パーソナリティ障害

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パーソナリティ障害(:Personality disorder)とは、性格によりかなりの苦痛や機能の障害をもたらしている場合のことである[1]
「人格障害」や「性格異常」「精神病質」などの呼ばれ方は現在では使われなくなってきている[1]が、精神医学などの発達により、問題化されている。
10種類に分類され、3つのグループ(A群、B群、C群)に分類できるとされる。

概要[編集]

通常青年期または成人初期に明らかとなり始めるが、より早期(小児期)にパーソナリティ障害の徴候が明らかとなる場合もある。 加齢とともに軽減または消失する傾向がある病型(例:境界性、反社会性)もあれば、そうなる可能性の低い病型(例:強迫性、統合失調型)もある。

A群[編集]

A群は奇妙または風変わりな様子を特徴とするといわれ、このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれるとされる。

これらは軽度の統合失調症に類似しているが、薬物療法では限定的な対処となる。

B群[編集]

B群は演技的、感情的、または移り気な様子を特徴とするとされる。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれるという。

  • 反社会性(ASPD,F60.2) - 社会的無責任、他人の軽視、欺瞞、自分の利益を得るための他人の操作。B群の四つをすべて備えていることが多い。
  • 境界性(BPD,F60.3) - 心の中の空虚さ、人に見捨てられることへの恐れ、不安定な人間関係、感情や衝動的行動をコントロールすることの問題。遺伝率は、69%である。[2]
  • 演技性(HPD,F60.4) - 人の注意を引きたい欲求と劇的な行動。遺伝率。遺伝率は、67%である。[2]
  • 自己愛性(NPD,F60.8) - 賞賛されたいという欲求、共感性の欠如、および自分の価値についての過大評価(誇大性と呼ばれる)遺伝率は79%である。[2]


C群[編集]

C群は不安や恐れを抱いている様子を特徴とするとされる。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれるとされる。

  • 回避性(APD,F60.6):拒絶される恐れによる対人接触の回避。遺伝率は28%である。[2]
  • 依存性(DPD,F60.7):服従と依存(面倒をみてもらいたいという欲求による)遺伝率は57%である。[2]
  • 強迫性(OCPD,F60.5):完全主義、柔軟性のなさ、頑固さ。遺伝率は78%である。[2]

A群は、統合失調症の症状に類似している。
B群の反社会性パーソナリティ障害は、病識がないため診断に引っかからない(そもそも医療機関に訪れない)ことからきわめて扱いづらい。 遺伝率はパーソナリティ障害平均で約60%と高いという研究があるが、[2]研究によっては異なる遺伝率になることもある。[3]

反社会性パーソナリティ障害[編集]

もっとも扱いづらいパーソナリティ障害であり、「ソシオパス」「サイコパス」「精神病質」は類語である。

  • 自尊感情は強いが、自己評価は低い。したがって批判を許さない。
  • 属事的問題解決能力が低く、属人的な方法に頼る。いわゆる「政治力」に頼る。他者に命令することはあっても、自分では手を出さない。

したがって、「自分の腕に自信がある」タイプのひとは、「自身のパーソナリティが社会的通念と乖離しているのではないか?」という疑問は持ちつつも、「反社会性パーソナリティ障害」には当たらない。いわゆるハッカーがこれに当たり、「人間やめますか、ハッカーやめますか」と問われて「人間やめます(笑)」と答えるタイプである。

  • 盲目的に権威に頼りがちである。信仰心は強いが教義には無関心 - 「そういう決まりだから」が口癖。
  • 自省的・内省的ではなく、外責的であり他罰性が高い。
  • 「見捨てられ恐怖」が強く、他者に対する支配欲が強い。
  • ポータライゼーション(両極化・極端化)- 「エホバか、サタンか」のような形であらわれる。どちらにも分類できない他者は、「世の人」であり、全身全霊を「真理」に捧げない者はサタンとして使い捨てる。「ブラック企業」の経営者や管理職、公立学校の教師や学校の運動部のコーチなどに多くみられる。「期待を裏切られた」という思いが伴い、徹底的にツブす。「それは何の得にもならないだろう」と思うが、これは損得勘定の話ではなく、「感情」の問題なので受容できない。
  • 終末思想に惹かれがちである。「現世はサタンによって汚されており、ハルマゲドンによってサタンが滅ぼされたのちに『天の国』がやってきて、エホバな人々は永遠に幸福な生活を送る」とかいった話を信じたりする。

など、数々の兆候はあるものの、なかなか露わにはならない(ただし、被害者は多く、ジャニーズ事務所や宝塚歌劇団などの例がある。かつては戸塚ヨットスクール事件などもあった)。昨今では、「ハラスメント」という言葉はあるものの、個人としての対抗はいまだ困難である。

脚注[編集]

関連項目[編集]