箱根登山鉄道1000形電車
箱根登山鉄道1000形電車(はこねとざんてつどう1000がたでんしゃ)は、1981年に箱根登山鉄道が導入した電車車両のこと。愛称はベルニナ号。
概要[編集]
約45年ぶりの新車・初の2両固定編成として1981年に登場。1984年にもう1編成増備され、計2本4両体制となる。後の増備車は「ベルニナII」の愛称も持つ。
モータリゼーションの激しかった頃、箱根登山線においてはマイカーによる渋滞が著しく、時間が正確な登山電車は見直されることになった。その裏で1979年には登山電車開業から60周年を迎えたため、新規設計車として本形式が導入された。
構造[編集]
14.5m級の全鋼製車体を持ち、床面の高さを下げステップを持たない。運転台は中央に配置され、前照灯は丸型のものを左右の窓上に持つ。連結面間は2枚窓で、貫通扉を持たない。
内装は転換クロスシートとされ、車端部のみロングシートとなっている。床材はリノリウム張り。冷房装置は持たない。
走行機器は中空軸平行カルダン駆動方式に自動加速式の抵抗制御を初採用。台車も新規設計のTS-330を採用した。ブレーキ方式は電気指令式ブレーキで、発電ブレーキを併用する。屋根上に抵抗器を搭載。補助電源装置は7kVAのSIVとされ、偶数車に搭載される。
運用[編集]
1981年3月より運用を開始。このときに廃車は出なかったが、1984年10月の増備車ベルニナIIによりモハ3形113・115号の2両を運用離脱させた。
後述の冷房化改造に伴いモハ2200を組み込み、2025年現在は3両編成で運転されている。
塗色はベルニナカラーの他、サン・モリッツカラー、レーティッシュ鉄道カラーを経験している。2025年現在、ベルニナはレーティッシュ鉄道カラーを、ベルニナIIはベルニナカラーに塗り直されている。
冷房化[編集]
2004年に入り、冷房用電源の確保が困難なベルニナ号では、大容量電源を持つ2000形サン・モリッツ号の中間車モハ2200を転用することで冷房化を実施した。これにより内装の固定クロス化、ドアチャイム・LED式車内案内表示器の設置、連結面側の貫通路の設置なども同時に施工された。