国鉄キハ183系気動車
国鉄183系気動車(こくてつ183けいきどうしゃ)は、日本国有鉄道が設計、開発した液体式特急型気動車である。また、国鉄末期に登場した500番台、北海道旅客鉄道が開発した550番台、九州旅客鉄道が開発した1000番台も記す。
名称について[編集]
多くの書籍や雑誌には「キハ183系気動車」と書かれているが、これは183系電車と区別するための便宜的な記述で、固定編成の本形式の正式な形式は「183系気動車」である。(「モハ183系電車」と書かないのと同じ)
登場の背景[編集]
北海道内での非電化線区直通の特別急行列車は1961年10月1日ダイヤ改正以来、本州からの転入車両もあったキハ80系で運転されていたが、酷寒地の道内での高速運転は車両の老朽化を早め、また、屋根上放熱板のあるキハ181系を酷寒地で用いることができないため、速度も向上できず、室内設備も陳腐化していた。
概要[編集]
本形式は道内の気動車特急用として、1979年(昭和54年)に強力なディーゼルエンジンと最新の室内設備で試作車として登場した。
また、JR九州では、北海道の183系の駆動機構を流用しつつ、485系電車と液体式伝達のまま協調運転を可能とするDCS装置を備えた1000番台が開発され、1988年(昭和63年)に運行を開始した。
北海道では分民化直前に投入されたN183系、分民化後に投入されたNN183系と進化したが、2023年(令和5年)に183系は道内から引退した。
車体構造[編集]
エンジン[編集]
国鉄181系気動車と同様なエンジンを使用しているが、若干パワーを抑えて余裕を持たせている。分民化後に増備された車両は出力を増大させた。
運転台[編集]
当初は非貫通高運転台車両として登場したが、国鉄分民化直前に新造された車両は貫通型低運転台車両となった。
室内設備[編集]
北海道用[編集]
普通車の座席はシートピッチを広げた簡易リクライニングシート、背を起こしても戻ってこないロック付きである。布団は柔らかく、バケット式でキハ80系とは比べものにならないくらい良くなった。仕切り壁は木目調の茶色でシートモケットも焦げ茶色である。
同時期に製造された117系と同じである。試作車は冷房故障を想定して一部の客用窓が開くようになっていたが、量産車は完全な固定窓となった。
キハ80系にあった食堂車は新造されず、初期車では、グリーン車の一角に電子レンジ等の厨房設備を備えた車販準備室が設けられた。
各形式[編集]
キロ182[編集]
運転台のないグリーン車である。車端に大型の車内販売準備室を設けたため客室が狭くなっている。
量産車はさらに車内販売準備室を大きくし、ビュフェレベルの軽食供給体制を整えた。
近い世代の車両[編集]
- 国鉄781系電車 - 電車特急用
- 国鉄キハ40系気動車 (2代) - 普通用