 日立製作所 (1998年6月16日). 2026年9月8日確認。
  7. ↑ a b “UNIXベースでは国内初の株式売買システムをOpenTP1,HiRDB,JP1で実現!JASDAQ マーケットメイクシステム”. はいたっく 2000年7月号(事例紹介). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  8. ↑ a b “株式会社 大阪証券取引所 証券売買システム : 事例紹介”. 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  9. ↑ a b “旅客販売総合システム「マルス」を刷新。JR各社の高度な要求に応える基盤を強化”. 日経コンピュータ 2003年3月24日号掲載記事の転載. 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  10. ↑ a b “日立のオープンミドルウェア”. 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  11. ↑ a b c “共栄火災と日立が、基幹システムをパブリッククラウド上でモダナイゼーション開始”. 共栄火災海上保険・日立製作所 (2025年3月27日). 2026年9月8日確認。
  12. ↑ “1.1 OpenTP1の特長”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  13. ↑ “1.1.1 トランザクション処理ができる分散コンピューティング環境の実現”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  14. ↑ “1.1.2 柔軟なシステム構成”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  15. ↑ “1.1.3 基幹システムと連携した大規模システムの実現”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  16. ↑ a b “変更内容”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  17. ↑ a b c “1.1.5 システム構築の高生産性と高信頼性の実現”. OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説(3000-3-D50-C0). 日立製作所. 2026年9月8日確認。
  18. ↑ a b “全体最適なシステムを実現する統合システム構築基盤「Cosminexus」を発売”. 日立製作所 (2007年6月5日). 2026年9月8日確認。
  19. ↑ a b “日立、統合システム構築基盤「Cosminexus」を出荷--HiRDBやOpenTP1を統一”. ZDNet Japan. (2007年6月6日). https://japan.zdnet.com/article/20350234/ 2026年9月8日閲覧。 
  20. ↑ a b “インターネットと業務システムとの連携を実現するソフトウエアを製品化”. 日立製作所 (1995年12月18日). 2026年9月8日確認。
  21. ↑ 五十嵐明夫、岩崎元昭、宇佐見憲司郎、山本展之「クラスタ/並列マシン上でのOLTPシステムの構築方式の検討」、『全国大会講演論文集』第50回、情報処理学会、1995年3月15日、 255-256頁、2026年9月8日確認。
  22. ↑ 藤原弘和、岩崎元昭、盛井恒男「グローバルネットワーク対応OLTPシステムの検討」、『全国大会講演論文集』第51回、情報処理学会、1995年9月20日、 121-122頁、2026年9月8日確認。
  23. ↑ 長谷川宏行、岩崎元昭、土屋繁樹「クラスタ構成における分散OLTP高信頼化機能」、『全国大会講演論文集』第52回、情報処理学会、1996年3月6日、 367-368頁、2026年9月8日確認。
  24. ↑ 花塚光博、石光輝信、碧藤眞人、新田淳「分散オブジェクト指向型トランザクション管理システム(PDF)」 、『日立評論』第77巻第12号、1995年12月、2026年9月8日確認。
  25. ↑ “JavaやActiveX応用ミドルウェアを発売 -ブラウザ環境からメインフレーム/CSS上のアプリケーションが利用可能-”. 日立製作所 (1997年2月13日). 2026年9月8日確認。
  26. ↑ “日立製作所がLinux対応を強化,Linux版COBOL85も投入へ”. 日経クロステック (日経BP). (2000年9月8日). https://xtech.nikkei.com/it/free/NSW/NEWS/backnumber/811/ 2026年9月8日閲覧。 
  27. ↑ a b c “ブロードバンド時代の基幹業務システムを支えるWebアプリケーションサーバ「Cosminexus Version 5」を発売”. 日立製作所 (2002年4月23日). 2026年9月8日確認。
  28. ↑ “日立製作所,Webアプリケーション・サーバー新版などを2002年6月に出荷”. 日経クロステック (日経BP). (2002年4月23日). https://xtech.nikkei.com/it/free/NSW/NEWS/20020423/1/ 2026年9月8日閲覧。 
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外部リンク[編集]