同和鉱業片上鉄道線

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片上鉄道線(かたかみてつどうせん)とは、岡山県備前市片上駅から久米郡柵原町(現・美咲町)の柵原駅までを結んでいた同和鉱業(現・DOWAホールディングス)の鉄道路線である。

概要[編集]

吉井川高瀬舟に頼っていた柵原町にあった柵原鉱山で産出される硫化鉄などの鉱石を運搬するための代替鉄道として建設された。
全線非電化であったが鉱石輸送が主体故に交換駅の有効長は長く、枕木も木枕木ではなくPC枕木を使用し、廃止直前の時期でも丁寧に整備が行われているなど地方鉄道としては高規格であった。

1991年(平成3年)の廃線前には、日光江戸村などのレジャー事業も手掛けていた大新東が沿線に計画していたテーマパークへのアクセス鉄道に片上鉄道を利活用するプランも持ち込まれたが、バブル崩壊に伴う大不況により立ち消えとなった。

歴史[編集]

開業は3段階に分かれ、1923年(大正12年)1月に片上 - 和気、同年8月に和気 - 井ノ口、1931年(昭和6年)2月に井ノ口 - 柵原間が順に開業した。なお柵原までの開通時に井ノ口駅は廃止されている。

産業鉄道ということで、松尾鉱業専用線尾小屋鉄道三岐鉄道と共に、戦時中の陸運統制令による統合の例外とされ、日本鋼管群馬鉄山専用線と異なり、国有化の対象からも外れ、最後まで独立を保っていた。

1970年前後以降、石油脱硫装置の普及で硫化鉄の需要が減り、晩年は国産鉱石の更なる需要低下によるトラック輸送への切り替え、沿線の人口減少で旅客輸送主体にも切り替えられず、1991年7月に廃線となった。

駅一覧[編集]

全駅岡山県内に所在。所在地名などは廃止時点のもの。

駅名 駅間キロ 営業キロ 建設キロ(駅中心) 接続路線・備考 所在地
片上駅 - 0.0 0k281m64 西日本旅客鉄道:赤穂線西片上駅 備前市
清水駅 4.1 4.1 4k355m29   和気郡 和気町
中山駅 1.6 5.7 5k934m46  
和気駅 2.9 8.6 8k872m21 西日本旅客鉄道:山陽本線
ダブル・チェイン (9k808m856-9k803m444 +5m412)
本和気駅 1.5 10.1 10k392m34  
ブレイク・チェイン (11k312m60-11k314m10 -1m51)
益原駅 1.5 11.6 11k882m99  
天瀬駅 2.9 14.5 14k816m02   佐伯町
河本駅 1.8 16.3 16k590m32  
備前矢田駅 2.0 18.3 18k567m81  
(貨)井ノ口駅 1.1 19.4   1931年2月1日廃止
苦木駅 2.8 22.2 22k526m79  
杖谷駅 2.0 24.2 24k482m15  
備前塩田駅 1.3 25.5 25k793m28  
備前福田駅 1.7 27.2 27k439m32   赤磐郡
吉井町
周匝駅 1.3 28.5 28k775m07  
美作飯岡駅 1.1 29.6 29k873m45   久米郡
柵原町
ダブル・チェイン (31k024m773-30k981m944 +42m829)
吉ヶ原駅 2.9 32.5 32k689m80  
ダブル・チェイン (33k807m348-33k798m517 +8m831)
柵原駅 1.3 33.8 33k997m39  

跡地[編集]

廃線跡を活用して岡山県道703号備前柵原自転車道線(愛称:片鉄ロマンロード)が整備されている。吉ヶ原駅周辺は柵原ふれあい鉱山公園として整備され、現役時代の車両が保存されている。

関連項目[編集]

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