鈴木裕子 (女性史研究家)
鈴木 裕子(すずき ゆうこ、1949年 - )は、女性史研究家。
経歴[編集]
東京都墨田区生まれ[1]。早稲田大学文学部史学科卒業[2]。1979年早稲田大学大学院文学研究科修士課程日本史学専攻修了[3][4]。労働運動史・組合史の編纂・執筆に携わる一方、女性史・社会運動史研究に従事[3]。
静岡大学法経短期大学部講師[5]、明治大学文学部講師[6][7]、早稲田大学文学部非常勤講師[8]、国士舘大学文学部非常勤講師(1996年-)[9]、東京経済大学講師[10][11]などを務めた。2000年時点で国士舘大学・東京経済大学・早稲田大学非常勤講師[12]。各地の大学で非常勤講師を務め、2019年早稲田大学文学学術院教員で退職[3]。早稲田大学ジェンダー研究所招聘研究員[3][13]。
1988年に「天皇制・おんな塾」を結成[14][15]。1990年にグループ「性と天皇制を考える」を結成[16][17]。2008年に「日韓の女性と歴史を考える会」を結成[18]、同会代表[19]。2010年に「韓国強制併合100年共同行動」日本実行委員会が結成され、伊藤成彦、姜徳相、宋富子、中原道子、山田昭次とともに共同代表に就任[20]。
人物[編集]
山川菊栄研究の第一人者[21]。大学院在学中から山川の論考の整理・編集に携わり[21]、『山川菊栄集(全10巻)』(岩波書店、1981-1982年)の編集協力[22]、『おんな二代の記』(岩波書店、1982年/岩波文庫、2014年)の校訂・注釈・解説を担う[21]。『山川菊栄集』の編集・解説により第2回(1982年度)山川菊栄賞を受賞[23]。1980年代後半から戦時下の女性の加害性をいち早く論じたことでも知られる[21][24]。「慰安婦」問題にも早くから関心を寄せた[21]。上野千鶴子は『ナショナリズムとジェンダー』(青土社、1998年)で鈴木や吉見義明の研究を“文書史料至上主義の実証史学”“戦争協力者を事後的な視点で断罪している”などと批判した。
著書[編集]
単著[編集]
- 『『家庭雑誌』解題・総目次・索引』(不二出版、1983年)
- 『広島県女性運動史』(ドメス出版、1985年)
- 『フェミニズムと戦争――婦人運動家の戦争協力』(マルジュ社、1986年、新版1997年)
- 『水平線をめざす女たち――婦人水平運動史』(ドメス出版、1987年、増補新版2002年)
- 『女工と労働争議――1930年洋モス争議』(れんが書房新社[日本女性労働運動史論Ⅰ]、1989年)
- 『昭和の女性史』(岩波書店[岩波ブックレット]、1989年)
- 『母と女――平塚らいてう・市川房枝を軸に 女性史を拓く1』(未來社、1989年)
- 『翼賛と抵抗――今、女の社会参加の方向を問う 女性史を拓く2』(未來社、1989年)
- 『山川菊栄 人と思想(戦前篇・戦後篇)』(労働大学[労大ハンドブック]、1989-1990年)
- 『女性と労働組合――労働組合婦人部の歴史 上』(れんが書房新社[日本女性労働運動史論Ⅱ]、1990年)
- 『朝鮮人従軍慰安婦――証言 昭和史の断面』(岩波書店[岩波ブックレット]、1991年)
- 『従軍慰安婦・内鮮結婚――性の侵略・戦後責任を考える』(未來社、1992年)
- 『天皇制と強制従軍慰安婦』(93国際女性デー広島県集会実行委員会、1993年)
- 『「従軍慰安婦」問題と性暴力』(未來社、1993年)
- 『女たちの戦後労働運動史』(未來社、1994年)
- 『フェミニズムと朝鮮』(明石書店、1994年)
- 『女と〈戦後50年〉――女性史を拓く3』(未來社、1995年)
- 『「慰安婦」問題と戦後責任――女性史を拓く4』(未來社、1996年)
- 『戦争責任とジェンダー――「自由主義史観」と日本軍「慰安婦」問題』(未來社、1997年)
- 『天皇制・「慰安婦」・フェミニズム』(インパクト出版会、2002年)
- 『自由に考え、自由に学ぶ――山川菊栄の生涯』(労働大学、2006年)
- 『フェミニズム・天皇制・歴史認識』(インパクト出版会、2006年)
- 『天皇家の女たち――古代から現代まで』(社会評論社、2019年)
- 『忘れられた思想家 山川菊栄――フェミニズムと戦時下の抵抗』(梨の木舎、2022年)
- 『フェミニズムと戦争協力――見えなかった過去から学び、未来をつくるために』(梨の木舎[教科書に書かれなかった戦争 わたしたちの《歴史総合》part76]、2026年)
編著[編集]
- 『たたかいに生きて――戦前婦人労働運動への証言』(渡辺悦次共編、ドメス出版、1980年)
- 『運動にかけた女たち――戦前婦人運動への証言』(渡辺悦次共編、ドメス出版、1980年)
- 『堺利彦女性論集』(編、三一書房、1983年)
- 『山川菊栄女性解放論集(全3巻)』(編、岩波書店、1984年)
- 『湘煙選集(全4巻)』(編、岸田俊子著、不二出版、1985-1986年)
- 『資料 平民社の女たち』(編、不二出版、1986年)
- 『葦笛のうた――足立・女の歴史』(編、足立女性史研究会著、ドメス出版、1989年)
- 『女・天皇制・戦争』(近藤和子共編、オリジン出版センター、1989年)
- 『山川菊栄評論集』(編、岩波書店[岩波文庫]、1990年)
- 『女性=反逆と革命と抵抗と』(編著、社会評論社[思想の海へ[解放と変革]21]、1990年)
- 『おんな・核・エコロジー』(近藤和子共編、オリジン出版センター、1991年)
- 『日本女性運動資料集成(全10巻別巻1)』(編・解説、不二出版、1993-1998年)
- 『平和を希求して――「慰安婦」被害者の尊厳回復へのあゆみ』(編・解説、尹貞玉著、白澤社、発売:現代書館、2003年)
- 『金子文子 わたしはわたし自身を生きる 手記・調書・歌・年譜』(編、梨の木舎[自由をつくるvol.01]、2006年、増補新版2013年)
- 『日本軍「慰安婦」関係資料集成(上・下)』(山下英愛、外村大共編、明石書店、2006年)
- 『風韻にまぎれず――〈哀号〉の叫び』(編・注、深山あき著、梨の木舎[深山あき歌集Ⅱ]、2007年)
- 『風の音楽――はばたけ九条の心』(編・注、深山あき著、梨の木舎[深山あき歌集Ⅲ]、2007年)
- 『新装増補 山川菊栄集(全8巻別巻1)』(編、岩波書店、2011-2012年)
- 『資料集 日本軍「慰安婦」問題と「国民基金」』(編・解説、現代女性社会史研究所、発売:梨の木舎、2013年)
監修[編集]
- 東京女性財団編著『先駆者たちの肖像――明日を拓いた女性たち』(東京女性財団、発売:ドメス出版、1994年)
出典[編集]
- ↑ 鈴木裕子、谷岡重則、与儀睦美「インタビュー・鈴木裕子さんに聞く「慰安婦」問題から見えてきた平和学習の課題」『月刊社会教育』第500号、1997年8月
- ↑ 鈴木裕子『水平線をめざす女たち――婦人水平運動史』ドメス出版、1987年
- ↑ a b c d フェミニズムと戦争協力——見えなかった見えなかった過去から学び、未来をつくるために 梨の木舎
- ↑ 鈴木裕子『新版 フェミニズムと戦争――婦人運動家の戦争協力』マルジュ社、1997年
- ↑ 鹿野政直、由井正臣編『近代日本の統合と抵抗 4 1931年から1945年まで』日本評論社、1982年
- ↑ 鈴木裕子編『堺利彦女性論集』三一書房、1983年
- ↑ 労働経済研究所50年のあゆみ編集委員会編『50年のあゆみと新たな飛躍にむけて――50周年記念誌』兵庫県立労働経済研究所、1998年
- ↑ 大江志乃夫ほか編『岩波講座近代日本と植民地 5 膨張する帝国の人流』岩波書店、1993年
- ↑ 『国士舘史学』第5号、1997年3月
- ↑ 天皇制・「慰安婦」・フェミニズム 紀伊國屋書店
- ↑ フェミニズム・天皇制・歴史認識 紀伊國屋書店
- ↑ 池田恵理子、大越愛子責任編集『2000年女性国際戦犯法廷の記録 第2巻 加害の精神構造と戦後責任』緑風出版、2000年
- ↑ ジェンダー研究所 早稲田大学総合研究機構
- ↑ 鈴木裕子「「昭和」史と女――女にとって天皇制とは何か」『日本婦人問題懇話会会報』第49号、1990年3月
- ↑ 石丸敏子「ぐるーぷ紹介「天皇なしでくらしたい」天皇制・おんな塾」『季刊女子教育もんだい』第46号、1991年1月
- ↑ 山口明子「グループ紹介 グループ「性と天皇制を考える」」『季刊女子教育もんだい』第52号、1992年7月
- ↑ 「連続学習会「いま山川菊栄を読む」(6)二一世紀フェミニズムへ 山川菊栄からのメッセージ(下)」『社会主義』第466号、2001年10月
- ↑ 『歴史評論』第694号、2008年2月
- ↑ 森賀津子「20年目を迎えた日本軍「慰安婦」問題」『社会民主』第658号、2010年3月
- ↑ 「韓国強制併合 100年」日韓市民共同宣言大会への参加・賛同を レイバーネット日本
- ↑ a b c d e 弓削尚子「鈴木裕子著『忘れられた思想家・山川菊栄 -フェミニズムと戦時下の抵抗』(梨の木舎、2022年、728頁)」『ジェンダー研究21』第13号、2024年1月
- ↑ 田中寿美子、山川振作編集『山川菊栄集 第1巻』岩波書店、1981年
- ↑ 山川菊栄賞受賞作一覧 山川菊栄記念会
- ↑ 大越愛子、町口哲生「対談 女性国際戦犯法廷に向けて」『季報唯物論研究』第74号、2000年11月