軽自動車

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軽自動車(けいじどうしゃ)とは日本独自の車両規格であり、道路運送車両法によって定められた規格を満たす自動車である。この車両規格に該当する四輪自動車は単に「」または「軽四」と呼ばれるほか、二輪車の場合は「軽二輪」、または「軽二」とも呼ばれる。

概要[編集]

軽自動車はボディが全長3.40m、全幅1.48m、全高2.00m以内に収まっており、エンジンの総排気量が660cc以下の条件を満たしている3輪以上の車両である。二輪の場合は全長が2.50m、全幅が1.30m、全高が2.00m以下に収まるサイズでエンジンの総排気量が250cc以下の2輪の車両である[1]

軽自動車は日本独自の規格(カテゴリ)であり、小型乗用自動車以上のいわゆる登録車と比べると広さや動力性能面に大きな制約があるものの、取り回しのしやすさや登録車より格段に安い維持費などから日本国内での需要が極めて高いカテゴリでもある。また、貨物自動車としての需要も高く、農作業などに用いられる軽トラックのほか、車体構造を流用して作られる軽バン[注 1]配送業を中心に高い需要を持つ。軽貨物車は登録貨物車と違い2年ごとの車検[注 2]となり、軽自動車税も乗用の約半額[注 3]と安くなっており、維持費も安いことから所持に関する負担はかなり少なくなっている。

日本の道路環境に非常に良く適合するものの、排気量から車体までオーバーサイズなアメリカからは非関税障壁扱いされている。なお、日本独自規格ではあるがフィアット・126など日本で軽自動車として登録できる自動車もわずかながら存在している。また、スマート・フォーツーの日本専用モデルとしてスマートKという軽自動車も過去に販売されていた[注 4]

特徴[編集]

2024年時点で一般的な軽自動車は主にトールワゴンが主流であり、大人2人程度であれば乗車に不自由することは無い室内空間を持つ。半面、動力性能は660ccという法律の縛りに加え、自主規制として64馬力を上限とした馬力規制が行われていることもあってパワー不足を感じることも多い。一部モデルはターボチャージャーを装備してトルクも増やしているものもある。なお、馬力規制はメーカーの自主規制であり、ユーザーのチューニングで馬力が上限を超えても法的に問題はない。ケータハムのセブン170は軽自動車として登録できるが80馬力であり、これは輸入車であることから上限規制の対象外とされているものである。

軽自動車は維持費・購入費用ともに安いものと思われていたが、2023年の時点で新車価格が100万円を下回る軽自動車はほとんどなく、軽自動車のグレードによっては登録車の下位グレードの価格を上回る例もある[注 5]。一方で維持費は普通車と比べても安く、自動車税はもちろんのことタイヤやオイル交換にかかる費用も安いことが多い[注 6]

免許区分[編集]

2025年現在の日本において、軽自動車の運転には普通自動車免許(またはそれに相当する免許)が必要である。

一方、かつては「軽自動車免許」と呼ばれる独自の区分が存在した。これは道路交通取締令の改正により1952年に設けられたもので、それまでの軽自動二輪免許を元に創設されたものであった。当時の軽自動車免許では、当時の規格における排気量360cc以下の軽自動車と、第一種・第二種原動機付自転車を運転することができた。

1960年に道路交通取締令が道路交通法として施行された後も引き続き存続したが、1968年の改正により軽自動車免許は普通自動車免許に統合され、新規取得はできなくなった。統合時に軽自動車免許から移行した者については、限定解除審査[注 7]を受けない限り「普通車は軽車(360)に限る」という条件付きの普通免許となっていた。条件付き免許は取り消しや失効をしない限り更新によって維持できるため、総数は減っているものの現在でも有効である。[2]

なお、軽自動車免許を取得したのちに限定解除をせず更新を続けていた場合、現行規格の軽自動車を運転すると運転免許条件違反に問われることがあり、2005年に実際に検挙された事例がある[3][注 8]。また、身体障害者などの理由で標準試験車の規格を満たさない試験車で合格した場合、その試験車に合わせた基準で免許の条件が変わるため、試験が660ccの軽自動車で行われて合格した場合、運転免許には「普通車は軽車(660)に限る」という条件が付与される。

外部リンク[編集]

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. N-VANのようにトラックモデルを持たないものもある
  2. 乗用と違い、新車でも2年毎となる
  3. 自家用乗用10800円・自家用貨物5000円/営業用乗用6900円・営業用貨物3800円(2024年時点)
  4. もともとのモデルが全幅以外軽自動車規格を満たしていたため、フェンダー部を張り出しの少ない専用モデルにしたもの
  5. ホンダ・NBOXとトヨタ・ヤリスなど
  6. タイヤサイズが小さかったり、必要なオイル量も少ないため。しかしタイヤサイズも大きくなってきているため、以前ほど安くはないのが現状である
  7. 1975年には軽自動車の排気量が550ccまで引き上げられ、既得権益として限定解除審査を受ければ普通車を運転することができた
  8. もっとも、当初は無免許運転として検挙され、後の裁判で条件違反と確定したもの
  1. https://www.zenkeijikyo.or.jp/kei/standards - 軽自動車の規格(全国軽自動車協会連合会)
  2. https://www.gqjapan.jp/cars/article/20191115-eb110-vol2 2桁ナンバー物語 Vol.1 春日部33のブガッティ EB110(後編)
  3. https://response.jp/article/2005/12/15/77387.html 軽自動車限定免許での「軽自動車運転」は無免許運転にあたらず