熱中性子

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熱中性子とは運動エネルギーが100meV(ミリ電子ボルト)未満の自由中性子であり、完全に均一でないものである。

概要[編集]

熱中性子は高運動エネルギーの中性子が散乱媒質中の原子核との弾性衝突を繰り返すことで生成される。これは熱中性子化ともいう。そのため、熱中性子のエネルギー分布は散乱媒質の温度特性であるマクスウェル=ボルツマン分布に近づき、低速中性子の割合が増加する。多くの場合、原子炉遮蔽物では減速は減速材によって意図的に起こされる。しかし、自由中性子が存在する他の物質環境でも、そのエネルギースペクトルはほぼ常に、熱中性子の割合の増減することを示す。

平均運動エネルギーは、エネルギー等分配の法則に従って系の温度と関連づいている。中性子はボルツマン定数と絶対温度を用いてが成り立つ。つまり、それぞれの中性子は特定の平均エネルギーで温度を持つということになる。ほとんどの場合、温度はこの形でエネルギーとして直接表される。したがって、前述の上限100meV は(3/2の係数を除く)1160K (887°C)に相当する。

室温では、公称エネルギーは通常と推定される。より正確な平均運動エネルギーは、

用途[編集]

熱中性子はほとんど原子炉で重要な役割を果たす。ただし、少なくとも発電用原子炉では運転温度のためエネルギーは0.025eVよりも高くなる。

また、中性子回折では、物質の構造研究のために重要なものとして利用される。

中性子線を遮蔽するなどの減速材によって熱中性子化され、次にカドミウムホウ素などの吸収断面積の大きい物質によって吸収される。

関連項目[編集]