東方怪綺談 〜 Mystic Square.
『東方怪綺談 〜 Mystic Square.』(とうほうかいきだん-)とは、ZUNによって制作された弾幕系シューティングゲームであり、東方Projectの第5弾にあたる作品である。1998年12月のコミックマーケット55にて発表された。
本項では、以降は『怪綺談』と称することとする。その他の本項で使用されている東方Project関連の略称については、東方Project#凡例を参照。
概要[編集]
PC-98版で発表された、東方Projectの5作目である。メディアはフロッピーディスクで単価800円。2002年9月19日まで続いた「Amusement Makers」の通販では、フロッピーディスクでの東方5作品セットより200円安い、CD1枚に5作品が収録されたCD-R版のセットも販売された[1]。本作には、前作『東方幻想郷 〜 Lotus Land Story.』のシステムが継承されている。自機は前作の2人に、『東方夢時空 〜 Phantasmagoria of Dim.Dream.』の自機でもある「魅魔」と前作の最終ボスである「幽香」が加わり4人になった。今作に装備選択はない。全6ステージが用意され、EASYモードでもグッドエンディングが見られる様になった。コンティニューせずにクリアすればExtraステージが追加される。
本作のMusicRoomは、『怪綺談』の曲だけではなく、『靈異伝』『封魔録』『夢時空』『東方幻想郷』の全てのゲーム使用曲が収録されている。また『靈異伝』の全ての曲と、『封魔録』の一部の曲がリミックスされている。各作品の未使用曲も収録。また、Extraのエンディングでは、各作品毎の全登場人物の名前(『靈異伝』からはボスの名前はなく靈夢のみ)が登場する。
この作品で東方Projectは一旦完結する。3年後にWindowsで『東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』(2002年8月頒布)が販売され、2015年8月現在もシリーズが続いている。
あらすじ[編集]
最近、少量だがコンスタントに魔界から魔物が送られてきているという異変が起きていた。
- 博麗神社の巫女、博麗靈夢は、コンスタントに魔物を退治するため暇ではなかった。靈夢は、原因を調べるべく、神社の裏山に昔からあった「魔界の扉があるといわれる洞窟」へ向かうのだった。
- 魔法使いの少女、霧雨魔理沙は靈夢の様子を伺っていた。魔理沙は靈夢に内緒で、魔法のメッカでもある魔界に、(観光で)行く事を決めるのだった。
- 人間界に住む悪霊、魅魔にとって人間界に魔界の者がやって来るのは芳しい事ではなかった。「人間界は私のもの」と豪語する魅魔は、生意気な魔界人を懲らしめるべく魔界へ赴くのだった。
- 人間界に住む妖怪、幽香にとっても人間界に魔界の者がやって来るのは芳しい事ではなかった。「一度、魔界って行ってみたかったんだ」と思っていた幽香は、面白くなりそうな魔界へ赴くのだった。
こうして、4人は別の用事で魔界へ行ったのだった。
システム[編集]
詳細は「東方Project#基本システム」を参照
自機選択 | 有り |
---|---|
武器選択 | 無し |
低速移動 | 有り |
低速移動時のショット変化 | 無し |
ボム形式 | ボムゲージ消費(霊撃) |
エクステンド形式 | 「得点アイテム」の収集数 |
コンテニュー形式 | その場で復活 |
Windows版の東方Projectにおいて重要な位置づけとなっているスペルカードシステムは、この時点では存在していない。
基本システムは『東方幻想郷 〜 Lotus Land Story.#システム』とほとんど同様である。ただし後述の「ドリームボーナス」は、『東方幻想郷』と仕様が違う。
ドリームボーナス[編集]
「夢ゲージ」というゲージがあり、それが増加すると得点アイテムの最高点が取りやすくなる。夢ゲージは次の条件で増減する。
- 増加する条件
- 夢アイテムを取得する(ゲージが最大になる)
- 得点アイテムを最高得点(51200点)で取得する
- フルパワーボーナスが最高点になっている
- 画面上に雑魚敵が居る状態(ボス、中ボス除く)で、プレイ時間が伸びると徐々に上昇する。
- 減少する条件
- ミスをする
- ボムを使う
- 得点アイテムを落とす(例外として、MAX時は減少しない)
自機解説[編集]
- 博麗 靈夢
- 移動速度やショットの攻撃力は低いが、ホーミング弾のため攻撃範囲が広い。
- 霧雨 魔理沙
- 攻撃範囲は狭いがショットやボムの威力は高い。移動速度も速め。
- 魅魔
- 移動速度が速くショットも強いが、攻撃範囲が狭く、ボムの無敵時間が短い。
- 幽香
- ショットの範囲が広い。移動速度は遅い。
登場人物[編集]
「東方Projectの登場人物」、「幻想郷」も参照
サラ[編集]
名前 | サラ |
---|---|
英字 | Sara |
テーマ曲 | 魔法陣 〜 Magic Square |
二つ名 |
|
出演作品 | 『怪』1面ボス |
博麗神社の裏山から通じる「魔界の扉があるといわれる洞窟」にある魔界への扉を守る番人。
ルイズ[編集]
名前 | ルイズ |
---|---|
英字 | Luize |
種族 | 魔界人[2] |
テーマ曲 | 霊天 〜 Spiritual Heaven |
二つ名 |
|
出演作品 | 『怪』2面ボス |
魔界の住人。人間界観光に行こうとしていたところだったが、 魔界と人間界の間で、魔界では見かけない者を見たため声をかけてくる。
アリス[編集]
名前 | アリス |
---|---|
英字 | Alice |
種族 | 不明[※ 2] |
テーマ曲 |
|
二つ名 |
|
出演作品 | 『怪』3面ボス・Extraボス |
備考 | Windows版の東方Projectにも登場する[※ 3]。アリス・マーガトロイドを参照。 |
魔界の魔法使い。『怪綺談』3面では、魔界で暴れている者を懲らしめようと2つの人型オプションを伴って戦う。その後、Extraステージで「究極の魔法を記した本」を持って再び挑んでくる。
Windows版東方Projectに登場するアリス・マーガトロイドと、一応は同一人物[3]。
『怪綺談』付属の「OMAKE.txt」によると、『真・女神転生』に登場するアリスがモチーフとなっている。
ユキ&マイ[編集]
名前 | ユキ&マイ |
---|---|
テーマ曲 | 禁断の魔法 〜 Forbidden Magic |
二つ名 | 魔法使い |
出演作品 | 『怪』4面ボス |
名前 | ユキ |
テーマ曲 | 真紅の少女 〜 Crimson Dead!! |
二つ名 |
|
名前 | マイ |
テーマ曲 | 裏切りの少女 〜 Judas Kiss |
二つ名 |
|
備考 | 同人ゲームサークル「RebRank」製作のSTGゲーム『五月雨』にゲスト出演している。 |
『怪綺談』4面ボスとして登場する二人組の少女。
ユキ[編集]
帽子を被り黒い服を着ている魔法使い。マイと共に登場し、戦闘中に片方が先に倒れる。マイが先に倒されると激昂し、本気を出すと言う。
マイ[編集]
小さな白い翼があり、白い服を着ている魔法使い。ユキと共に登場し、戦闘中に片方が先に倒れる。ユキと同時にいる時は台詞はほぼ「……」しかないが、ユキが先に倒されると、足手まといが消えてやっと本気を出せると言う。
夢子[編集]
名前 | 夢子 |
---|---|
読み | ゆめこ |
種族 | 魔界人[4] |
テーマ曲 | 悲しき人形 〜 Doll of Misery |
二つ名 |
|
出演作品 | 『怪』5面ボス |
魔界のメイド。魔界神である神綺に造られた魔界人(ゴーレムなどではなく、魔界のヒューマノイド)[4]。神綺を「神綺様」と呼ぶ。魔界の者の中では最強クラス[4]。
神綺[編集]
名前 | 神綺 |
---|---|
読み | しんき |
種族 | 神 |
テーマ曲 | 神話幻想 〜 Infinite Being |
二つ名 |
|
出演作品 | 『怪』6面(最終面)ボス |
魔界の神。魔界にあるもの全てを創造したと言う[7]。夢子を「夢子ちゃん」と呼ぶ。魔界を荒らしていた靈夢らに罰を与えるために戦う。戦いの途中で6枚の翼を出す。
巫女を神の犬と呼び[8]、魔理沙の魔法をインチキとし「本当の魔法を見せてあげるわ」と言う。
魔界の者が人間界に来ているのは、民間の旅行会社が独自にツアーを組んでいるだけなので、神綺は口を出せないと言う[9]。靈夢が勝利すると、その強さに免じて人間界へ向かう魔物を抑えることを認めるが、後に魔界人は自由に魔界と人間界を行き来する技術を得て、結局神社は魔物だらけになる[10]。
その他の登場人物[編集]
1面-5面、およびExtraステージに、合計6体の中ボスキャラクターが登場する。名前や設定は無い。一部はグラフィックが使いまわされているが、同一人物であるかは不明。
既存の登場人物[編集]
詳細は「東方Projectの登場人物」を参照
ここでは、『怪綺談』が初登場ではない登場人物を解説する。
- 博麗 靈夢
- 博麗神社の巫女、主人公。楽天家で、生まれつき霊力はあるが修行不足。魔理沙に、よくおちょくられている。空を飛べないため亀に乗って戦う。
- 霧雨 魔理沙
- 魔法使いだが普通の少女。大層頭が良く、強い力に執着するがまだまだ子供。実は努力家。靈夢とは異なる行動原理の持ち主。
- 魅魔
- 悪霊。博麗神社の神(祟り神)的な存在だが、その性格は、人間より人間的である。
- 幽香
- 妖怪。神社の周りの妖怪では最強クラス。何を考えているのか分からない性格だが、本当は頭も切れるらしい。
ステージ[編集]
ステージ | ステージタイトル | 中ボス | ボス |
---|---|---|---|
STAGE 1 | 万物神気 〜 Materialization | 1面中ボス | サラ |
STAGE 2 | 魔空間 〜 Border Space | 2面中ボス | ルイズ |
STAGE 3 | 魔界 〜 Devil's World | 3面中ボス | アリス |
STAGE 4 | 凍てつく世界で 〜 Ice Dream | 4面中ボス | ユキ&マイ → ユキまたはマイ |
STAGE 5 | 最後の審判 〜 Judgement Day | 5面中ボス | 夢子 |
FINAL STAGE | 神戦 〜 Dream Battle | (なし) | 神綺 |
EXTRA STAGE | 絵本のとびら開いて 〜 Open Sesami | Extra中ボス | アリス |
備考[編集]
- STAGE 4
- 4面ボスとして登場するユキとマイは、まず二人同時に戦う。二人のうちのどちらかが倒されると、残った方の体力が全回復し、改めてその一人と戦闘になる。
曲目リスト[編集]
- 怪奇談 〜 Mystic Square - タイトル
- Dream Express - 1面のテーマ
- 魔法陣 〜 Magic Square - サラのテーマ
- 夢想時空 - 2面のテーマ
- 霊天 〜 Spiritual Heaven - ルイズのテーマ
- Romantic Children - 3面のテーマ
- プラスチックマインド - アリスのテーマ1
- メイプルワイズ - 4面のテーマ
- 禁断の魔法 〜 Forbidden Magic - 4面ボスのテーマ(前半戦)
- 真紅の少女 〜 Crimson Dead!! - ユキのテーマ
- 裏切りの少女 〜 Judas kiss - マイのテーマ
- the Last Judgement - 5面のテーマ
- 悲しき人形 〜 Doll of Misery - 夢子のテーマ
- 世界の果て 〜 World's End - 6面のテーマ
- 神話幻想 〜Infinite Being - 神綺のテーマ
- 不思議の国のアリス - Extraステージのテーマ
- the Grimoire of Alice - アリスのテーマ2
- 神社 - バッドエンディング
- Endless - グッドエンディング1
- 久遠の楽園 - グッドエンディング2
- Mystic Dream - スタッフロール
- Peaceful Romancer - Extraエンディング
- 魂の休らむ所 - ネームエントリー
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ a b c d e f g 『怪綺談』のExtraエンディングでは、『靈異伝』から『怪綺談』までの5作品に登場するオールキャストの名前と二つ名が英字で表記されている。ただし『靈異伝』からは靈夢のみ。『封魔録』以降でも、玄爺と名無しのボスキャラクターは表記されていない。
- ↑ Windows版に登場するアリス・マーガトロイドの種族は「魔法使い」で、稗田阿求が記した「幻想郷縁起」では「元人間」とされている。
- ↑ PC-98版では姓がなく、Windows版とは服装が異なっている。『妖々夢』のアリスについて、ZUNは 「幻想掲示板」2003年1月-5月の投稿(「まよひがねっと」によるアーカイブ) - ウェイバックマシン(2005年9月9日アーカイブ分) で「東方怪綺談(シリーズ第5弾)でも3面ボス」「霊夢達と3戦目」「(『怪綺談』のアリスと)一応、同一人物ですが、ストーリー的には一切関係ありません」と発言している。
出典[編集]
- ↑ Amusement Makers(旧)公式サイト - ウェイバックマシン(2002年8月3日アーカイブ分)
- ↑ 『怪綺談』幽香ルートの2面。
- ↑ 「幻想掲示板」2003年1月28日の投稿(「まよひがねっと」によるアーカイブ) - ウェイバックマシン(2005年9月9日アーカイブ分)
- ↑ a b c 『怪綺談』魅魔ルートの6面。
- ↑ 『怪綺談』同梱の「OMAKE.TXT」。
- ↑ ZUNのサイトの1コーナー「東方幻想的音楽」で配布されている、『怪綺談』5面テーマ曲「the Last Judgement」のMIDI版 (th5_12.lzh) に付属する「th5_12.txt」。
- ↑ 『怪綺談』幽香ルートの6面。
- ↑ 『怪綺談』靈夢ルートの6面。
- ↑ 『怪綺談』靈夢ルートの5面。
- ↑ 『怪綺談』靈夢ルートのエンディング。