火星移住
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火星移住とは、人類が将来的に火星に移住する計画である。
概要[編集]
人口増加による食糧危機、気候変動、パンデミック、人類にとっての危機は挙げればきりがない。危急の事態に備え、別の惑星に移住する計画はフィクション、ノンフィクション問わず長らく議論されてきた。太陽系には現在8つの惑星が存在するが、実現可能性を考慮した場合、移住先の惑星は火星のみに限られる。水星は太陽に近すぎて生活不可能、金星は厚い大気に覆われ温室効果が働くゆえに、水星よりも高温で、かつ大気圧が凄まじいため生活不可能、木星、土星、天王星、海王星はガス惑星と呼ばれる通り、地面がないため生活不可能なのである。
対象を衛星まで拡大した場合、地球の衛星の月や、木星の衛星で広大な海が広がる可能性を指摘されているエウロパなどが、移住可能性を秘めていることで知られる[1]。かつて惑星であった冥王星は一見移住可能に思えるが、太陽光がほぼ届かない極寒の世界であり、人類が耐えるにはあまりに過酷な環境である[2]。
太陽系から脱出する技術を奇跡的に人類が獲得した場合、移住可能な惑星の数は急激に増加する。2025年時点で、発見された太陽系外惑星の数は6,000個(太陽系外惑星候補は8,000個以上)に達しており[3]、それらの惑星の一部は、恒星のハビタブルゾーン内を周回していると考えられている。
スペースコロニー[編集]
特定の惑星に属さない宇宙空間に居住する構想(スペースコロニー)に関しても積極的に議論されている。人類は既にスペースコロニーの原型であるISS(国際宇宙ステーション)を運用しており、特定の惑星を目指すよりも現実的なのかもしれない。
予想される障害[編集]
- 輸送問題
- 移住には、人・モノの往来が必ず付随する。火星までの距離は、最接近時で約5,500万キロメートルであり[4]、このタイミングを狙って出発した場合でも、(現代技術では)片道6 - 9か月を要すると言われている[5]。この間、輸送中の人々に対する食料(宇宙食)の保管や、長期飛行に必要な膨大な固体および液体燃料の積み込みを巡る「積載量の拡充」問題をクリアする必要がある。これらの問題を解決するためには、輸送時間の低減が必須であり、新しい燃料の開発が進められている[6][7]。
- 閉鎖的環境(心理的問題)
- 輸送中、移住先で生活する間、どうしても閉鎖的な環境に押し込まれることになる。精神的な影響は計り知れないため、移住希望者向けに、南極や砂漠でのサバイバルを含む事前の訓練や隔離生活が必要になるかもしれない。
- 放射線(宇宙線)
- 数日程度なら、放射線の被曝量は(地球上と比較して高いとはいえ)微々たるものである。ただこれが数年、数十年となると話は変わる。とある試算では、1年間火星で生活した場合、浴びる放射線量は約230ミリシーベルトとされる[5]。また別の試算では、火星までの航行中(片道6ヵ月と仮定)の間に浴びる放射線量は約330ミリシーベルトとされる[8]。日本人一人当たりの自然放射線由来の被曝量が年間2.1ミリシーベルトであるため[9]、単純計算で、惑星移住における被曝量は地球上の100倍以上である。
- エネルギー問題
- 火星に石炭、石油、天然ガス等の地下資源はほぼ存在しない。火力発電や石油の精製が望めないとなると、別のエネルギー生成方法を確立する必要がある。火星の極地方にある氷冠や地下に存在するとされる氷の層[10]を溶かすことができたら、そのまま水力発電に応用できる可能性がある。とはいえ、いずれ底をつくことを考えれば、風力発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーを用いたエネルギーの生成が主流になるのかもしれない。
- 生活維持サイクル(食料・水・酸素)
- 火星の大気組成は、二酸化炭素が95%、窒素が3%、酸素が0.1%(地球は窒素が78%、酸素が21%、二酸化炭素が0.04%)である[11]。酸素が十分ではないため、酸素の生成サイクルを確立する必要がある。酸素の生成には植物の光合成が重要な役割を果たす。しかし火星では、大気圧と気温が低いため、植物の生長に必要な液体の水が安定して存在し続けることができない。水だけではなく、成長に不可欠な有機物や微生物を含む土壌も火星に存在しない。植物を基盤とした持続可能な生態系の構築が、たんぱく質や脂質など人類が生きる上で重要な栄養素を含む動物の繁栄に繋がるため、食料の輸送や人工培養肉の生産などに頼らないのであれば、人工ドーム構想やテラフォーミングなどの実現が必要になる。
- 人類による汚染
- 産業革命以来、人類は地球を汚し続けてきた。他の生物との共存を前提としない我々の生存戦略は、環境汚染という形で地球に癒えぬ傷を負わせてしまった。一部の研究者は、人類が地球の外まで活動領域を広げ、その勝手気ままな行動で火星を汚染することに対して警鐘を鳴らしている[12]。
実際の計画[編集]
- アルテミス計画(NASA)- 月面着陸の延長線上。
- スターシップ(SpaceX)
- マーズワン(オランダの民間企業)
- 中国による計画
- UAEによる計画
出典[編集]
- ↑ “木星の衛星「エウロパ」の居住可能性は? NASA探査機打ち上げへ”. MITテクノロジーレビュー (2024年10月3日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “ハッブル、冥王星の真の姿を明らかに”. ナショナルジオグラフィック日本語サイト (2010年2月5日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “NASA’s Tally of Planets Outside Our Solar System Reaches 6,000” (英語). NASA Science (2025年9月16日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “火星の接近とは”. 国立天文台. 2026年3月28日確認。
- ↑ a b “火星に移住できるって本当?その検証と移り住むことによるメリットと弊害”. ダイヤモンド・ビジョナリー (2025年9月18日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “ロシア「火星まで30日で行ける」。爆速のプラズマ電気ロケットエンジンを絶賛開発中”. キズモード・ジャパン (2025年2月15日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “NASA Testing Advances Space Nuclear Propulsion Capabilities”. NASA Science (2026年1月27日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “火星旅行に大量被曝のリスク”. ナショナルジオグラフィック日本語サイト (2013年6月3日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “年間当たりの被ばく線量の比較”. 環境省. 2026年3月28日確認。
- ↑ “火星の北極の地下に大量の氷を発見”. アストロピクス (2019年5月29日). 2026年3月28日確認。
- ↑ “火星の大気(3)火星には雨が降らない(その2)”. はまぎん こども宇宙科学館 (2022年10月21日). 2026年3月28日確認。
- ↑ 星野眞三雄. “火星に地球の環境を作って暮らす 「技術的にできるのか」と「倫理的に許されるのか」”. 朝日新聞GLOBE+. 2026年3月28日確認。