分霊箱
分霊箱とは、ハリー・ポッターシリーズに登場する魔法アイテム。
概要[編集]
生前、切り分けた自らの魂を「もの」に封じ込めることで、たとえ残った魂が宿る本体が死んだとしても「もの」が無事な限り完全に死ぬことはない。魂が封じ込められた「もの(この場合、対象は無機物でも有機物でも、たとえ生き物であっても良い)」を総称して分霊箱と呼ぶ。分霊箱はほぼ破壊不可能なため、魂は安泰である。強力なアイテムであるが、魂を切り分けるには、誰かを殺害する必要があるほか、魂を切り分けた後は精神的・肉体的に不安定な状態となる。作中、これを有意義に用いたのがトム・リドルことヴォルデモート卿である。
本編にて[編集]
本編より前、ハリー・ポッター(以下ハリー)一家はヴォルデモート卿に襲撃される。結果として父母は死亡するも、赤ちゃんだったハリーは額に傷を負ったのみで、逆にヴォルデモート卿を撃退することに成功する。時はすすみハリーが2年生の頃、秘密の部屋が開けられ、ホグワーツ魔法魔術学校が危機に陥る。彼は偶然にも、若きトム・リドルの記憶が封じ込められた日記を手にする。その後、独断で秘密の部屋に乗り込み記憶から抜け出てきたトム・リドルと対峙、その際手元にあったリドルの日記をバジリスクの牙で破壊したことで難を逃れた。ハリーが4年生の頃、ついにヴォルデモート卿が復活。ハリーが6年生になると、ダンブルドア校長は、ハリーに個別授業を提案する。授業内容に関してダンブルドアは、「学生時代、ヴォルデモート卿は「分霊箱」に興味を引かれていた、ゆえに自身の魂を切り分けたはずである。切り分けたとしたら何個か、7個(本体+6)だろうと予測する。ハリーにはこれから自分が集めた過去の記憶を通して、ヴォルデモート卿を直接的・間接的に分析し、6つの分霊箱の形や場所を探り、見つけ出してもらいたい」と語る。さらに、既に2つの分霊箱の破壊に成功していることを告げた。それが「リドルの日記」と「ゴーント家の指輪」である。ダンブルドアはこの指輪を手にする際、ヴォルデモート卿が仕掛けた呪いを被り右手がお釈迦になった。ハリーは、この授業を通して「スリザリンのロケット」と「ハッフルパフのカップ」が新たな分霊箱であるとし、終盤、ロケットを探しに行くも、既に何者かによって持ち去られ偽物とすり替えられていた後であり、収穫はなかった。ホグワーツ帰還後、弱り切ったダンブルドアは、闇の陣営に寝返ったスネイプによって殺害されてしまう。
ダンブルドアの死後、ハリーはホグワーツには戻らず、親友のロンとハーマイオニーとともにダンブルドアの残した仕事(分霊箱探し)を継続する。そのなかで、魔法省に潜入することで本物のロケットを見つけ出すことに成功した。破壊に四苦八苦するも、とある出来事からグリフィンドールの剣を手にする。そこでハリーの頭はフル回転(分霊箱のひとつであった日記は、バジリスクの牙によって破壊できた=バジリスクを貫いた際に血を吸収したグリフィンドールの剣にも同じ効果が付与されているのでは?)。そこで剣をロンに託し、ロケットの破壊に成功する。その後、さらにグリンゴッツ銀行に潜入することでカップの方も手に入れる。ハリーは、残された分霊箱はリドルが慣れ親しんだホグワーツにあると推測し、その勢いのまま、3人とも既に敵の手中にある学校に堂々帰還。ヴォルデモート卿陣営によるホグワーツ総攻撃が迫るなか、ルーナの助言をもとに5つ目の分霊箱である「レイブンクローの髪飾り」を探し出し、悪霊の火で破壊する。一方再び秘密の部屋に赴いたロンとハーマイオニーによってカップの破壊に成功し、残る分霊箱があと1つになる。ハリーはヴォルデモート卿のペットである蛇のナギニが最後の分霊箱と確信。同時に、ハリーにとっては因縁の相手であるセブルス・スネイプの死を、彼の涙を汲みながら見送る。
ハリーは、セブルスの意図を汲むため、その涙を校長室にあるペンシーブに注ぎ、スネイプの記憶を垣間見る。実はスネイプはハリーの母親を愛していたこと、ハリーを在学中ずっと見守っていたこと、ダンブルドアの殺害は彼自身によってお願いされていたことなどが判明するも、重要なのは、ダンブルドアにより、ハリー自身がヴォルデモート卿があの日、ハリーを殺そうとした際に予期せずして作った最後の、7番目の分霊箱であることが語られる。彼は、ハリーの魂のなかに、切り分けられたヴォルデモート卿の魂が存在するからして、ハリーがヴォルデモート卿と同じく蛇語を話せることや、ヴォルデモート卿との間の感情や場面を伴う不思議な絆にも説明がつくと力説する。自身が死なないと、ヴォルデモート卿を完全に倒すことができないと悟ったハリーは、記憶を見終わった後、ナギニの殺害をネビルに依頼し、ヴォルデモート卿陣営が集う禁じられた森に赴く。その後、ヴォルデモート卿はハリーを殺害。しかしハリーのなかのヴォルデモート卿の魂は破壊されど、母親の守りによってハリーは生き返った。そして最後の戦いが繰り広げられるなかで、ネビルはナギニを殺害、最後にハリーはもう魂のストックがないヴォルデモート卿を追い詰め、ついに滅ぼすことに成功する。
関連項目[編集]
- 指輪物語に登場するサウロンの指輪