PLL
(Phase Locked Loopから転送)
ナビゲーションに移動
検索に移動
PLLとは、Phase Locked Loop(位相同期回路)の略である。
役割[編集]
別の発振器から位相が同期した信号を出力する役割がある。 例えば、集積回路で要求される周波数は数Hzから数百GHzのような広い範囲を必要とするが、 水晶発振器は数kHzから数百MHz程度の範囲しかカバーできない。 そこで、周波数を変化させた信号を出力するためにPLLが使用される。
構成要素[編集]
- 位相周波数検出器(PFD):基準信号とフィードバック信号の位相差を検出して、それに応じた信号を出力するものである。D-FFなどの論理回路で構成される。
- チャージポンプ(CP):半導体スイッチやキャパシタなどよって電荷流れを調節して電圧を上げるもの。スイッチトキャパシタの原理を応用したものである。
- ループフィルタ(LF):ローパスフィルタ(LPF)であり、制御対象の発振を防ぐもの。フィルタによって収束や発振の挙動が異なり、無損失な構成にするとLPFとしての機能が失われ収束しなくなる。
- 電圧制御発振器(VCO):入力電圧で出力周波数を制御できる発振器。バラクタ(可変容量,容量変えられるキャパシタ)を用いたLC発振器や奇数個のNOT回路によって全体として負の利得を持つ素子をリング状にしたリング発振器などがある。
- 周波数分周器(プリスケーラ):入力周波数を整数分の1の出力周波数の信号を出力するもの。カウンタ回路で実現される。分周器の分周比率を可変にすることで出力周波数も可変にできる。目的の周波数が元の発振器の整数分の1であれば、分周器と位相を比較する仕組みだけで簡単に実装できる。周波数を上げる場合にはこの方法は通用しない。また、分数分周という方式もあり、PLLで整数倍したあとに分周器で整数分の1したような効果がある。
制御[編集]
フィードバックを行うフィードバック制御であり、PID制御としてのパラメータは各構成要素の伝達関数に依存する。 例えば、ループフィルタによって収束や発振の挙動が異なるのも、PID制御の安定性分析によって理解できる。