EyeSight

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アイサイト(EyeSight)とは、スバルによって開発された安全運転支援システムであり、同車の登録商標でもある。

一般的な安全運転支援システムとは違い、ステレオカメラだけでその機能を実現しており、2008年に当時のレガシィ(BL/BP型)に初搭載されて以降、スバルの総合安全思想を支える重要な要素の一つとなっている。

概要[編集]

ステレオカメラで前方状況を常に撮影し、ソフトウェアで得られた情報を即座に処理することで前方の路面状況に応じて車両を制御するシステムである。初代のアイサイト(Ver.1)ではプリクラッシュブレーキと全車速追従機能付きクルーズコントロール、AT誤発進抑制制御などの機能が実装されていた。その後改良が進み、先行車発進通知やプリクラッシュブレーキの制動を強めるプリクラッシュブレーキアシスト、AT誤後退抑制制御などが追加された。改良は現在に至るまで続けられており、2025年現在ではアイサイトXとして自動運転レベル2(一説ではレベル2+とも)の機能も有している。

ぶつからないクルマ?などのプロモーションや低価格なども相まってシステムの知名度は比較的高い。

一方でマニュアルトランスミッションとの相性が悪い可能性が示唆されており、日本にWRXのMTが販売されない理由の一つとされることもある。そのほか、車内にカメラを設置する都合上、カメラへの写り方が変わるような変更(フロントガラスに対する撥水コーティングや透明なフィルムの施工、もしくはサスペンションセッティング(最低地上高など)やタイヤサイズの変更など)はシステムに悪影響を及ぼすことも多い。飛び石や寒暖差でフロントガラスが割れた場合、ガラスの交換費用に加えてカメラのキャリブレーション作業も必須になるなどユーザの負担も大きいものとなる。また、肝心の認識機能であるが人の目に近いものであるため、逆光や深い霧などは認識機能が低下するという弱点も抱えている。そのため、アイサイトXではカメラの死角を補うようにミリ波レーダーが搭載されている。

アイサイトのロジックやアルゴリズムなど、ソフトウェア面はすべてスバルの内製である。また、ハードウェアについても仕様設計の策定などを主導しており、ソフトウェアなどを外注やグループ会社で開発することが多い他メーカーと比べて開発環境が特殊であるともいわれている。

歴史[編集]

スバルでは1980年代からステレオカメラの研究を進めており、1989年からはステレオカメラを生かした運転支援技術の開発に取り組んでいた。この研究によって生まれた安全運転システムがADAである。

1999年レガシィアウトバックの一部グレードに採用されたADAはステレオカメラを使用して追従型クルーズコントロール機能や車線逸脱警報などの機能を実現していたものであり、ステレオカメラを使用した運転支援システムは世界初となる。2003年にはミリ波レーダーとADAを組み合わせたものも販売されていた。

2008年に初代アイサイトが4代目レガシィに搭載され、プリクラッシュブレーキ(完全停止はしない)と全車速追従機能付きクルーズコントロール、オートマチックトランスミッション車の誤発進抑制機能が実装された。当時としては世界でも有数の衝突回避を持っていた。

2010年にはVer.2となり、プリクラッシュブレーキが完全停止まで対応したり、全車速追従機能付きクルーズコントロールが先行車の停止に合わせて停止できるようになるなど機能のアップデートがなされた。同時に搭載車種を拡大し、ぶつからないクルマ?として大々的にプロモーションが行われた。ベース車種との価格差が10万円程度と他のシステムに比べて圧倒的な低価格を実現。アイサイト普及の一因ともなった。

2013年にはVer.3にアップデートされ、従来機能の向上の他にカラー画像認識による先行車のブレーキランプの認識ができるようになった。また、60km/h以上で有効になるステアリング制御機能が追加され、アクティブレーンキープ機能が新たに追加された。

2017年には全速度域でアクセル・ブレーキ・ステアリングを制御できるツーリングアシストが一部車種で採用された。従来のアイサイトのアクティブレーンキープが0km/h以上、つまり全速度域で有効化されるほか、従来の全車速域追従機能付クルーズコントロールに先行車追従操舵も追加される。また、追加機能としてアイサイトセイフティプラスも用意され、カメラのない後方や側面に対する警戒を担うセンサーが追加されたり、自動でハイビームとロービームが切り替わるハイビームアシスト、スマートリアビューミラーなどが実装された。

2020年には大幅な進化を遂げ、アイサイトXとして登場。主センサーはステレオカメラであるが、新たにミリ波レーダーによる360度センシングを実現。コアとなる技術はステレオカメラにより実装されるものの、より高度な運転支援技能を可能とした。また、GNSSとの協調で高精度三次元地図データが整備された高速道路の一部区間では渋滞時のハンズオフ(ハンドルから手を放すことが可能に)機能や異常時に自動でハザードランプやホーンが連動し、車両を停止させるドライバー異常時対応システムが実装された。また、2022年には超広角単眼カメラを追加し、前方の情報についてより広域の情報を認識できるようになっている。

SI-Cruise[編集]

アイサイト非搭載で前車追従式クルーズコントロールを採用していた車種に搭載されていた運転支援システムである。レーザーレーダーを用いたクルーズコントロール特化仕様であったとされる。

関連項目[編集]