M4カービン

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M4カービン(M4 Carbine)は、アメリカ合衆国コルト社が開発したアサルトライフル型のカービン銃である。アメリカ軍制式採用アサルトライフルであるM16A2ライフルの短縮・軽量化モデルであり、主にアメリカ陸軍の特殊部隊歩兵海兵隊などで幅広く使用されている。

開発経緯[編集]

M4カービンは、ベトナム戦争中に使用されたXM177などのM16のカービンモデルの運用経験に基づき、M16A2の性能と信頼性を維持しつつ、より取り回しの良い小型の小銃として開発が進められた。1980年代後半に開発が開始され、1994年にアメリカ軍に制式採用された。特に、取り外し可能なキャリングハンドルとピカティニー・レールが特徴であり、様々な光学照準器アクセサリーの装着が可能となったことで、その汎用性が高まった。

特徴[編集]

M4カービンは、M16A2の設計を踏襲しつつ、いくつかの改良が加えられている。

  • 銃身M16A2の508 mm (20インチ)に対し、368 mm (14.5インチ)に短縮されている。これにより、閉所戦闘(CQB)や車両からの展開が容易になった。
  • 伸縮式ストック:4段階(後に6段階)に調整可能な伸縮式ストックを採用しており、射手の体格や状況に応じた調整が可能である。
  • ピカティニー・レール:初期のモデルでは、ハンドガード上部にキャリングハンドル一体型のレールを備えていたが、後にM4A1ではフリーフロートバレルと一体化したクアッドレール式のRAS(レール・アダプター・システム)が標準となり、光学照準器レーザーサイトフラッシュライトフォアグリップなど、多様なアクセサリーの装着を可能にした。
  • 作動方式:M16と同じリュングマン式(直動式ガス圧作動)を採用している。

バリエーション[編集]

  • M4A1カービン:M4の改良型で、セレクターにフルオートを追加したモデル。M4の3点バーストに代わりフルオート射撃が可能となったことで、より高い制圧力を発揮できる。アメリカ陸軍の特殊作戦部隊(USSOCOM)などで広く採用されている。
  • MK18 CQBR:M4A1をベースに、銃身を262mm (10.3インチ)まで短縮した近接戦闘(CQB)に特化したモデル。主にアメリカ海軍特殊部隊で使用されている。

運用国[編集]

M4カービンは、その汎用性と信頼性の高さから、アメリカ合衆国以外にも世界各国の軍隊や法執行機関で採用されている。

豆知識[編集]

  • M4カービンは、その小型軽量な特性から、戦車兵や航空機搭乗員などの携行装備としても採用されることがあります。
  • アメリカ軍では、M4カービンにM203M320といったグレネードランチャーを装着して運用することも一般的です。
  • 民間市場では、M4に準じたAR-15系のセミオートマチックモデルが多数流通しており、スポーツ射撃や狩猟用として人気を博しています。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 床井雅美『最新軍用銃事典』並木書房、2001年。
  • イアン・V.ホッグ、ジョン・S.ウィーラー『現代小火器大辞典』原書房、2000年。