九七式艦上偵察機
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九七式艦上偵察機(きゅうななしきかんじょうていさつき)は、大日本帝国海軍が第二次世界大戦前に採用した艦上偵察機である。記号はC3N1。開発は中島飛行機が担当した。
概要[編集]
1935年(昭和10年)、日本海軍は九四式艦上偵察機の後継機となる九試艦上偵察機の開発を中島飛行機に指示した。この新型機は、当時開発中であった九六式艦上攻撃機(B5N)の主翼と降着装置を流用し、胴体を新設計するというものであった。
中島飛行機は、1936年(昭和11年)2月に試作機を完成させた。機体は単葉、低翼形式で、エンジンには中島「光」一型空冷星型エンジン(公称820馬力)を搭載した。試験飛行の結果は良好で、偵察機としての性能も十分と判断されたため、海軍は1937年(昭和12年)に九七式艦上偵察機として制式採用した。
しかし、九七式艦上偵察機の生産数は少数に留まった。これは、同時期に開発が進められていた九七式艦上攻撃機が、偵察能力も兼ね備えていたためである。九七式艦上攻撃機は、九七式艦上偵察機と共通の設計思想を持ち、かつ雷撃・爆撃能力も有していたため、海軍はより汎用性の高い九七式艦上攻撃機を優先して配備する方針を採った。
結果として、九七式艦上偵察機は48機が生産されたのみで、1940年(昭和15年)には生産を終了した。実戦での運用は限定的で、主に訓練や連絡任務に使用されたとされる。
性能諸元[編集]
- 乗員: 3名
- 全長: 10.00 m
- 全幅: 15.00 m
- 全高: 3.00 m
- 主翼面積: 37.0 m²
- 自重: 2,200 kg
- 全備重量: 3,300 kg
- 発動機: 中島「光」一型 空冷星型9気筒 820 hp × 1
- 最大速度: 378 km/h(高度2,500 m)
- 巡航速度: 235 km/h
- 実用上昇限度: 7,000 m
- 航続距離: 1,800 km
- 武装: 7.7mm機関銃 × 1(後方旋回式)
豆知識[編集]
九七式艦上偵察機の開発は、九七式艦上攻撃機の開発と密接に関連しており、双方の機体で多くの部品が共通化されていました。これは、当時の日本の航空機産業における効率化の一環とされています。