宇宙の馬蹄
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宇宙の馬蹄(うちゅうのばてい、英: Cosmic Horseshoe)は、しし座の方向にある重力レンズ効果を受けた背景銀河、もしくは背景銀河だけでなく重力源である前面銀河も含めた重力レンズ天体系である(その場合、Cosmic Horseshoe systemなどとも呼ばれる)。正式名称はSDSS J114833.14+193003.2(またはSDSS J1148+1930)である。
概要[編集]
2007年、Belokurov et al.(2007)は、スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)が得たデータから、ほぼ完ぺきなアインシュタインリング(300度)を発見したことを公表した。背景に位置する二つの銀河(それぞれ約190億光年、約171億光年離れている)から放たれた光が、手前に位置する銀河のLRG 3-757(約57億光年離れている)の重力による影響で曲げられ(=重力レンズ効果)、(我々の視線方向から見た場合)手前の銀河の周囲にU字構造(接弧、ほぼ完ぺきなアインシュタインリング)とその外側にうっすら浮かび上がる放射弧として現れている。このU字構想が特にはっきりとしていて、その形が馬蹄そっくりなため、「宇宙の馬蹄」というニックネームがつけられると同時に、近年多くの研究者の注目を集めている。
手前に位置するいわゆるレンズ天体、重力源であるLRG 3-757は、Luminous red galaxy(直訳は高光度赤色銀河)に分類され、その正体は年老いた巨大な楕円銀河と言われている。2025年、この銀河の中心に、太陽の363億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが発見された。ブラックホールの直径(事象の地平面の直径)は約2150億kmにも及ぶとされる。