グラウビュンデン州
グラウビュンデン州(グラウビュンデンしゅう、ドイツ語:Graubünden)は、スイス南東部にある州(カントン)。州都はクール[1]。面積は約7,100 km²で、スイスの州では最も広い[2]。人口は20万7,400人(2025年末の常住人口)[3]。
地理[編集]
アルプス山脈に位置する山岳州で、リヒテンシュタイン、オーストリア、イタリアの3か国と接する。スイス国内では、ティチーノ州、ウーリ州、グラールス州、ザンクト・ガレン州と隣接する。最高地点は標高4,049 mのピッツ・ベルニナである。
州内には多くの谷や湖があり、河川は複数の水系に分かれる。ライン川の水は北海へ、イン川の水はドナウ川を経て黒海へ流れ、南部などの河川はアドリア海へ流れる水系に属する。
エンガディン地方などには、1914年に設立されたスイス国立公園がある[2]。
歴史[編集]
古代には現在の州域にあたる地域がローマ帝国の支配下に入り、ラエティアと呼ばれる地域の一部をなした。現在も話されるロマンシュ語は、この地域に広まったラテン語に由来する[4]。
中世には地域ごとに同盟が形成され、1524年に灰色同盟など3つの同盟が結びついて、三同盟の自由国を成立させた。1799年にはヘルヴェティア共和国へ編入され、1803年にスイスの構成州となった[5]。
言語[編集]
州の公用語はドイツ語・ロマンシュ語・イタリア語の3言語であり、スイスで唯一、3つの州公用語を持つ州である。
ロマンシュ語は、スルセルヴァやエンガディンなどで話されている。地域による方言差があり、共通の書き言葉としてルマンシュ・グリシュン(Rumantsch Grischun)が整えられている[4]。
イタリア語では州名をGrigioni、ロマンシュ語ではGrischunという[6]。
経済と交通[編集]
観光は州の経済で重要な位置を占める。サンモリッツやダヴォスなどの保養地があり、夏季・冬季を通じた観光やスポーツの拠点となっている。山地での農業や、クール周辺などでのブドウ栽培も行われる[1]。
鉄道では、レーティッシュ鉄道が州内の都市や観光地を結ぶ路線網を持つ。ベルニナ急行や氷河急行は、山岳景観を楽しむ観光列車として知られている[6]。
文化遺産[編集]
州内には、次のような世界遺産がある。
- ミュスタイルのベネディクト会聖ヨハネ修道院 - 1983年登録。カロリング朝時代の壁画などを残す修道院[7]。
- レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観 - 2008年登録。山岳地帯を通る鉄道施設と沿線景観が評価され、スイスとイタリアにまたがる世界遺産となっている[8]。
脚注[編集]
- ↑ a b Survey of the Grisons グラウビュンデン州政府、2026年10月23日閲覧。
- ↑ a b Geografie グラウビュンデン州政府、2026年10月23日閲覧。
- ↑ Bevölkerungsstatistik 2025: Graubünden zählt 207'400 Einwohner/-innen グラウビュンデン州政府、2026年8月20日公表、2026年10月23日閲覧。
- ↑ a b アレグラ!スイスの4つめの言語、ロマンシュ語に注目 スイス連邦外務省「About Switzerland」、2024年1月11日公開、2026年10月23日閲覧。
- ↑ 500 Jahre Freistaat Drei Bünde – Heute vor 500 Jahren: Drei Bünde besiegeln ihren Zusammenschluss グラウビュンデン州政府、2024年9月23日公表、2026年10月23日閲覧。
- ↑ a b グラウビュンデン地方 スイス政府観光局、2026年10月23日閲覧。
- ↑ Benedictine Convent of St John at Müstair UNESCO World Heritage Centre、2026年10月23日閲覧。
- ↑ Rhaetian Railway in the Albula / Bernina Landscapes UNESCO World Heritage Centre、2026年10月23日閲覧。