西岡力
西岡 力(にしおか つとむ、1956年4月16日[1] - )は、国際政治学者、現代朝鮮研究者[2]。公益財団法人モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授。専門は韓国・北朝鮮地域研究[3]。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)会長。
経歴[編集]
東京生まれ。1977年7月-1978年8月交換留学生として韓国・延世大学国際学科留学[1]。1979年3月国際基督教大学教養学部社会科学科卒業[1][4]。1983年3月筑波大学大学院地域研究研究科修了(韓国・北朝鮮地域研究専攻)、国際学修士[1][5]。
1982年7月-1984年7月外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務[1]。1984年-1991年現代コリア研究所主任研究員[4]。1990年-2000年『現代コリア』編集長[1]。1991年4月東京基督教大学神学部国際キリスト教学科(2008年に国際キリスト教福祉学科に名称変更)専任講師、1996年4月助教授、2000年4月-2017年3月教授[1][4]。2017年4月麗澤大学客員教授、モラロジー研究所(2021年にモラロジー道徳教育財団道徳科学研究所に名称変更)歴史研究室長[1]。
1997年より北朝鮮拉致被害者の家族とともに被害者救出の運動を開始し[6]、1998年の北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)の設立に関与[5]。救う会幹事、2002年副会長[6][7]、2008年会長代行[8]、2010年会長[9]。救う会東京会長[10]、救う会関東協議会会長も務めた[11]。2014年に第30回正論大賞(フジサンケイグループ主催)を秦郁彦と同時受賞。「慰安婦問題で「『女子挺身隊』の名で戦場に連行された」とする報道に初めて疑義を唱えた」ことが評価された[12]。
人物[編集]
- 高校時代から新左翼系の反戦デモなどに参加した。大学時代は在日朝鮮人差別反対運動に参加し、その延長線上で韓国に留学した。韓国人から体験談を聞いて朝鮮戦争や北朝鮮による虐殺を知り、反共産主義の立場に転向した。1981年に基督聖協団練馬教会で小笠原孝牧師より受洗した[5]。田中明を韓国研究の師と呼んでいる[13]。
- 伊藤哲夫(日本政策研究センター所長)、西岡力(東京基督教大学教授)、島田洋一(福井県立大学教授)、八木秀次(高崎経済大学教授)、中西輝政(京都大学教授)の5人は安倍晋三のブレーン「五人組」と呼ばれた。2006年春から6月30日までに3回ほど会合を開き、来るべき「安倍政権」の課題について議論した。安倍本人にも政策的な助言をした。6月30日に伊藤、西岡、島田、八木は安倍の側近である下村博文衆議院議員を囲んで靖国神社参拝問題などについて議論し、「安倍氏は参拝に行くとも行かないとも明言しない」とする基本スタンスを確認した[14]。ただし東京新聞の取材に対して「安倍さんとは救う会の副会長として会うことはあるが、直接ものを聞かれたこともないし、助言をしたこともない。下村議員や伊藤さんを介した関係で、決してブレーンではない」と答えた[14]。2012年に安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会の発起人に名を連ねた。
- 2006年7月に日本教育再生機構準備室が開催した「八木秀次さんとともに日本の教育再生を考える夕べ」の発起人[15]。2006年10月に発足した日本教育再生機構の代表委員[16]。2007年7月に日本教育再生機構が設立した「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(教科書改善の会)の賛同者[17]。
- 歴史事実委員会(すぎやまこういち・屋山太郎・櫻井よしこ・花岡信昭・西村幸祐)が2007年6月14日付の『ワシントン・ポスト』に掲載した「従軍慰安婦」の強制性を否定する意見広告「THE FACTS」に名を連ねた[18]。
- 2014年12月に中西輝政(委員長)、西岡力(副委員長)、荒木信子、島田洋一、高橋史朗、勝岡寛次(事務局長)というメンバーで「朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会」(朝日が社外識者に委嘱して設けた第三者委員会とは別)を発足させた[19]。日本政策研究センター(伊藤哲夫代表)が同会を後援している[20]。
- 国家基本問題研究所企画委員兼評議員[21]。明治の日推進協議会代表委員[22]。平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム設立呼びかけ人。『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議呼びかけ人[23]。歴史認識問題研究会2代目会長(2017年4月-)[24]。
- 『南京の真実』賛同者[25]。放送法遵守を求める視聴者の会(視聴者の会)賛同者[26]。全日本学生文化会議賛同人[27]。
- 2024年1月4日付の『産経新聞』朝刊に掲載された江崎道朗(元『祖国と青年』編集長)との対談で「江崎さんがある団体の雑誌の編集長をやっていた時からの付き合いですから、もう30年ほどになるでしょうか。」と発言している。
著書[編集]
単著[編集]
- 『日韓誤解の深淵』(亜紀書房、1992年)
- 『コリア・タブーを解く』(亜紀書房、1997年)
- 『闇に挑む!――拉致、飢餓、慰安婦、反日をどう把握するか』(徳間書店、1998年)
- 『飢餓とミサイル――北朝鮮はこれからどうなるのか』(草思社、1998年)
- 『暴走する国家・北朝鮮――核ミサイルは防げるのか』(徳間書店[徳間文庫]、1999年)
- 『金正日と金大中――南北融和に騙されるな!』(PHP研究所、2000年)
- 『金正日が仕掛けた「対日大謀略」拉致の真実』(徳間書店、2002年)
- 『テロ国家・北朝鮮に騙されるな』(PHP研究所、2002年)
- 『拉致家族との6年戦争――敵は日本にもいた!』(扶桑社、2002年)
- 『北朝鮮に取り込まれる韓国――いま"隣国"で何が起こっているか』(PHP研究所、2004年)
- 『日韓「歴史問題」の真実――「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」を捏造したのは誰か』(PHP研究所、2005年)
- 『韓国分裂――親北左派vs韓米日同盟派の戦い』(扶桑社、2005年)
- 『北朝鮮の「核」「拉致」は解決できる』(PHP研究所、2006年)
- 『よくわかる慰安婦問題』(草思社、2007年/増補新版、草思社[草思社文庫]、2012年)
- 『朝日新聞「日本人への大罪」――「慰安婦捏造報道」徹底追及』(悟空出版、2014年)
- 『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』(PHP研究所、2015年)
- 『ゆすり、たかりの国家』(ワック[WAC BUNKO]、2017年)
- 『歴史を捏造する反日国家・韓国』(ワック[WAC BUNKO]、2019年)
- 『でっちあげの徴用工問題』(草思社、2019年/増補新版、草思社[草思社文庫]、2022年)
- 『日韓「歴史認識問題」の40年――誰が元凶か、どう解決するか』(草思社、2021年)
- 『わが体験的コリア論――覚悟と家族愛がウソを暴く』(モラロジー道徳教育財団、発売:廣池学園事業部、2021年)
- 『韓国の大統領はなぜ逮捕されるのか――北朝鮮対南工作の深い闇』(草思社、2022年)
- 『狂った隣国――金正恩・北朝鮮の真実』(ワック[WAC BUNKO]、2023年)
- 『自壊する北朝鮮 分裂する韓国』(草思社、2025年)
共著[編集]
- 『東アジアの論点を考える――北朝鮮問題・中台問題・東アジアの経済発展と世界経済』(若林正丈、永田雅啓共著、林田正人編、世界平和研究所[平和研レポート]、1994年)
- 『アジアは油断大敵!――北朝鮮、香港、中国…動乱のシナリオを読む』(渡辺利夫、岡崎久彦、小島朋之、田久保忠衛共著、稲垣武取材構成、PHP研究所、1997年)
- 『北朝鮮が戦争を起こす5つの根拠』(池田菊敏編著、佐藤勝巳、荒木和博、玉城素共著、ベストセラーズ、1998年)
- 『北朝鮮問題を整理する5ファイル』(小川和久、後藤光征、清水美和、重村智計、尹徳敏共著、自由国民社[虎ノ門DOJOブックス]、2005年)
- 『金正日に正しいメッセージを!』(平田隆太郎、惠谷治、島田洋一、李英和共著、自由国民社[虎ノ門DOJOブックス]、2005年)
- 『南・北朝鮮、同時崩壊か?』(平田隆太郎、惠谷治、島田洋一共著、東京財団、2007年)
- 『金賢姫からの手紙』(趙甲済共著、草思社、2009年)
- 『なぜニッポンは歴史戦に負け続けるのか』(中西輝政共著、日本実業出版社、2016年)
- 『「慰安婦」謀略戦に立ち向かえ―日本の子供たちを誰が守るのか?』(マイケル・ヨン、杉田水脈、高橋史朗、徳永信一、山岡鉄秀共著、明成社、2017年)
- 『安倍晋三の歴史戦――拉致問題・慰安婦問題・七〇年談話・靖国参拝』(阿比留瑠比共著、産経新聞出版、発売:日本工業新聞社、2023年)
- 『メッキが剥がれたマスメディアの「不都合な真実」』(阿比留瑠比共著、かや書房、2024年)
編著[編集]
- 『朝鮮人戦時労働の実態』(編、産業遺産国民会議[シリーズ旧朝鮮半島出身労働者問題を考える]、2021年)
監修[編集]
- 張真晟著、川村亜子訳 『金王朝「御用詩人」の告白――わが謀略の日々』(文藝春秋、2013年)
出典[編集]
- ↑ a b c d e f g h 西岡 力 日本綜合経営協会
- ↑ 6月2日に群馬「正論」懇話会、西岡力氏を招き講演会 韓国大統領選を展望 産経新聞、2025年5月8日
- ↑ 西岡 力 道徳科学研究所
- ↑ a b c researchmap
- ↑ a b c なすべき使命と求められる謙虚さー西岡力- SALTY - 日本キリスト者オピニオンサイト、2018年4月1日
- ↑ a b 金正日が仕掛けた「対日大謀略」拉致の真実 紀伊國屋書店
- ↑ 拉致家族との6年戦争―敵は日本にもいた! 紀伊國屋書店
- ↑ 救う会新会長に藤野義昭副会長(2008/07/04) 救う会全国協議会
- ↑ ★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2010.03.28) 救う会全国協議会
- ↑ 全国協議会事務局「救出運動レポート(28)座り込み決行」『現代コリア』第400号、2000年4月
- ↑ 「DS通信」『改革者』第41巻第8号(通巻481号)、2000年8月
- ↑ 第30回正論大賞に秦郁彦氏&西岡力氏、新風賞に山田吉彦氏 サンケイスポーツ、2014年12月11日
- ↑ 【正論】言論弾圧に体張った韓国どこに 東京基督教大学教授・西岡力 (2/3ページ) ZAKZAK、2014年10月10日
- ↑ a b 「『安倍氏ブレーン』どんな人?靖国、拉致、教育問題…」『東京新聞』2006年9月9日付朝刊
- ↑ 具裕珍「「新しい歴史教科書をつくる会」のExit, Voice, Loyalty ――東アジア国際関係への含意を中心に――」『相関社会科学』第19号、2009年
- ↑ 日本教育再生機構とは 日本教育再生機構
- ↑ 教科書改善の会が発足 教科書改善の会、2007年8月1日
- ↑ 歴史事実委員会 いわゆる従軍慰安婦について歴史の真実から再考するサイト
- ↑ 朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会 報告書(PDF)
- ↑ 朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会が報告書を発表 日本政策研究センター
- ↑ 役員紹介 国家基本問題研究所、2008年11月8日時点のアーカイブ
- ↑ 明治の日推進協議会役員一覧 明治の日推進協議会
- ↑ 呼びかけ人 『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議
- ↑ 「歴史認識問題研究会役員名簿・活動概要等(PDF)」『歴史認識問題研究』創刊号、2017年9月20日
- ↑ 賛同者 南京の真実
- ↑ 賛同者一覧 視聴者の会
- ↑ 全日本学生文化会議を応援します 一般社団法人プロジェクトF
関連文献[編集]
- 植村裁判取材チーム編『慰安婦報道「捏造」の真実――検証・植村裁判』(花伝社、発売:共栄書房、2018年)
外部リンク[編集]
- J-GLOBAL
- 東京基督教大学 アカデミック・ポートフォリオ
- 西岡力 - 産経ニュース
- 西岡力 - 国家基本問題研究所
- 慰安婦問題めぐる西岡氏の著書への損害賠償請求 最高裁が訴え棄却 - 産経ニュース、2015年1月15日
- 元朝日の植村隆氏、敗訴確定 慰安婦記事への批判めぐり - 産経ニュース、2021年3月12日