指輪物語
三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命(さだめ)の人の子に、
一つは、暗き御座(みくら)の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕えて、
くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。
指輪物語(英: The Lord of the Rings, LOTR)は、イギリスのJ・R・R・トールキンによる長編ファンタジー小説。1954年から1955年にかけて、合計三巻(一巻 - 旅の仲間、二巻 - 二つの塔、三巻 - 王の帰還)が刊行された。後にピーター・ジャクソン監督により映画化され、日本でもロード・オブ・ザ・リングシリーズとして2001年から2003年にかけて公開された。
あらすじ[編集]
中つ国(架空の大陸)を舞台に、ホビット族のフロド・バギンズと彼の仲間の冒険を描く。
ホビット庄に住むフロドは、ひょんなことから義父ビルボ・バギンズにより黄金に輝く指輪を譲り受ける。それは、指にはめることで自身の姿を消すことができる不思議な指輪であった。その後、この指輪の正体が、かつての冥王サウロンが所持していた「一つの指輪」と判明すると同時に、敗北し実体を失ったサウロンとその配下がこの指輪を捜索していることも明らかになった。この指輪が再びサウロンの手に渡れば、必ずや復活し、中つ国は脅威にさらされる。フロドは指輪所持者の責務として、指輪の破壊(指輪には莫大な力が宿っているため、一般的な方法では傷ひとつつけられない。唯一の方法として、サウロンが指輪を鋳造した、モルドールにある滅びの山の火口に直接投じることで破壊することができる)を目的としたモルドールへの長旅に身を投じることとなった。
登場人物[編集]
旅の仲間[編集]
フロドをモルドールまで導き、時に敵から彼を守ることを目的に結成された一行。
- フロド・バギンズ - ホビット族の青年。指輪所持者。
- ガンダルフ - 灰色の魔法使い。一行のリーダー的存在で、杖を使い仲間の窮地を救う。彼とサルマンは中つ国の外からやってきたマイア(神)であり、打倒サウロンの使命を帯びている。しかし、本来の力はかなり制限されている。
- サム - フロドと同じホビット族出身。彼の家に使える庭師でもあり、とても忠実。作中彼と最も時間を共にした。
- メリー - ホビット。フロドの友人。
- ピピン - 同じくホビットであり、フロドの友人。映画ではお調子者として、一行をたびたび危機に陥れる。
- アラゴルン - 人間。ストライダー(野伏)として中つ国を彷徨っているが、実際は王家の血筋を引く凄い人。ガンダルフが一行から去ってからはリーダーとしての素質が表れる。
- レゴラス - エルフ。エルフの王の息子。長い金髪と並外れた身体能力が特徴(映画にて)。特に弓矢に扱いにかけては映画No.1。
- ギムリ - ドワーフ。背丈は短く、立派な髭が特徴的。斧を用いて戦い、映画ではそのタフさが際立っていた。
- ボロミア - 人間。ゴンドール王国の執政の息子。フロドの持つ指輪に執着がある。
その他[編集]
- エルロンド - エルフ。裂け谷の領主。彼が主催する会議にて、指輪の破壊が決定され、旅の仲間が結成された。
- アルウェン - エルロンド卿の娘。アラゴルンと恋仲。
- ガラドリエル - エルフの女性。ロスローリエン一帯を治める、実力者。
- セオデン - ローハン王国の王。魔法使いサルマンに操られている。
- エオウィン - セオデンの姪。
- デネソール - ゴンドール王国の現執政。ボロミアとファラミアの父。自身の権力を気にしている。
- ファラミア - デネソールの息子。オスギリアス(ゴンドールを守る砦)の守備隊長。
敵側[編集]
- サウロン - ラスボス。物語開始以前に、人間とエルフの連合軍と相対し、結果敗れて滅んだとされていたが…実際には形を失って生き延びていた。指輪の本来の持ち主。
- サルマン - 白の魔法使い。ガンダルフなど味方陣営を裏切って、サウロンに与する。実力はガンダルフと五分五分かそれ以上。
- ナズグル(ナズグール) - サウロンの配下。実体のないサウロンに代わり指輪の行方を追う。元人間の王。ナズグルの首領はアングマールの魔王と呼ばれている。
- ゴラム - ビルボの前に指輪を所持していた。指輪の影響から、元ホビットだとは想像つかない程に外見が変化している。スメアゴルという別の人格も併せ持ち、フロドとサムをモルドールへ導く。
- エント - 木の精霊。かなり強い。メリーとピピンを救う。
- バルログ - モリアに住む古代の魔物。ガンダルフと対峙する。
- ジェロブ - 巨大なおばあちゃん蜘。
種族[編集]
地理[編集]
- ホビット庄 - ホビット族の住まう地域。緑豊かな平和な場所。
- ブリー村 - フロドら四人のホビットにとっての最初の目的地。ここでアラゴルンと出会う。
- 裂け谷 - フロドらホビットの4人と彼らが最初に出会ったアラゴルンが訪れた、霧ふり山脈の近くにある憩いの場(避暑地?みたいなもの)。旅する者を受け入れている。
- エリアドール - 霧ふり山脈によって区切られた一方の領域。ホビット庄や裂け谷が位置する。
- 霧ふり山脈 - 長い山脈。霧で覆われている。
- モリア(坑道) - かつてドワーフが生活し、鉱石を掘削していた。物語中では無人。
- ロスローリエン - ガラドリエルとその夫ケレボルン治めるエルフの森。
- ファンゴルンの森 - 木の精霊エントの棲家。入るのに戸惑う嫌な森。
- エミン・ムイル - 荒野。
- 死者の沼地 - かつて大きな戦が行われたため、その時の死体が沼地の底に眠っている。
- アイゼンガルド - 魔法使いサルマンの居城。敵の種族オークなどを生み出す。
- ローハン王国
- エドラス - ローハン王国の王都。
- ヘルム峡谷
- 白の山脈 - ゴンドールとローハンの間の伝達手段であえる狼煙が設置されている(映画にて)。
- ゴンドール王国 - ローハン王国とは同盟関係にある。モルドールの勢力拡大の影響を一番に受けている。
- ミナス・ティリス - ゴンドールの王都。デネソールが治める。
- ミナス・モルグル
- オスギリアス
- モルドール - 敵側のサウロンが支配する領域(国)。
- 黒門(モランノン) - モルドールの入り口。モルドールは周囲を山脈で囲まれているため、ほぼ唯一の入り口。映画では重そうな扉が描かれている。
- パラド・ドゥア - サウロンの根城。1000mを超える超高層の城。映画では城の一番上に「サウロンの目」が居座り、指輪の行方を監視している。
- 滅びの山(オルドイン) - 活火山。一行の最終目的地。
用語[編集]
- 一つの指輪
- エルフ語
参考文献[編集]
- J・R・R・トールキン 『新版 指輪物語』1、瀬田貞二・田中明子訳、評論社、2014年(原著1992年)、17刷。ISBN 9784566023543。