海上自衛隊 護衛艦 FFM-1 もがみ
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もがみ(JS Mogami, FFM-1)は、海上自衛隊の護衛艦。もがみ型護衛艦の1番艦。艦名は最上川に由来し、この名を受け継ぐ日本の艦艇としては、旧日本海軍の通報艦「最上」、重巡洋艦「最上」に続き3代目にあたる。
概要[編集]
「もがみ」は、防衛省が策定した平成30年度計画において、これまでの汎用護衛艦(DD、DD)と比べ、より多機能でコンパクトな新しい護衛艦として開発されたフリゲート(FFM)である。警戒監視能力の強化、機雷戦能力の向上、そして無人機(UUV、USV、UAVなど)運用能力の付与を特徴としている。
本艦は、それまでの護衛艦が有していた対潜、対空、対水上能力に加え、機雷戦能力を大幅に向上させている点が特筆される。これにより、掃海艇が担っていた機雷掃討・敷設任務の一部を護衛艦が実施できるようになり、多様な任務への対応能力が強化された。また、少人数での運用を可能にするため、AI技術の導入や省力化設計が随所に盛り込まれている。
来歴[編集]
「もがみ」は、2019年10月29日に三菱重工業長崎造船所で起工された。当初は三井E&S造船玉野事業所で建造される予定であったが、三菱重工業が事業を継承したため、長崎で建造されることになった。
2021年3月3日に進水し、「もがみ」と命名された。その後、艤装工事と海上公試を経て、2022年4月28日に就役し、護衛艦隊隷下の第13護衛隊に編入され、大湊基地に配備された。
装備[編集]
「もがみ」は、省力化と多機能化を両立させるため、各種の最新装備を搭載している。
兵装[編集]
- 62口径5インチ単装速射砲:艦首に1門装備。
- 日本製鉄製12.7mm多目的機関銃:艦橋両舷などに遠隔操作式で複数装備。
- SeaRAM近SAM:艦橋構造物後方に1基装備。
- 17式艦対艦誘導弾:艦中央部に連装発射筒2基装備。
- 魚雷発射管:3連装発射管2基装備。
- Mk.41 VLS:艦橋構造物前方に16セル装備。07式垂直発射魚雷投射ロケットなどを運用する。
- 遠隔機雷掃討システム(OQQ-21):機雷戦能力の中核を担う。
センサー[編集]
その他[編集]
- SH-60K哨戒ヘリコプター:後部ヘリコプター甲板と格納庫を有する。
- 無人機運用能力:UUV(無人水中航走体)、USV(無人水上航走体)、UAV(無人航空機)などを運用するためのスペースと設備を有する。
艦歴[編集]
「もがみ」は、就役後、大湊基地を拠点に各種訓練や任務に従事している。2023年には、初の遠洋練習航海に参加し、国際共同訓練にも参加するなど、着実に練度を向上させている。
豆知識[編集]
- 「もがみ」の建造費は、約480億円である。
- 本艦は、従来の護衛艦に比べ、乗員が約半分の90名程度で運用可能となっている。これは、AIを活用したシステムや自動化が進んだことによるもので、海上自衛隊の人員不足への対策としても期待されている。
- 艦名のもととなった最上川は、山形県を流れる一級河川であり、松尾芭蕉が奥の細道で詠んだ句「五月雨をあつめて早し最上川」で知られる。
関連項目[編集]
参考書籍[編集]
- 『世界の艦船』海人社
- 『Jシップス』イカロス出版
- 『自衛隊装備年鑑』朝雲新聞社