疑ポテンシャル
		
		
		
		
		
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疑ポテンシャルとは量子力学における原子やイオン、そして原子核の計算量の多い非価電子を有効ポテンシャルを用いて近似する手法である。この近似が可能なのは、原子核近傍の電子が化学結合にほとんど寄与しないためである。しかし、価電子は原子核近傍の全ての電子と直交するため、原子核近傍で強い振動が生じ、計算量が多くなる。さらに、原子核近傍の電子はエネルギーが高く、これは波長が短いことを意味し、高い空間分解能が必要となる。適切な経験的ポテンシャルを選択することで、シュレーディンガー方程式を解くために必要な計算量を削減できる。その結果、価電子の波動関数は全ての原子核状態と直交する。
疑ポテンシャルはハンス・ヘルマンによってはじめて導入された。この手法は固体物理学におけるバンド構造計算に広く応用され、1950年後半にはジェームズ・C・フィリップス、マーヴィン・コーエン、フォルカー・ハイネなどが先駆者となった。ナイジェリアの物理学者のアレクサンダー・アニマルも重要な貢献をした。アニマルはハイネと共同で、1965年に25元素を対象とした模型機準の遮蔽疑ポテンシャルを開発し、特に大きな影響力を持つことになった。アニマルは以前、金属における非局所的な誘電体遮蔽の理論を発表しており、それがこの研究の基礎となった。