落盤 (漫画)

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落盤」(らくばん)は、手塚治虫の短編漫画。

『X』(鈴木出版)第3号(1959年9月15日発行)に掲載された。

落盤事故を生き延びた男の回想で事故当時の様子が繰り返し描かれるのだが、記憶が曖昧になっている回想は単純な線で描かれているが、指摘により曖昧な点が修正されると共に回想シーンの描写はリアルな劇画タッチへと変貌して行くという実験的な手法を取っている。

あらすじ[編集]

20年前の落盤事故から生き延びた前橋は、大村青年と共に古い炭鉱の中にいた。

前橋が落盤事故の模様を語るが、その内容は非常に曖昧なものであった。大村は突如として前橋に「貸している30円」を返すように要求するが前橋には借りた覚えがない。大村は前橋に記憶なんていい加減なものだと言い、10年前に前橋がラジオ番組に出演して語った事故内容の録音を聞かせ、先の前橋の回想で曖昧だった点を明確にする。

続いて、事故直後の新聞の切り抜きを見せ、前橋が1人を助け、石井という名の男が死亡したことを思い出させる。そして、石井が亡くなる直前に書き残したメモを突きつけ、石井から借りた30円を返すのが惜しいばかりに、前橋が細工して落盤を起こし、石井を見殺しにしたことが判明する。大村は石井の遺児であったのだ。

大村が前橋に渡した水筒には痺れ薬が仕込んでおり、前橋は薬のために歩けなくなっていた。 大村は、5分後に爆発する爆薬をしかけたと言い残し、前橋を残して立ち去った。

前橋の声を背中で聞きつつ歩いていた大村だったが、前橋を助けに走って戻るのだった。

収録書籍[編集]

  • W3 2巻(1966年、小学館サンデーコミックス)
  • 手塚治虫全集「鉄腕アトム 3」 (1968年、小学館)
  • 少年ジャンプ増刊号1977年1月15日号 (集英社
  • 手塚治虫漫画全集319巻「落盤」 (1994年、講談社
  • 手塚治虫ミステリー傑作集 (2000年、ちくま文庫)
  • 花とあらくれ (2008年、小学館クリエイティブ)
  • 手塚治虫文庫全集122巻「38度線上の怪物」 (2011年、講談社)

外部リンク[編集]

  • 落盤 - 手塚治虫公式サイト