天の涯まで

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天の涯まで ポーランド秘史』(てんのはてまで ポーランドひし、ポーランド語: Aż do nieba: tajemnicza historia Polski)は、池田理代子による歴史漫画。

概要[編集]

フランス革命を題材とした池田の漫画作品『ベルサイユのばら』やナポレオン・ボナパルトを主人公とした池田の漫画作品『栄光のナポレオン-エロイカ』と同時代のポーランドポーランド王国およびリトアニア大公国)を舞台とした歴史漫画である。『ベルサイユのばら』の登場人物は本作には登場しないが、皇帝となったナポレオンは本作に登場している。

「ポーランド秘史」の副題がついているが、歴史上の新説などを取り入れたわけでもなく、日本においてポーランドの歴史の認知が低いことによるものであり、世界史の教科書にも掲載されているようなポーランド分割を描いている。フランス革命とナポレオンによるロシア遠征との間に埋もれて、授業を端折っている可能性は高い。

朝日ジャーナル』(朝日新聞社)において、1990年から1991年にかけて連載された。単行本は上下巻や全3巻で発売されている。

ポーランド語版の出版[編集]

1996年から1997年にかけてポーランドの出版社であるジャポニカ・ポロニカ・ファンタスティカから全3巻でポーランド語版が刊行された。記事冒頭のポーランド語タイトルは、この時の刊行物に依る。

ポーランドにおいては、この刊行によって、日本の漫画、アニメへのファンダム活動が起こったとされている。

また、ポーランド語版の本作は、ポーランドにおける日本の漫画作品として初めて著作権法に則って出版された作品でもある。本作以前の1986年に寺沢武一の漫画作品『BLACK KNIGHT バット』が、『Black Knight Batto』のタイトルで雑誌連載されたのが、ポーランドにおける日本の漫画の翻訳1号であるが、これは著作権者の許諾を得ていない海賊版であった。

あらすじ[編集]

ポーランドは肥沃な平原であり、17世紀にはヨーロッパで最も大きく、最も人口の多い国の1つであった。後にポーランド・リトアニア共和国と通称されるよう、国王の権力は弱く、大貴族たちの権力が強い。議会もあり、フランスに先駆けて共和制貴族共和制)を実施していたとも言える。国王の認定ですら「連盟」と呼ばれる団体による国王自由選挙によって行われる。

スタニスワフ・ポニャトフスキロシア帝国の強い後押しもあって、ポーランド国王に選出された。スタニスワフの弟・アンジェイはオーストリア有力貴族の娘との結婚式(しかもできちゃった結婚)の最中に、ロシア軍人の妻と不倫の末に出来た息子ユーゼフを認知するような女癖の悪い男であったが、祖国への思いは強かった。

ポニャトフスキ家では、王位を世襲にする内容も盛り込んだ5月3日憲法を議会で強行採決し、政治・経済改革を断行する。これに反対する大貴族はタルゴヴィツァ連盟を結成し、ロシア帝国に助力を求めた。ロシア帝国は軍隊を派遣、ユーゼフ指揮するポーランド軍は奮戦するも敗戦。国王スタニスワフがタルゴヴィツァ連盟に加わることを認め、憲法も停止という完全敗北となった。

ロシア、プロイセン、オーストリアによるポーランド分割が行われ、ポーランドは消滅することになる。

フランスではナポレオンが皇帝位につき、プロイセンやオーストリアと敵対するようになった。ナポレオンは自身の思惑もありワルシャワ公国の成立に力を貸す。これによって、ユーゼフもナポレオンに協力することになった。ユーゼフはポーランド・オーストリア戦争において、ワルシャワをオーストリア軍に占拠されるも旧ポーランドのクラクフを取り戻すなど活躍する。ナポレオン軍がオーストリアに勝ったこともあり、ワルシャワ公国はポーランド旧領の大幅な回復を果たした。

ナポレオンによるロシア遠征でもポーランド軍は奮戦したが、ライプツィヒの戦いに敗れたナポレオン軍が撤退する際の殿軍を務め、ユーゼフは死亡する。

登場人物[編集]

ユーゼフ・ポニャトフスキ
主人公。実母・ナターリア譲りの黒い髪。なお、ユーゼフが不倫の子というのは創作である。
終盤は口ひげも蓄える。
スタニフワフ・アウグスト・ポニャトフスキ
ポーランド国王。若いころに(ロシア女帝になる前の)エカテリーナと肉体関係にあり、第三次ポーランド分割でポーランドが消滅するちょい前くらいまで、エカテリーナを想い続けていた。
アンジェイ・ポニャトフスキ
スタニフワフ・アウグストの弟で、ユーゼフの実父。政治的な野心はまったくなく、国王である兄を軍事面から支える。
マリア・テレサ
アンジェイの正妻。金髪。実子であるフェリックスを偏愛し、ヨーゼフに冷たくあたる。
オーストリア帝国貴族の娘であり、できちゃった結婚のため父親の強権で挙式とあいなったこともあって、ポーランドに愛着は微塵もない。
フェリックス・ポニャトフスキ
ユーゼフの異母弟。創作された架空の人物。
セルゲイ・ミハイロフ
ユーゼフのロシア語教師。ユーゼフの実母・ナターリアの父親であった。
タデウシ・ボナヴェントゥラ・コシチューシコ
アンジェイを「ポーランドの敵」として刺したが、アンジェイから見込まれて士官学校へ入学するまでの間にユーゼフと面識を得る。
アメリカ合衆国で軍に加わり、民主共和制を信奉するようになる。ポーランドへの祖国愛は強いが、前述のように平民、農民たちによる民主共和制を目指しており、貴族共和制を目指すユーゼフとは最終的には道を違える。
コシチュシュコの蜂起を起こし、一時期はワルシャワなどを抑えることに成功するが、ロシアとプロイセンの物量の前に敗北し、ポーランドは消滅することになる。
テオドール・ウォチエンスキ
貧乏貴族の子息。父が亡くなって以降、土地や屋敷を売り払って生活している。
軍人として、友人としてユーゼフと交流する。
マリア・ヴァレフスカ
旧姓・ウォチエンスキ。テオドールの末の妹。
幼いながら、ユーゼフに恋心を抱く。祖父と孫ほどの年の差があるヴァレフスキ伯爵に求婚され(求婚時、ヴァレフスキ伯爵の実孫よりも年下であった)、ウォチエンスキ家の経済状態もあって婚姻を承諾する。その後、伯爵の人となりを知り、愛するようになったが、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトがワルシャワを訪れた際に、ナポレオンから求められ、ポーランド独立のためにと説得されて、ナポレオンのワルシャワでの現地妻となる。

ロシア[編集]

エカテリーナ2世
ロシアの女帝。
グリゴリー・ポチョムキン
ロシアの将軍。本作では眼帯を付けた隻眼として描かれている。
エカテリーナ2世の愛人。
軍事的才能は、ユーゼフたちポーランド軍人よりはるかに高い。

フランス[編集]

ナポレオン・ボナパルト
フランス皇帝。ポーランド貴族娘たちからは「ちび」「小太り」「ハゲ」と評価されているが、その軍事的才能からちやほやされる。
ミュラ将軍
ワルシャワに先入りしてくる。
タレーラン
フランスの外相。ナポレオンにマリア・ヴァレフスカを要求するようアドバイスする。

外部リンク[編集]