黒たまご

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黒たまご(くろたまご)は、神奈川県箱根町大涌谷の名物ゆで卵[1][2]

概要[編集]

中身は通常のゆで卵であるが、殻が真っ黒なのが特徴となっている[3]。大涌谷の温泉池で鶏卵を茹でて作ったものである[1]。出来立てを販売するため、大涌谷でしか販売されていない[1]

「1個食べると寿命が7年延びる」と言われる縁起物である[1]

殻が黒くなる理由[編集]

温泉成分の中の鉄分が鶏卵の殻に気孔に付着し、さらに温泉成分の硫化水素が反応し、硫化鉄になることで黒い殻のゆで卵となる[1][3][4]。というのが定説となっていた[5]

しかしながら、この説明には化学的な矛盾があることも知られており、大涌谷の火山資料館では「黒くなる謎は未解決」と記されていた[5]

2020年、当時東京都内の中学1年生だった木村凜太朗が、殻の黒い部分の分離方法を思いつき、分析が行われたところ、黒いのは硫化鉄ではなく、メイラード反応によって生成される有機物であることが判明した[5][6]

研究の経緯[編集]

黒たまごを室内で放置した場合、殻の色が黒から茶色く褐色することを確認した木村(繰り返すが、当時中学1年生)は、空気中で比較的安定なはずの硫化鉄が黒たまごの黒色の原因であるという言説に疑問を覚えた[7]

コロナ禍中に大涌谷を訪れた木村は、手指のアルコール消毒後に黒たまごを手にした人の手が真っ黒になる姿を目撃したことで、適切な電解質の液体を用いれば黒たまごの黒色物質を単離できるのではないかと思いつき、身近にあった様々な媒体で検討を行った[7]。その結果、黒たまごをクエン酸に浸すことで、黒色物質の物理的な剥離に成功する[7]

単離した黒色物質を非破壊分析および破壊分析し、分光的特性の評価、軽元素組成および主要な有機分子群の同定を行った結果、これがメイラード反応によるものであったと結論づけられた[7]

作り方[編集]

  1. 約80℃の温泉池で鶏卵を1時間ほど茹でる[4]
  2. 約100℃の蒸気でさらに15分ほど蒸す[4]
    白身がぷりぷりになる[3]

消費期限は翌日までとなっている[4]

鶏卵の仕入れ先[編集]

黒たまごに用いられている鶏卵はMSサイズのもので、コンビニエンスストアおでんのたまごに使用されているものと同サイズである[3]

静岡県浜松市の養鶏場から約半分を調達し、残り半分は日本全国から調達している[3]

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日本テレビの番組『所さんの目がテン!』での分析では、黒たまごの白身部分は通常のゆで卵との差異が無かったが、黄身部分は旨み成分が21%多かったという結果が出ている[3]

歴史[編集]

1955年に奥箱根観光株式会社が箱根名物として、温泉池の特性を利用してゆで卵をつくったところ評判となった[3]

当時、たまごはまだ贅沢品という認識であり、5個1袋で400円の価格で販売された黒たまごは、箱根土産として多くの客に買い求められた[3]

1959年から翌1960年に早雲山−大涌谷-姥子−桃源台の箱根ロープウェイが開通すると、大涌谷を訪れる観光客も増え、黒たまごの知名度は高まっていった[3]

その後、黒たまごは5個1袋で500円に値上げとなる。2017年時点では1日に数千袋が販売されていた[3]

2023年、値上がりを続ける鶏卵市場の影響から、4個入り500円の販売に変更された[8]

脚注[編集]

  1. a b c d e 【大涌谷】大地のエネルギーが体感できるパワースポット!名物の黒たまご他“黒グルメ”も堪能!/神奈川県箱根町”. @Sアットエス (2025年1月8日). 2026年8月8日確認。
  2. “箱根・大涌谷名物の「黒たまご」、販売再開 噴火警戒立ち入り規制基準が一部見直し”. 毎日新聞. (2019年10月2日. https://mainichi.jp/articles/20191002/k00/00m/040/021000c 2026年8月8日閲覧。 
  3. a b c d e f g h i j 箱根噴火・規制解除から1年! 黒たまごの秘密”. Weatherニュース (2017年). 2026年8月8日確認。
  4. a b c d 「Let's Go! 大涌谷を探検!」『るるぶ伊豆箱根'25』 JTBパブリッシング、2024年、129頁。ISBN 978-4533162862
  5. a b c 竹野内崇宏 (2024年1月26日). “箱根名物・真っ黒ゆでたまごの謎 中学生が解き明かす コロナ禍転機”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASS1T1BP0S1QULBH001.html 2026年8月8日閲覧。 
  6. TOUYA (2024年4月30日). “中学生が箱根・大涌谷の謎を解明!黒たまごの真実とは?”. 2026年8月8日確認。
  7. a b c d 木村凜太朗、萬年一剛、熊谷英憲、松井洋平、伊規須素子、高野淑識「箱根温泉・大涌谷の「黒たまご」黒色物質の起源推定PDF」 、『分析化学』第72巻第7・8号、 249-256頁。
  8. “たまごショック”影響広がる…仕入れ値が“2倍以上” 箱根の名物「黒たまご」や洋菓子店が…”. 日テレNEWS (2023年3月10日). 2026年8月8日確認。

外部リンク[編集]