DML30系エンジン

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DML30系エンジン(DML30けいえんじん)とは、日本国有鉄道気動車に搭載していた水平シリンダー・過給器装備のディーゼルエンジンである。名称はDML30HSで始まり、末尾のアルファベット1文字で改良順を示す。

概要[編集]

名称は

  • DM - ディーゼルエンジン(Diesel Motor)
  • L - 12気筒
  • 30 - 排気量30リットル
  • H - 水平シリンダー
  • S - 過給器装備

であることを示す。バンク角180度のV型12気筒エンジンで、最大出力は660PSに及ぶ。主に高速運転・高出力を求められる特急型・急行型に搭載された。
キハ65では急行の冷房化の推進に大いに貢献したが、キハ181系では東北本線での高速走行と奥羽本線板谷峠区間での過酷な峠越えが連続する特急つばさではガスケットの吹き抜けやオーバーヒートが生じてEL補機が欠かせず、しなのでは急勾配による低速運転区間が続いてオーバーヒートが多発した。

バリエーション[編集]

DML30HS
試作型。
DML30HSA・HSB
キハ90系に搭載。末尾のA・Bは改良順を示す。
DML30HSC・HSE
キハ181系に搭載。HSCは主にキハ180形、HSEはキハ181形に搭載。
DML30HSD
キハ65形に搭載。
DML30HSF
キヤ191系に搭載。
DML30HSH
キハ66系に搭載。安定性・保守性を重視し、出力の抑制、シリンダーブロック・シリンダーヘッドの独立化を行い、ガスケット吹き抜け対策を施した。この設計変更により、HSE以前のモデルと互換性が一部失われている。
DML30HSI
キハ183系のキハ182形に主に搭載。HSHを極寒地の北海道向けとしたもの。
DML30HSJ
キハ183系のキハ182形500番台に主に搭載。直噴化・電子ガバナー化を施した。
DML30HZ
キハ183系のキハ182形550番台に主に搭載。インタークーラーを追加した。

余談[編集]

コマツ製の12V140系エンジンも12気筒・排気量30Lのディーゼルエンジンであることから国鉄・JR制式だとDML30系エンジンに区分されることになるが、横型への設計変更が困難であり、機関車DD200(機関名FDML30Z)や事業用のキヤ291にて採用されたことはあるものの旅客用気動車への採用例はない。また、このDML30系エンジンとも別物である。

関連項目[編集]