M27 IAR

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M27 IAR(M27 Infantry Automatic Rifle、M27歩兵自動小銃)は、ヘッケラー&コッホ社が開発した5.56x45mm NATO弾を使用する自動小銃である。主にアメリカ海兵隊において、既存のM249軽機関銃に代わる分隊支援火器(IAR: Infantry Automatic Rifle)として採用されている。

開発[編集]

アメリカ海兵隊は、M249軽機関銃が提供する継続的な制圧射撃能力は評価しつつも、その重量、嵩高さ、そして故障の多さに悩まされていた。これに対し、より軽量で可動性に優れ、かつ高い精度を持つ分隊支援火器の必要性を感じていた。2005年、海兵隊は「歩兵自動小銃(Infantry Automatic Rifle)」プログラムを開始し、複数のメーカーから提出された候補を評価した。

ヘッケラー&コッホ社のHK416をベースにしたモデルは、競合するFN SCARコルト社のモデルを抑え、2010年にM27 IARとして制式採用された。M27 IARは、HK416の信頼性と精度を維持しつつ、より重いバレルや改良された放熱システムなど、分隊支援火器としての要求を満たすように改修が施されている。

設計[編集]

M27 IARは、AR-15の設計思想を基にしたガス圧作動方式の小銃であり、クローズドボルトから発射される。これにより、より高い精度と信頼性を実現している。M27は標準的なSTANAGマガジンを使用するが、これはM249が使用するベルト給弾方式とは対照的である。これにより、弾薬の共有が容易になり、分隊内の兵士が互いに弾薬を融通できるようになる利点がある。

銃身は耐久性を高めるために肉厚にされており、継続的な射撃による過熱に耐えるよう設計されている。また、フリーフロート式のハンドガードを採用しており、銃身へのストレスを軽減し、命中精度を高めている。

運用[編集]

M27 IARは、2011年よりアメリカ海兵隊に配備が開始された。当初はM249を完全に代替するのではなく、分隊内の一部のM249を置き換える形で導入された。しかし、その高い精度、軽量性、そして信頼性から、海兵隊員からの評価は高く、後にM4カービンを完全に代替する形で歩兵分隊の標準的な小銃として採用されることが決定された。

M27 IARは、従来の分隊支援火器のような継続的な制圧射撃よりも、より正確な自動射撃能力と、従来の小銃と同等の取り回しを両立させることを目的としている。これにより、分隊支援火器手は、従来の軽機関銃手よりも、より迅速に目標を捕捉し、精度の高い射撃を行うことができるとされている。

派生型[編集]

  • M38 DMR:M27 IARをベースにした指定射手ライフル(DMR: Designated Marksman Rifle)。より精密な射撃を可能にするための光学照準器や、精密射撃に適したバレルなどが装備されている。

豆知識[編集]

  • M27 IARは、採用当初、弾薬消費量の増加が懸念された。これは、M249のベルト給弾方式と比較して、弾倉交換が容易なため、兵士がより頻繁に射撃する可能性があったためである。
  • M27 IARの採用は、アメリカ海兵隊の歩兵教義に大きな影響を与えた。より機動的で精密な射撃を重視する方向へと転換した一例である。

関連項目[編集]