猫の血
「猫の血」(ねこのち)は,手塚治虫の短編漫画、オムニバス作品集『空気の底』の1編である。
『プレイコミック』(秋田書店)の1969年10月10日号に読み切り掲載された。
本作を題材にした野上武志によるスピンオフ漫画「ねこのち」が『デヅコミ』Vol.3(2018年、マイクロマガジン社)に掲載されている。
あらすじ[編集]
須藤は地方の映画館にフィルムを届けて回る仕事をしていた。ある地方は化け猫映画が妙に受けていた。その地方では「白猫明神」を信仰する「猫神信仰」のある土地であった。その地方では風呂に入らず、冬でも行水で済ませるという風習があった。須藤はその地方の農家の美しい娘妙を嫁にもらって、東京で暮らすことになった。
しかし、妙は都会の暮らしに馴染めず、ノイローゼ気味になり、「東京が火の海になる」と言いだした。妙を東京に残し、須藤が四国へ行ったときに、おりしも仲の悪かったソビエト連邦と中華人民共和国との間で戦争が勃発。東京に核ミサイルが撃ち込まれた。
東京は壊滅状態となり、死者数は320万人(この値は暫時増えて行く)という大きな被害を出した。
須藤は妙の実家である農家へ世話になることになった。悔やむ須藤に妙の父母は「あの娘は運がなかった」「白猫明神がついているからまだ生きているかもしれない」と言葉をかける。
1年半ほどが過ぎ、農家に被爆によって半身が焼けただれた猫が迷い込んできた。
ねこのち[編集]
「ねこのち」は、原作:手塚治虫、作画:野上武志による短編漫画。
『デヅコミ』Vol.3(2018年、マイクロマガジン社)に掲載された。
作中で手塚治虫漫画文庫『空気の底』を登場人物が読んでおり、「猫の血」についても知っているなどメタフィクションな要素もある。
こちらも女性は同じく「妙」で、風呂には入らず水のシャワーで入浴を済ませるなど、似たような行動を取っているし、実家が猫神信仰をしている点も同じ。
こちらの作品内でも国際情勢はきなくさくなっており、「妙」は東京を離れるよう言い出すが、動物的な感ではなく、ネット情報という点が異なっている。そして最大の違いは、「妙」に根負けして、「妙」を連れて旅行に出かけたこと、東京に核ミサイルは落ちなかったこと。
猫耳を着けた「妙」が「旅行はたのしかったね」と言い、「猫はかわいい」と終わる。
外部リンク[編集]
- 猫の血 - 手塚治虫公式サイト