東方夢時空 〜 Phantasmagoria of Dim.Dream.

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

東方夢時空 〜 Phantasmagoria of Dim.Dream.』(とうほうゆめじくう-)とは、ZUNによって制作された弾幕系シューティングゲームであり、東方Projectの第3弾にあたる作品である。1997年コミックマーケット53にて発表された。

本項では、以降は『夢時空』と称することとする。その他の本項で使用されている東方Project関連の略称については、東方Project#凡例を参照。

概要[編集]

PC-9801版で発表された東方Project3作目である。前2作とは異なり、アーケードゲーム『ティンクルスタースプライツ』のシステムを用いた対戦型シューティングである。全9ステージからなるストーリーモード等が用意されている。メディアは3.5インチ型フロッピーディスク2枚組(2002年9月19日まで続いた「Amusement Makers」の通販では、フロッピーディスク8枚での東方5作品セットより200円安い、CD1枚に5作品が収録されたCD-R版のセットも販売された)で、単価は500円[1]

なお、2作目の『東方封魔録』のテキストファイルには、3作目は『東方夢時館』というタイトルで横スクロールシューティングを作ろうかという話が掲載されていた。「夢時館」は竹本泉などの漫画が掲載されていた雑誌『アップルミステリー』に携わっていた編集プロダクションの名前。

本作には竹本泉の漫画からのネタが非常に多く、付属のテキストファイルで逐一解説されている。

あらすじ[編集]

突如、博麗神社の隣に遺跡が現れた。そこに現れた魅魔が語る所では、その遺跡が「夢幻遺跡」という名前で、遺跡を訪れた者を幸せにする何かをプレゼントしてくれるらしいとのこと。しかし、夢幻遺跡の定員は一名のみだった。遺跡に惹かれてやってきた7人の少女達は、夢幻遺跡に入るために勝負する事になる。

システム[編集]

『夢時空』は前2作とは違い、対戦型のシューティングゲームとなっている。フィールドは画面上に二つ存在し、ストーリーモードでは左側が自フィールド、右側が敵フィールドとなる。キャラ選択の際、ボムボタンで決定すると色違いキャラになる。

当初は7名の登場人物から自機を選択するが、条件(難易度問わずノーコンテニュークリア)を満たすと、8面・9面に登場するボスキャラクター2名も自機として選択できるようになり、合計9名となる。

基本システム[編集]

勝敗判定[編集]

フィールドの上部にはライフがハートマークで表示されており、ミスをすると減っていく。ハートマークが無くなった方の負け。

基本行動[編集]

敵弾を回避しながらフィールド上に現れる雑魚をショットで撃墜していく。雑魚を撃墜すると爆発し、連鎖的に雑魚を撃墜したり、後述の白弾を消すことができる。

基本攻撃手段[編集]

ペリットアタック
基本的な攻撃。少しでも連爆すると、白弾を一つ送れる。また、弾を連爆に巻き込む事で、その弾を相手のフィールドに送り返せる。
火の玉アタック
大きめな連爆や、弾を多く消した時などに送れる。通常の物は色が青く、一回以上送り返された物は色が赤い。
EXTRAアタック
大きな連爆や、火の玉を送り返した時などに送れるキャラ特有の攻撃。反撃を受けない。
ゲージアタック
ショットボタンを押しっぱなしにすると、画面下にある連爆ゲージの最大量まで溜められ、溜めた量に応じて相手フィールドに四段階の弾を降らせる。
BOSSアタック
画面左上の連爆ボーナス点が、51200点を越えると、相手フィールドにボスを送る事が出来る。相手フィールドにボスが居る状態で自分のボーナス点が300000点を越えると、BOSSパニックが起こり、相手フィールドに消せない弾を大量発生出来る。ボスはボーナス点がある一定数を越えると、BOSSリバーサルで跳ね返せる。

ゲージパワーアップ[編集]

画面右下にボムストックがある場合、ボムボタンを押す事でボムを撃つことができる。ストックが無いときでも、連爆ゲージが最大まで溜っている場合なら、ボムボタンでゲージを全て使用して一定時間無敵+パワーアップ状態になることが可能。この場合ゲージは徐々に減っていき、全体の1/4になったときに元に戻る。

ストーリーモードの流れ[編集]

ストーリーモードは全9面からなるステージをクリアしていく。同キャラ戦を含め、7面までクリアするとストーリーデモが挿入される(デモはEscキーで早送り可能)。その後中ボスとの戦いを経て最終ボスとの最終決戦が行われ、勝利するとエンディングとなる。プレイヤーはライフの他に残機を持ち、負けると残機が減る。1000万点、2000万点で残機が増える。

登場人物[編集]

東方Projectの登場人物」、「幻想郷」も参照

特筆がない限り、いずれもプレイヤーキャラクター自機)である。

エレン[編集]

名前

エレン[※ 1]

英字

Ellen

テーマ曲

  • Tabula rasa 〜 空白少女
  • Phantasmagoria[※ 2]

二つ名

  • Witch[※ 3]
  • 魔女さん
  • はたらきもので恋を夢見る魔女

出演作品

『夢』自機

成長しない魔法使い。長生きしている代償に何時までも子供のままだが、立派な魔女。「魔法でふわふわがパチパチ」と形容される。

科学を人間が怠けるのを認めるための手段とする岡崎夢美に対し、理性論理法則だとする[2]

竹本泉の複数の漫画作品に登場する「エレン・ふわふわ頭・オーレウス」由来であり、絵が若干異なる以外は設定も同様[3]。エンディングに登場する、エレンの飼っている猫「ソクラテス」も、竹本の作品に由来する。


小兎姫[編集]

名前

小兎姫

英字

Kotohime

テーマ曲

Maniacal Princess

二つ名

  • Princess[※ 3]
  • 姫様?
  • 弾幕に美を夢みる姫

出演作品

『夢』自機

和服を着たお姫様。人とずれた感性の持ち主。性格が破綻しており、あまり人と合致しないため、どういう人物なのか分かっていない。人が興味を持たないものばかり集める真性マニアのコレクターでもある。

エンディングで明かされる正体は、一般人に変装して北白河ちゆりと岡崎夢美を捜査していた「この世界(魔法が存在する世界)」の警察官。別世界の人間は管轄外として、二人に「この世界」から離れるよう勧告した。エンディングではネクタイを締め婦人警官のような服を着ているシーンがある。


カナ・アナベラル[編集]

名前

カナ・アナベラル

英字

Kana Anaberal

種族

ポルターガイスト

テーマ曲

夢消失 〜 Lost Dream

二つ名

  • Poltergeist[※ 3]
  • 騒霊さん
  • 夢を失った少女騒霊

出演作品

『夢』自機

ポルターガイスト。精神の不安定な少女から生まれた、少女の一面。

大きな洋館に住んで(憑りついて)いるが、最近は洋館の住人が馴れて全然相手にされなくなり、そろそろ移住を考えている。エンディングでは岡崎夢美に願いを叶えられ、博麗神社に送られ憑りつく。


朝倉 理香子[編集]

名前

朝倉 理香子

英字

Rikako Asakura

テーマ曲

夢幻遊戯 〜 Dream War

二つ名

  • Scientist[※ 3]
  • 科学信者さん
  • 夢を探す科学

出演作品

『夢』自機

この世界では科学を信じる者は殆どおらず魔法が主だが、その中で実に珍しい科学信者(邪教と呼ばれる[4])。

必ず魔力以外の力が存在すると信じている。実は魔法使いでもあり、科学力はさて置き、本気で魔法を使うと手が付けられないほど魔力が強いが、魔法が嫌いで本気を出せないでいる。遺跡は絶対に科学で作られたと信じてやって来た。


北白河 ちゆり[編集]

名前

北白河 ちゆり

英字

Tiyuri Kitashirakawa

テーマ曲

Sailor of Time

二つ名

  • Assistant professor[※ 3]
  • 時をかける夢幻の住人

出演作品

『夢』8面ボス、自機としても使用可

岡崎夢美の助手。歳は15で大学院卒[※ 4]。夢美が集めたデータの整理などをしている。比較物理学専攻しており、頭もかなり切れる[3]

夢美と共に別世界から「可能性空間移動船」に乗りやってくる。そこでチラシを撒き、強い魔力を持つ者を船に誘き寄せようとした。戦闘では夢美が作った科学魔法(魔力を使わず、正の光子光波から産み出しただけの似非魔法)を扱う[5]

自機として登場するちゆりは、博麗靈夢と同じ世界に住んでいる「魔法を使えるちゆり」で、ボスとして登場するちゆりとは別人。同一人物が同時に存在するとエネルギーの不均衡が起こるのだが[6]、面白そうだからと夢美たちの世界に付いてきたため夢美が騒ぐ事態になった[7]

語尾に「〜だぜ」「〜か?」等を付ける言葉遣いで、テーマ曲の内部データに「絵理子(仮)のテーマ。」と書かれているなど、竹本泉の漫画『アップルパラダイス』に登場する朝ヶ丘絵理子と共通点がある。


岡崎 夢美[編集]

名前

岡崎 夢美

英字

Yumemi Okazaki

種族

人間[8]

テーマ曲

Strawberry Crisis!!

二つ名

出演作品

『夢』9面(最終面)ボス、自機としても使用可

大学で比較物理学を教えている教授[3]。歳は18で、やや若くして教授になった[※ 4]。科学は人間が怠けるのを認めるための手段だと言う[2]

夢美の世界では重力電磁気力原子間力など、全ての力の統一が「統一原理」として証明され、それ以外の力は存在を否定されていた。そこで夢美は学会にて、それに当てはまらない力“魔力”が存在すると考え発表したが、大笑いされ相手にされなかった。学会への復讐のため、北白河ちゆりと共に「可能性空間移動船」に乗り、博麗靈夢らのいる世界へとやって来る。ちゆりの撒いたチラシに釣られて船まで到達した魔法が扱える者に対しては、夢美が勝てば実験材料として連れて帰り、その力を詳細に調べて自らのものとしようとする。夢美が負けると、地球壊滅爆弾を使おうとするが、ちゆりにパイプ椅子で殴られ諦め[9]、チラシに書いてある通り勝者の望みを叶える。

その後、魔法のデータを集めて元の世界に帰り学会に発表するが、世界を救うのは宗教だとしたため学会を追放され、再び「魔法の存在する世界」を訪れる[10]

自機として登場する夢美は、ちゆりのミスで増えたもう一人の夢美。同一人物が同時に存在するとエネルギーの不均衡が起こり[6]平行警察に逮捕されるため[7]、互いが相手を消そうと戦い合い、エネルギーが弱まった夢美がもう一方の夢美へと戻った[10]


その他の登場人物[編集]

以下の2名はプレイヤーキャラクターではない。

る〜こと
『夢時空』靈夢ルートのエンディングに登場する。岡崎夢美が使っていた家事担当の万能アンドロイドで、博麗靈夢が勝利したため渡された。背中には放射能標識が描かれている。
ミミちゃん
魔理沙ルートのエンディングに登場する。霧雨魔理沙が岡崎夢美から貰ったICBM。魔理沙を乗せて飛行する。顔が描かれており、声も発する。

既存の登場人物[編集]

詳細は「東方Projectの登場人物」を参照

ここでは、『夢時空』が初登場ではない登場人物を解説する。

博麗 靈夢
博麗神社の巫女、主人公。楽天家で、生まれつき霊力はあるが修行不足。今回も怪しげと思いつつ、ついわくわくしてしまう。PC-9801版では空を飛べないため、亀に乗って戦う。
魅魔
博麗神社に恨みを持つ悪霊だったが、長い間悪霊をしている内に邪気がすっかり抜け、今では霊夢をからかうのが日課である。既に博麗神社の祟り神的存在となっている。人間より人間的な性格。
前作『封魔録』のボスキャラクターだが、今作では自機として登場する。
霧雨 魔理沙
魅魔を「魅魔様」と慕う魔法使い。少しばかり強力な魔法が使えるごく普通の少女。魔法使いであるためかなり頭が良い。
前作『封魔録』のボスキャラクターだが、今作では自機として登場する。『封魔録』からデザインが大きく変更されている。

曲目リスト[編集]

  1. 夢は時空を越えて - タイトルテーマ
  2. Selection - 使用登場人物選択テーマ
  3. 東方妖恋談 - 博麗靈夢のテーマ
  4. Reincarnation - 魅魔のテーマ
  5. Dim. Dream - 霧雨魔理沙のテーマ
  6. Tabula rasa 〜 空白少女 - エレンのテーマ
  7. Maniacal Princess - 小兎姫のテーマ
  8. 夢消失 〜 Lost Dream - カナ・アナベラルのテーマ
  9. 夢幻遊戯 〜 Dream War - 朝倉理香子のテーマ
  10. 魔法決戦! 〜 Fight it out! - CPU7人目のテーマ
  11. Sailor of Time - 北白河ちゆりのテーマ
  12. Strawberry Crisis!! - 岡崎夢美のテーマ
  13. 非統一魔法世界論 - 中ボスデモテーマ
  14. 魔法鐘愛 - 夢美デモテーマ
  15. 久遠の夢 - 共通エンディングテーマ
  16. 東方の青い空 - 昼エンディングテーマ
  17. 永遠の満月 - 夜エンディングテーマ
  18. Maple Dream... - スタッフロールテーマ
  19. 霊人の休日 - ネームレジストテーマ
  20. 勝利デモ - 勝利デモテーマ
  21. ゲームオーバー - ゲームオーバーテーマ

『怪綺談』には上記の曲に加え、『夢時空』用に作成されたものの使用・収録されなかった一部の曲が、「未使用曲」として収録されている。

  1. 時の風 - 未使用曲
  2. スターボウドリーム - 未使用曲
  3. Phantasmagoria - 未使用曲

関連項目[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. 『夢時空』同梱の「夢の人々.TXT」では「ふわふわエレン」と表記。
  2. エレンのテーマの予定だった未使用曲。『怪綺談』のPMDのタイトルは「Phantasmagoria 〜はたらきもので日が暮れて」。
  3. a b c d e f 『怪綺談』のExtraエンディングでは、『靈異伝』から『怪綺談』までの5作品に登場するオールキャストの名前と二つ名が英字で表記されている。ただし『靈異伝』からは靈夢のみ。『封魔録』以降でも、玄爺と名無しのボスキャラクターは表記されていない。
  4. a b ちゆりや夢美の世界では11歳で大学を、13歳で大学院を卒業する。

出典[編集]

  1. Amusement Makers(旧)公式サイト - ウェイバックマシン(2002年8月3日アーカイブ分)
  2. a b 『夢時空』エレンルートの9面。
  3. a b c 『夢時空』同梱の「おまけ.TXT」。
  4. 『夢時空』靈夢使用時・対理香子戦勝利時の台詞。
  5. 『夢時空』ちゆり・夢美以外のルートの8面、9面。
  6. a b 『夢時空』夢美ルートの8面。
  7. a b 『夢時空』ちゆりルートのエンディング。
  8. 『夢時空』靈夢ルートのエンディング。
  9. 『夢時空』ちゆり・夢美以外のルートのエンディング。
  10. a b 『夢時空』夢美ルートのエンディング。

外部リンク[編集]

テンプレート:東方Project