ぐうたろう千一夜

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ぐうたろう千一夜』(ぐうたろうせんいちや)は、手塚治虫の漫画作品。タイトルに反して、全3話である。

中一時代』(旺文社)にて、1975年4月号から同年6月号まで連載された。全3話。

中学1年生の隅太郎ぐうたろうを主人公とし、隅太郎が体験する、少し不思議な悲しい物語であるテンプレート:R:1。1975年の手塚は、『ブラック・ジャック』で日本漫画家協会賞特別優秀賞を、『ブッダ』『動物つれづれ草』で文藝春秋漫画賞を受賞するなど、漫画家として充実していた時期とも言える[1]

各話[編集]

隅太郎ぐうたろうは、名前の通りにぐうたらを絵に描いたような男で、成績も悪く、女の子にももてない中学一年生。第1話「不幸駅へのキップ」の扉絵には、「日本一もてない男」「なにをやらせてもダメな子」とも書かれている。

不幸駅へのキップ[編集]

4月号掲載。

級友から幸福駅[2]行きの切符をもらって喜んだ隅太郎だったが、それは不幸駅行きの切符であった。

せっかくの切符だからと隅太郎は不幸駅を訪れたものの、所持金が帰りの運賃に30円足りない。不足分の30円を立て替えてあげるという醜い少女・山口桃恵が声をかけてきた。その代わりにボーイフレンドになること。

翌日、桃恵は隅太郎のクラスに転入してくる。桃恵は隅太郎の生活態度に口を出すようになり、隅太郎は成績も向上するようになった。

幾度となく桃恵が醜いことをくさす隅太郎に、桃恵は本当の顔を見せる。会社社長の令嬢で、政略結婚させられるのが嫌でメイクによって醜くなっていたのだった。桃恵は会社の人間に見つかり、連れ戻された。

女隊長デルマ[編集]

5月号掲載。単独で他のアンソロジーに収録されている。

UFOを信じる隅太郎をからかうために、級友たちは鍋のようなものにトランシーバーを入れてて隅太郎に拾わせた。トランシーバー通話の声は、交通事故で入院中だった隣のクラスの女生徒に依頼。

隅太郎は拾った円場から聞こえる宇宙人の声に驚く。異星の女隊長デルマ(メラータ・デ・デルマ、「まるでデタラメ」の逆読み)を名乗るその話を隅太郎は信じて、会話に夢中になる。級友たちは、その様子を面白がって眺めていた。

入院していた女生徒も隅太郎との会話が孤独の慰めとなっていたが、容態が急変し、脳底出血のため死亡する。女生徒の葬儀に出席した隅太郎は、女生徒が友達がいない子だったが、死ぬ直前に隅太郎という友達ができたと書き残していたことを知る。

隅太郎はデルマ隊長を偲んで泣くのだった。

異次元教室[編集]

6月号掲載。

テストが嫌で嫌でしかたない隅太郎。その一念でテストや競争のない異世界へ飛び込んでしまう。その世界では女子が詰襟学生服を着て、男子がスカートの制服を着ている世界であった。

その世界の可愛い女の子と仲良くなった隅太郎であったが、この世界は競争もテストも無い代わり、政府が毎年検査を行い、知性が低い、体調が悪いなどの生存に不適切な結果となった人間は即時処刑される世界でもあった。

身体が弱いというその女の子の体力トレーニングに隅太郎は付き合い、逆に隅太郎は女の子に勉強を教わった。

検査の日がやってきて、隅太郎はどうにか合格し、1年間有効の生存許可証を手にするが、その女の子は不合格になる。隅太郎は自分は別世界の人間だからと、許可証を女の子に渡し、元の世界へと戻った。

脚注[編集]

  1. 虫ん坊 2017年2月号(179)”. 手塚治虫公式サイト. 2026年2月8日確認。
  2. 北海道広尾線の駅。1973年3月、NHKの紀行番組『新日本紀行』で紹介され、入場券や愛国駅から幸福駅行きの切符の購入がブームになった。ブームは一時的なものに留まり、1987年に広尾線が廃線となったことで、幸福駅も愛国駅も廃駅となった。

外部リンク[編集]