緑の猫
『緑の猫』(みどりのねこ)は、手塚治虫の漫画作品、および漫画を原作としたアニメ作品。
漫画[編集]
月刊雑誌の『おもしろブック』(集英社、後の『月刊少年ジャンプ』)1956年12月号の別冊付録として描き下ろされた作品である。『おもしろブック』では毎月1冊ずつ1年間に渡って別冊付録を付けており、その中の1冊でもある。
1949年に海野十三が亡くなり、第二次世界大戦後の日本では、本格的なSF作品と呼べるものは小説、漫画を問わず、ほとんど絶えていた時期があり、そういった時代に発表された手塚の別冊付録のシリーズは、発表媒体が子ども向け漫画雑誌であるにも関わらず、かなり高い年齢層の読者も意識して描かれており、難解と受け取る読者もいた一方で、SF的インスピレーションを大いに刺激されたという人も多いシリーズであった。
小学館版の『手塚治虫全集』「鉄腕アトム 18」(1970年)に収録されていたが、その後、長らく絶版状態が続き、作品名のみ有名な「幻の傑作」とされていた。1983年に講談社版の『手塚治虫漫画全集』「ライオンブックス 6」に収録され、入手は容易になった。
あらすじ[編集]
伴俊作はシカゴで親友の由志と洗濯物屋を営んでいた。ギャングの襲撃によって由志を殺され、伴は由志の遺児である三吾を連れて日本への帰ることにした。三吾を乗せ車を走らせる伴のもとに、空飛ぶ円盤が飛来し、気が付くと後部座席の三吾の隣に緑色の猫がいた。緑の猫は三吾になついていたので、そのまま連れていたが、日本に渡る船上で緑の猫と三吾が行方不明になってしまった。
二十年が経ち、伴は私立探偵となっていた。三吾らしき人物がパリの暗黒街の大物になっているという噂を耳にした伴はパリ警察の嘱託となって三吾を追う。
緑の猫は、実は宇宙生物であり、今までに何人もの若者に取り憑いては、その願いをかなえ、堕落させていたのだった。
アニメ[編集]
1983年から1993年にかけ、手塚プロダクションでは「ライオンブックス」シリーズとしてアニメーション作品が製作された。テレビ放映は決まっておらず、新作が完成してから、テレビ局に売り込むという計画であった。
『緑の猫』はその中の1本であり、1983年10月に完成し、1989年7月にNHKエンタープライズよりビデオ販売された。
スタッフ[編集]
- 原作、監督 - 手塚治虫
- 脚本、絵コンテ、演出、作画監督 - 西村緋禄司
- プロデューサー - 松谷孝征
- アシスタント・プロデューサー - 久保田稔
- 美術監督、美術ボード、背景 - 宮本清司
- 撮影監督 - 菅谷信行
- 原画 - 吉村昌輝、瀬谷新二、加納薫、のまとし
- 動画 - 手塚プロダクション
- 動画検査 - 瀬谷新二
- 仕上 - 牧プロ、E&G、榎本裕
- 色指定 - 長谷川洋
- 特殊効果 - 前川清司
- 編集 - 井上和夫
- 音響監督 - 河村常平
- 音楽 - 小六禮次郎
- 選曲 - 東上別府精
- 効果 - 倉橋静男
キャスト[編集]
- 伴俊作 - 富田耕生
- サンゴ・ユノ - 塩沢兼人
- グリーン - 野沢雅子
- 博士 - 滝口順平
- ヘック・ベン - 矢田耕司
- 隊長 - 大宮悌二
- スーザン - 滝沢久美子
- モヒカン - 屋良有作
- サンゴの父 - 嶋俊介