護衛艦 FFM-5 やはぎ
やはぎ(英語: JS Yahagi, FFM-5)は、海上自衛隊の護衛艦。もがみ型護衛艦の5番艦。艦名は矢作川に由来し、日本海軍の矢矧、やはぎに続き日本の艦艇としては3代目、海上自衛隊の艦艇としては2代目となる。
概要[編集]
「やはぎ」は、防衛省が策定した中期防衛力整備計画に基づき、フリゲートの多機能化・省人化を目的として建造が進められているもがみ型護衛艦の1隻である。本艦は、2020年代半ばの就役を予定しており、海上自衛隊の沿海域における多様な任務への対応能力向上に貢献することが期待されている。
来歴[編集]
「やはぎ」の建造計画は、2020年度の防衛予算において承認された。2021年4月1日に三菱重工業と建造契約を締結し、2022年1月19日に三菱重工業長崎造船所で起工された。2023年6月23日には同造船所にて進水式が行われ、命名式において「やはぎ」と命名された。今後、艤装および各種試験を経て、2025年頃に海上自衛隊に引き渡され、就役する予定である。
性能[編集]
「やはぎ」の基本設計は、先行するもがみ型護衛艦と共通している。 本艦の最大の特徴は、従来の護衛艦に比べて大幅な省人化が図られている点にある。約90名という乗員数は、同規模の護衛艦と比較して約半分に削減されており、これにより維持管理コストの低減と乗員の負担軽減が実現されている。
また、ステルス性の向上が図られており、レーダー反射断面積(RCS)の低減に重点が置かれた船体設計が採用されている。これにより、相手からの探知を困難にし、生存性を高めている。
装備[編集]
「やはぎ」は、対潜水艦戦、対水上戦、対空戦、機雷戦など、多岐にわたる任務に対応できるよう、最新鋭の各種装備を備えている。
- 62口径5インチ単装速射砲:艦首に1門装備されており、対水上射撃、対空射撃に使用される。
- SeaRAM:近接防御用の個艦防衛ミサイルシステム。対艦ミサイルなどに対する最終防御手段として機能する。
- VLS(Mk.41):垂直発射システム。艦対空ミサイルや艦対艦ミサイル、対潜ミサイルなどを搭載可能であり、任務に応じて柔軟に武装を換装できる。
- 12.7mm機銃:近距離での脅威に対処するため、複数箇所に装備されている。
- 対潜魚雷:対潜水艦戦において使用される。
- SH-60K哨戒ヘリコプター:艦尾のヘリコプター甲板に1機搭載可能。哨戒、警戒監視、救難活動などに用いられる。
艦歴[編集]
- 2022年1月19日:三菱重工業長崎造船所にて起工。
- 2023年6月23日:進水。命名式にて「やはぎ」と命名される。
- 2025年頃:就役(予定)。
豆知識[編集]
「やはぎ」の艦名は、愛知県と岐阜県を流れる矢作川に由来する。日本の多くの河川と同様に、矢作川も古くから人々の生活に深く関わってきた歴史を持つ。艦名の選定においては、河川名が国民に広く親しまれ、その地に根差した親しみやすさを持つことが考慮されることが多い。また、漢字表記の「矢矧」は、過去の艦艇にも用いられており、日本の海軍の歴史と伝統を受け継ぐ意味合いも込められている。
関連項目[編集]
参考書籍[編集]
- 『世界の艦船』各号, 海人社
- 『自衛隊装備年鑑』各年版, 朝雲新聞社