子安宣邦

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子安 宣邦(こやす のぶくに、1933年2月11日[1] - )は、日本思想史家。大阪大学名誉教授。日本思想史学会会長(1990-1993年度)[2]

経歴[編集]

川崎市生まれ。神奈川県立川崎高等学校卒業[3]。1957年東京大学文学部仏文科卒業、1962年同倫理学科卒業[4]。1967年東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)博士課程修了[1][5]。東京大学文学部助手[6]横浜国立大学講師[7]、助教授[8][9]大阪大学文学部助教授を経て[10]、1982年教授[11][12]。1996年東京家政学院筑波女子大学国際学部教授[13][14]

人物[編集]

日本思想史研究の大家。もともとは日本近世思想史が専門だが、21世紀に入ってから日本近現代思想史研究へとシフトしている[15]

東大時代、わだつみ会事務局員だった。わだつみ会事務局員だった岡田裕之はインタビューで「子安さんも共産党の活動はやっていたのですか」と聞かれ、「わだつみ会事務局の中心は党員が占めていますから,子安君は事務局で入党したはずです。」と述べている[16]。子安は溝口雄三への追悼文で「50年代の半ばすぎ〈革命〉運動に挫折した私たちは疲れ切って大学にもどってきた」と述べている[6]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『宣長と篤胤の世界』(中央公論社[中公叢書]、1977年)
  • 『伊藤仁斎――人倫的世界の思想』(東京大学出版会、1982年)
  • 『「事件」としての徂徠学』(青土社、1990年/筑摩書房[ちくま学芸文庫]、2000年)
  • 『鬼神論――儒家知識人のディスクール』(福武書店、1992年)
    • 『鬼神論――神と祭祀のディスクール』(白澤社、発売:現代書館、2002年)
  • 『本居宣長』(岩波書店岩波新書]、1992年/岩波書店[岩波現代文庫]、2001年)
  • 『「宣長問題」とは何か』(青土社、1995年/筑摩書房[ちくま学芸文庫]、2000年)
  • 『近代知のアルケオロジー――国家と戦争と知識人』(岩波書店、1996年)
    • 『日本近代思想批判――一国知の成立』(岩波書店[岩波現代文庫]、2003年)
  • 『江戸思想史講義』(岩波書店、1998年/岩波書店[岩波現代文庫]、2010年)
  • 『方法としての江戸――日本思想史と批判的視座』(ぺりかん社、2000年)
  • 『平田篤胤の世界』(ぺりかん社、2001年、新装版2009年)
  • 『「アジア」はどう語られてきたか――近代日本のオリエンタリズム』(藤原書店、2003年)
  • 『漢字論――不可避の他者』(岩波書店、2003年)
  • 『伊藤仁斎の世界』(ぺりかん社、2004年)
  • 『国家と祭祀――国家神道の現在』(青土社、2004年)
  • 福沢諭吉『文明論之概略』精読』(岩波書店[岩波現代文庫]、2005年)
  • 『本居宣長とは誰か』(平凡社[平凡社新書]、2005年)
  • 『宣長学講義』(岩波書店、2006年)
  • 『日本ナショナリズムの解読』(白澤社、発売:現代書館、2007年)
  • 『「近代の超克」とは何か』(青土社、2008年)
  • 『徂徠学講義――『弁名』を読む』(岩波書店、2008年)
  • 『昭和とは何であったか――反哲学的読書論』(藤原書店、2008年)
  • 『思想史家が読む論語――「学び」の復権』(岩波書店、2010年)
  • 『和辻倫理学を読む――もう一つの「近代の超克」』(青土社、2010年)
  • 『日本人は中国をどう語ってきたか』(青土社、2012年)
  • 歎異抄の近代』(白澤社、発売:現代書館、2014年)
  • 『帝国か民主か――中国と東アジア問題』(社会評論社[SQ選書]、2015年)
  • 『仁斎学講義――『語孟字義』を読む』(ぺりかん社、2015年)
  • 『「大正」を読み直す――幸徳・大杉・河上・津田、そして和辻・大川』(藤原書店、2016年)
  • 『仁斎論語――『論語古義』現代語訳と評釈(上・下)』(ぺりかん社、2017年)
  • 『「維新」的近代の幻想――日本近代150年の歴史を読み直す』(作品社、2020年)
  • 『〈古事記〉講義――「高天原神話」を解読する』(作品社、2022年)
  • 『神と霊魂――本居宣長・平田篤胤の〈神〉論アンソロジー』(作品社、2022年)
  • 『天皇論――「象徴」と絶対的保守主義』(作品社、2024年)
  • 『可能性としての東アジア』(白澤社、発売:現代書館、2014年)

共著[編集]

  • 『歴史の共有体としての東アジア――日露戦争と日韓の歴史認識』(崔文衡共著、藤原書店、2007年)

編著[編集]

  • 『日本思想史読本』(古田光共編、東洋経済新報社[読本シリーズ]、1979年、第3版1991年)
  • 『岩波講座 現代思想(全16巻)』(新田義弘、丸山圭三郎、三島憲一、丸山高司、佐々木力、村田純一、野家啓一共同編集委員、岩波書店、1993-1995年)
  • 『岩波 哲学・思想辞典』 (廣松渉、三島憲一、宮本久雄、佐々木力、野家啓一、末木文美士共編、岩波書店、1998年)
  • 『ブックガイドシリーズ基本の30冊 日本思想史』(編、人文書院、2011年)
  • 三木清遺稿「親鸞」――死と伝統について』(編著、三木清著、白澤社、発売:現代書館、2017年)

訳書[編集]

  • テツオ・ナジタ『懐徳堂――18世紀日本の「徳」の諸相』(岩波書店、1992年)

校注[編集]

  • 平田篤胤『霊の真柱』(岩波書店[岩波文庫]、1998年)
  • 平田篤胤『仙境異聞・勝五郎再生記聞』(岩波書店[岩波文庫]、2000年)
  • 本居宣長『排蘆小船・石上私淑言――宣長「物のあはれ」歌論』(岩波書店[岩波文庫]、2003年)
  • 本居宣長『紫文要領』(岩波書店[岩波文庫]、2010年)

監修[編集]

  • 桂島宣弘、佐藤弘夫、白山芳太郎、末木文美士、高橋文博、辻本雅史、中村生雄、宮川康子、吉田忠編『日本思想史辞典』(ぺりかん社、2001年)

出典[編集]

  1. a b 紀田順一郎、井上如、勝又浩、末吉哲郎編『現代日本執筆者大事典77/82 第2巻 (か~し)』日外アソシエーツ、1984年、425頁
  2. 日本思想史学会現役員・会則 日本思想史学会
  3. 戦争は少年の私に何を残したか 昭和の少年と戦争の記憶  子安宣邦 ( 近世日本思想史 大阪大学名誉教授 ) 日刊ベリタ、2016年10月17日
  4. 古田光、子安宣邦編『日本思想史読本』東洋経済新報社、1979年
  5. 本居宣長とは誰か 紀伊國屋書店
  6. a b 二つとない交友であったー溝口回想   子安宣邦 (近世日本思想史 大阪大学名誉教授) 日刊ベリタ、2016年6月20日
  7. 伊藤昇、大嶋三男、尾鍋輝彦編『講座国民性の教育 3』明治図書出版、1969年
  8. 金子武蔵編『日本における理法の問題』理想社、1970年
  9. 芳賀徹、平川祐弘、亀井俊介、小堀桂一郎編『講座比較文学 3 近代日本の思想と芸術 1』東京大学出版会、1973年
  10. 三枝充悳、今井淳編著『東洋文化と日本』ぺりかん社、1975年
  11. 日本思想史懇話会編『季刊日本思想史』第18号、ぺりかん社、1982年
  12. 子安宣邦『伊藤仁斎――人倫的世界の思想』東京大学出版会、1982年
  13. 『思想』1996年3月号、1996年4月号
  14. 子安宣邦『平田篤胤の世界』ぺりかん社、2001年
  15. 佐藤圭祐「子安宣邦著『「大正」を読み直す—幸徳・大杉・河上・津田、そして和辻・大川—』」『洛北史学』第19巻、2017年6月
  16. 今西一「占領下東大の学生運動と「わだつみ会」(II) : 岡田裕之氏に聞く」『商学討究』第60巻第4号、2010年3月

外部リンク[編集]