複合選抜
複合選抜(ふくごうせんばつ)とは、2校併願可能な公立全日制高校入試制度である。
概要[編集]
愛知県以外の殆どの都道府県の公立全日制高校入試は1校しか受験できない単独選抜方式だが、愛知県の公立全日制高校入試[注 1]に限り、国立大学でほぼ同時期に改定されたA・Bグループ入試に倣った感じの複合選抜制度により、公立高校を2校受験することが出来る制度となっていて、合格発表も志願したうちのどちらか1校で確認できる[注 2]。
県内の全日制公立高校をAグループ・Bグループ[注 3]に分け、受験生は各グループごとに1校ずつ受験する学校を選択でき、専門学科と総合学科は愛知県内のどの学校も受験できる。普通科については尾張、三河の2学区[注 4]に分かれ、さらに尾張学区では各グループで第1群、第2群(第1群との共通校も含む)に分かれており、普通科高校を2校受験する場合は原則同じ学区内かつ同じ群の中にある別々の日程の学校しか選べない。
ただし専門・総合学科と普通科で出願する場合および境界特例区域ではこの限りで無い。
2023年度の試験より学力試験が1日程となり、2校受験する場合も学力試験は1回だけ受ければ良くなり、面接試験も学校によっては行わなくなった。更に解答も記述式からマークシート式になった。
ただ、マークシート採用などの変更を快く思わない人たちもおり、曰く
- 漢字のとめ、はね、はらいなどを間違えたら減点されると思って子供に漢字の書き取りをさせてきたのに、それが無駄になる。
- マークシートでは選択肢がヒントになって本当の実力が測れないのでは。
- 入試は特色ある高校づくりの入口なのに、採点基準を全校で統一しては学校ごとの特色が減ってしまう。
影響[編集]
愛知県下の影響[編集]
複合選抜実施により、従来、名古屋、一宮、刈谷、岡崎、豊橋にあった学校群は解体され、伝統校と群を組んで恩恵を受けた高校や学校群の遠距離配分回避で高偏差値生を集めた周辺高校では、複合選抜実施前より難易度や進学実績を下げた。
一方で、学校群に属していなかった高校の中で名古屋東郊の天白高校や東三河の小坂井高校のように複合選抜実施後に難易度を上げ、学校群時代より進学実績も上がった高校もあり、名古屋では「公立高の東高西低」と囁かれる状態となった。
全国的な影響[編集]
公立高校を複数校併願可能な制度は、長年愛知県の独自色に見られたが、IT技術活用の一環で元デジタル担当相の河野太郎が複数校併願の実現を提唱し、2025年(令和7年)4月に石破茂首相が関係省庁に指示したことで、愛知県の高校入試が図らずも先進事例とされるようになった。
関連項目[編集]
- 合同選抜 - 出願書類提出時に第2志望校を記載して複数高校を志願可能にした制度。東京都立高校でも学校群解体後に「グループ合同選抜」の名称で実施したが、不評で短期間で単独選抜制に移行した。
脚注[編集]
- 注
- 出典