戦国機甲伝 クニトリ

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戦国機甲伝 クニトリ』(せんごくきこうでん クニトリ)は、あさりよしとお戦国時代×巨大ロボット漫画作品。

日本の戦国時代を舞台にしたリイド社の漫画雑誌『戦国武将列伝』にて2015年6月号(2015年4月27日発売)[1]から同誌が休刊となった2016年8月号(2016年6月27日発売)まで連載され、雑誌休刊以降は同社のWEB媒体である「リイドカフェ」に移籍して掲載された[2]。全18話。単行本は全2巻。

日本の戦国時代を舞台とするが、織田信長羽柴秀吉徳川家康といった有名な戦国武将はいずれも少女となっていると共に、日本各地の領主は「武将(ブショウ)」と呼ばれる巨大な戦闘用の人型機械を操って合戦を繰り広げているという架空歴史のロボット物である[1]

あらすじ[編集]

この日本では、から日本酒を造り、日本酒を蒸留して作った酒精(アルコール)を燃料とする内燃機関を用いた「武将(ブショウ)」と呼ばれる巨大な戦闘用の人型機械を使い、各地の大名たちが争いを繰り広げていた。

しかし、織田信長は「この世界」に、「乱世」に疑問を抱き、羽柴秀吉、徳川家康、明智光秀を率いて「世の理」に挑む。

三方ヶ原で、巨体の四足歩行(いわゆるケンタウロス型)の武田騎馬軍団を率いる武田勝頼が、織田・徳川連合軍に猛攻する。織田信長は馬防柵で進撃を停めつつ、火砲で応戦。その一報で別働体により武田騎馬軍団の補給隊を襲撃。大型、重装甲で攻撃力、防御力には勝るものの燃費の悪い武田騎馬軍団は燃料切れで動けなくなり、一方的に壊滅した。この戦いは後に「長篠の戦い」と呼ばれる。

以上、第1話。第2話は長篠の戦いから25年をさかのぼり、木下藤吉郎が織田信長に仕える。以降、木下藤吉郎が中心人物となって語られる。

登場人物[編集]

織田信長
この時代のものとは思えない奇想天外な戦の方法や、既存の政治概念を覆す発想をする。
羽柴秀吉
旧名は木下藤吉郎。「米を作る側ではなく、米を食う側、使う側になりたい」と武将乗りを目指す。
当初は今川に仕官したが、武将の整備、雑用、足下の警備のみをやらされるために辞め、野武士である蜂須賀小六の勧めで織田信長に合う。馬回り衆は引っかからないが、武将の太ももあたりに引っかかる高さの綱を張り、「今の武将の運用には穴がある」と自分を売り込んで仕官した。
松平元康
後に徳川家康。三河国の主であり、織田が今川義元を打ち破った後に同盟を組む。
「太平の世」を志向しており、非常に我慢強い。
明智光秀
信長の腹心。視野も広く切れ者でもあるが、考え方はやや保守的。

武将[編集]

この世界では、源平の合戦以前に武士に朝廷から下賜されていた儀礼用の巨大人型ロボットに由来する。当初は一騎打ちが主であったが、源義経一ノ谷の戦いにおいて「鹿が降りれるなら、馬も降りれる。馬が降りれるなら、馬鹿も降りれる」と一ノ谷の裏手の断崖絶壁の上から武将で落ちてくるなど、戦のあり方を変えたとされる。

戦国時代においては、戦とはこの武将の「首」、頭部ユニットを取り合うのが習わしとなっている。

武将の整備は帝の直轄の機甲衆という集団の管轄であり、大名と言えども機甲衆に直接手出しはできない。機甲衆にも武将の改造や新規開発は厳しく戒められている。

米から日本酒を作り、その日本酒を蒸留して作った酒精(アルコール)を燃料にした内燃機関で動いている。

  • 仕官せず、燃料の入手なども個人で行う「野武士」も存在する。
  • 甲斐の武田は、あらすじのように四足歩行型の騎馬軍団を要する。下半身が四つ足というのもあるが、通常武将が胸ほどの大きさの大型で、重装甲の上に出力も大きく、武将同士の戦いでは無敵をほこるが、燃費が悪い。
  • 織田信長の「武将」は、2人乗りで森蘭丸が砲手などを務める。
  • この時代、「天守閣」とは歩行機能の無い大型の「武将」である。腕力に特化しているため、投石などは強力。
  • 「今川義元」は天守閣を元に歩行可能なようにされた超大型「武将」。大人1人分の食糧となる米から精製した酒精をわずか二歩ぶんで消費する。桶狭間の戦いでは高台に攻め登る織田側武将を迎撃しようと下ったが、自重と下りによる慣性の法則、足元を狙われての転倒から、敗北している。
  • 清州城」は、鹵獲した今川義元を元に歩行可能な天守閣にしたもの。大型の鉄砲を装備する。歩行も可能ではあるが、燃費などの問題から実用性はない。諸大名が清州城を脅威として同様の装備を配備しようとした場合、国力を圧迫することになると、信長は採用した。実際に、斎藤龍興が思惑に乗り、稲葉山城の歩行化に乗り出している。
  • 越後の上杉謙信は、民草が米を食えるようにと、酒精ではなく草生水(くそうず、石油)を精製した液体を動力にした武将を開発(2度の上洛は、これの使用許可を帝に得るため)、運用している。武田騎馬軍団のものと同様の大型ケンタウロス型であるが、出力や速度は武田の物をはるかに凌駕する。川中島の戦いでは上杉謙信が一騎駆けで武田の陣容に攻め入り、武田信玄に一撃を加えて離脱している。これほど強力であるが燃料問題から越後の外には出られない。
  • 竹中半兵衛は兵2万、武将20数機で追撃してくる朝倉義景に対し、手持ち3機の武将を兵糧と燃料の輸送にのみ使い、隊列が伸びきった朝倉軍に歩兵2000人のみで反復攻撃を加える作戦を立案し、金ヶ崎の退き口を完勝している。
  • 姉川の戦いでは寡兵ながらも攻め立てる浅井長政、朝倉義景に対し織田軍は防戦一方だったが、徳川軍が浅井、朝倉軍の背後を突き、補給線を絶ったため、浅井、朝倉軍は燃料切れによる撤退となった。
  • 雑賀孫市率いる雑賀衆は小型の武将に長距離銃を持たせ、武将が目視できない位置(観測員は別に要る)から曲射弾道による間接射撃によって一発で武将を大破させる攻撃を行って信長を苦しめた。
  • 秀吉による鳥取城攻囲戦で、鳥取城側は羽根車(スーパーチャージャー)搭載機を帝から入手していた。非常に強力な武将であったが、燃費が悪く、秀吉が周辺地域からの米の高値買取を行ったこともあり、備蓄米が減っていた上に、食糧にするよりも酒精にするほうを優先したため、尽きてしまった。
  • 秀吉による中国大返しは武将を武将用自転車を用いて移動させることで燃費と移動速度を大幅に向上させた。ただし、信長が光秀に討たれた報を受けてから移動を開始したのではなく、秀吉自身が謀反を起こすつもりで引き返す途中でもあった。本能寺の変も謀反を決意した光秀が本能寺に到着する直前に爆散している。なお、家康も同様に独自に謀反の計画を立てていたが機を逸している。

脚注[編集]

  1. a b 『あさりよしとおが戦国武将列伝で新連載、戦国時代に人型兵器で合戦”. コミックナタリー (2015年4月27日). 2025年9月5日確認。
  2. 戦国を題材にした時代劇誌「戦国武将列伝」が休刊、「セキガハラ」など完結”. コミックナタリー (2016年6月27日). 2025年9月5日確認。