RCS2 032727-132623
RCS2 032727-132623(またはRCS2 J032727-132623, RCS2 J0327-1326) は、地球からエリダヌス座の方向へ約50億光年離れた場所にある銀河団である。この銀河団の重力場の影響で、背景にある約100億光年離れた銀河のRCSGA 032727-132609からの光が曲げられ、重力レンズ効果が生じている[1][2]。
概要[編集]
赤方偏移はそれぞれ、0.564(銀河団の値)/1.701(背景銀河の値)[3][1]。視線速度は、125,803 km/s(銀河団の値)/227,513 km/s(背景銀河の値)であり[4][5]、両者の距離(光行距離)は約50億光年(銀河団の値)/約100億光年(背景銀河の値)にも及ぶ。
この重力レンズ系は、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡による掃天観測、Second Red-sequence Cluster Survey(RCS2)が得た観測データから発見された[1]。手前側に位置する銀河団の影響で、背景にある銀河が合計5つの像に分裂して見える[2]。そのうち3つは結合して∼38″以上にわたって広がる巨大なアークを形成し、4つ目はアークの反対側、銀河団のなかで最も明るい銀河(英: Brightest galaxy cluster, BCG)の31.5″南に対像として現れている。5つ目は非常に目立たないものの、BCGの0.6″北にある[1][2]。アーク構造を部分的なアインシュタインリングと見た場合、アインシュタイン半径は推定∼17.8″である[1]。背景にある銀河は二つの異なる銀河の合体系であり、恒星質量はそれぞれ太陽の5.1×109倍と1.2×109倍である[1][2]。アーク構造の見かけの等級は19.1であり、重力レンズ効果の影響で増光されている。2012年、シカゴ大学の研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された画像を基に背景の銀河を再構成(復元)することに成功した[6][7]。
出典[編集]
- ↑ a b c d e f Wuyts, Eva et al. (2010). “A Bright, Spatially Extended Lensed Galaxy At z = 1.7 Behind the Cluster RCS2 032727-132623”. The Astrophysical Journal 724 (2): 1182-1192. . . .
- ↑ a b c d Bordoloi, Rongmon et al. (2016). “Spatially resolved galactic wind in lensed galaxy RCSGA 032727-132609”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 458 (2): 1891-1908. . . .
- ↑ “Compass and Scale Image of Galaxy Cluster RCS2 032727-132623”. NASA Science (2012年2月2日). 2025年9月26日確認。
- ↑ “RCS2 J032727-132623”. SIMBAD. 2025年9月26日確認。
- ↑ “RCSGA J032727-132609”. SIMBAD. 2025年9月26日確認。
- ↑ Koppes, Steve; Villard, Ray (2012年5月8日). “Gravitational lens reveals details of distant, ancient galaxy”. University of Chicago News 2025年9月26日閲覧。
- ↑ Sharon, Keren et al. (2012). “Source-Plane Reconstruction of the Bright Lensed Galaxy RCSGA 032727-132609”. The Astrophysical Journal 746 (2): 1-10. . . .
関連項目[編集]
- Abell 1689 - 重力レンズ効果が見られる銀河団
- Abell 2218 - 重力レンズ効果が見られる銀河団
- NGC 6505 - 重力レンズ効果が見られる銀河(NGC天体)
- SDSS J1152+3313 - 重力レンズ効果が見られる銀河団
- 宇宙の馬蹄 - 重力レンズ効果が見られる銀河