Z変換

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Z変換(ぜっとへんかん)とは、離散時間信号を複素平面上で表現する数学的手法。連続量に対するラプラス変換に相当する。

定義[編集]

性質[編集]

用途[編集]

差分方程式[編集]

差分方程式は、離散的な微分方程式のようなものである。
微分方程式を解く際には、ラプラス変換を利用できたが、
差分方程式を解く際には、Z変換を利用できる。

伝達関数[編集]

Z変換を用いると、伝達関数を複数種類直列に施す場合でも掛け算の形で表記できる。

変換表[編集]

変換表 収束域
単位インパルス
単位ステップ
指数関数
遅延 の収束域

双一次変換[編集]

双一次変換とは、s領域(連続)の伝達関数をz領域(離散)の伝達関数に変換する等角写像である。
双線形変換や双一次Z変換、タスティン変換、台形差分法とも呼ばれる。
sはサンプリング周期Tを用いて、(近似的に)

と表される。これを用いて、種々の伝達関数をz領域に変換できる。

ただし、もとの周波数とは少し異なる周波数へ写像される。
この歪みは低周波領域ではほとんど目立たないが、ナイキスト周波数に近づくほど顕著になる。

インパルス不変変換[編集]

インパルス不変変換とは、アナログフィルタの伝達関数をデジタルフィルタの伝達関数に変換する方法である。
フィルタ設計に用いるので、インパルス不変設計法とも呼ばれる。

  • アナログフィルタの伝達関数を逆ラプラス変換して、アナログフィルタのインパルス応答を得る。
  • アナログフィルタのインパルス応答を標本化して、デジタルフィルタのインパルス応答を得る。
  • デジタルフィルタのインパルス応答をZ変換して、デジタルフィルタの伝達関数を得る。

という過程を一つの変換で置き換えるのが、インパルス不変変換である。
インパルス不変変換をする際には、アナログフィルタの伝達関数を部分分数分解しておく下準備をする。

関連項目[編集]