原級留置

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原級留置(げんきゅうりゅうち、げんきゅうとめおき)とは、学校に在籍している児童・生徒・学生が何らかの理由で進級できずに同じ学年の授業を再度履修すること。俗に留年落第と呼ぶ。

概要[編集]

何らかの理由で上級学年の授業を受けられず、前年度と同じ学年で学籍を留める処置。日本では義務教育ではない高校・高専以上で留年処置が当たり前のように行われている。
単位制でない高等学校では、単位認定された科目も含め、同じ学年の授業を再度受ける[注 1]
大学は、高校と違い同じ学年の授業を再度履修させる措置はないが、必修科目の受講に必要な単位が取得できてなかったり、必修授業のかち合いなどで、2年次、3年次在学の時点で既に4年で卒業できないことが確定することもある。

主に留年処置となる理由には以下のものがある他、留学や長期入院など当人の責に帰さない理由で留年となることもある。ただし、再試験受験や長期休業期間中に授業を受けることで留年回避を促すこともある。

  • 成績不良(単位不足)
  • 出席日数不足
  • 学校が定めた遅刻・欠課時間数の超過
  • 生活態度不良

なお、単位制の高校や学年毎の関門制度の無い大学[注 2]では、原級留置はないが、卒業に必要な単位が修業年限までに揃わない場合、卒業延期となり、最終学年に留め置かれる。

学校毎の例[編集]

義務教育[編集]

義務教育の小中学校においても原級留置の処置を有することを前提とした法体系となっており、年度末が近くなると、職員会議内で進級判定会議・卒業判定会議を開いて各児童・生徒の進級・卒業の可否を判断している。しかし、保護者より進級の要望があれば、ここで進級不可と判断される事は殆どなく、表向き小中学校の留年は存在しないとされる。
たとえ留年を希望しても、特別支援学級のように過年度生を受け入れる学級の設置が義務付けられないため、希望が受け入れられずに、最終学年の場合は形式卒業させることも珍しくない。
更に公的な統計が存在しないため、原級留置がどれだけ行われているかも不明である。ただし国勢調査に小中学校の在学者と年齢を区分した統計が存在し、ここから間接的にだが留年している小中学生の人数を知ることが出来る。

単位制でない全日制高校[編集]

単位制でない全日制高等学校の場合は原級留置されること自体が珍しい(大学附属高校を中心に一部で例外あり)。そのため、羞恥心や同期からの落ちこぼれに対する無理解に耐えられずに学校を辞めたり、単位制の高校に転学する生徒もいる。

なお、高校野球のように年齢規定で原級留置者に冷たい部活動もある。

単位制高等学校・高等専門学校の場合[編集]

留年生がそれなりにいる高等専門学校や学年制の定時制通信制高等学校、卒業延期のみの単位制高等学校の場合は「魁!男塾」の大豪院邪鬼のように厚顔無恥で居座る者もおり、その場合は年下の同級生から「長老」というあだ名がつけられることもある。

大学の場合[編集]

大学の場合はクラス制ではなく、単位既修得の授業の再受講はないので羞恥心はなく、定員の多い学科では目立たなくなるのも容易だが、後輩からは、「〇〇さん、ご進級おめでとうございます」と冷やかされ、卒業式で同回生が卒業していくのを「かわいそうに、あいつらこれから社会でこき使われるんだな」と部室のこたつで横になってを飲みながら減らず口を叩いて満足するのである。
もっとも、景気低迷期は、翌年度の就活環境の好転を期待し、卒業要件を満たしながらあえて留年する「新卒ロンダリング」的な学生も見られた。

原級留置された者の末路[編集]

全日制高等学校の場合[編集]

留年した場合、その後はたいてい年下のクラスメートからの激しいイジりや場合によってはいじめ、教員からの執拗な迫害やいやがらせ、元同級生からの煽りLINEなど、まず良いことはない。
教室でつけられるあだ名は「ニキ[注 3]」「先輩」。クラスメートからは敬語を使われ、遠回しにバカにされる。あと中間テスト期末テストの過去問をせびられる。

このような、顔を合わせられいほどの羞恥心や、激しいストレスにさらされた結果、耐えられずに留年したのちに自主退学をする生徒も多い。この場合、通信制高等学校などに転校し転入措置を受けてもらうと、元の学年に復帰できる場合もある。

実際に留年してみた[編集]

以下、加筆者が全日制普通科高校で高校1年生で実際に留年をした際の生々しい体験談を記す[1]。なお、1回目の高校1年生は「高1表」、2回目の高校1年生は「高1裏」と表記する。

  • 高1表3月
    • 修得単位の不足により留年が確定する。この時には恐怖で周囲にはカミングアウト出来ず、学校関係者や両親・一部の部活動関係者にのみ知られた。
    • 留年をするか自主退学をするかの六者面談を実施する。校長、教頭、担任、両親、そして原級生という構成だ。ここで加筆者は激しく詰められることになる。
  • 高1裏4月:間違いなく人生で1番つらい時期
    • 新クラスに編入。といっても1つ年下のクラスであり、知人が誰一人としていない教室にぶち込まれる。隠してもしょうがないので加筆者は始業式にカミングアウトした。
    • 大量の煽りLINEが届く。
    • 無事に進級した生徒(元同級生)が「わざわざ」新しい教室で狼狽する加筆者に面会に行き、また煽られる。
    • なんなら教員からも煽られる。「あれ教室間違えてない?」「やけにその参考書汚いね…… 味があっていいわね(笑)」「残念だったなあ笑笑笑」「リューネンセイ?(英語科ネイティブ教員)」
    • 新しいクラスメートからは「先輩」呼び。これがかなり心に来る。
    • 両親や親族からは冷ややかな目で見られ、人間の扱いをされなくなる。おそらう重大な犯罪を犯した罪人レベルでは。
  • 高1裏5月:1年前にやったから余裕だと思っていた中間テストがまさかの爆死。思わぬ事態になり嘲笑はピークに達する。
  • 高1裏7月
    • 期末テストを前にして同級生から過去問をせびられまくる。と共に、昨年度の赤点の答案を見られてしまいここでも嘲笑される。
    • 幸いにして加筆者はここでなんとか高得点を取ることができ、結果として高1裏での進級につながった。同級生との関係も良好であるらしい。

これは加筆者が体験した、まぎれもない現実である。これを見てもあなたは勉強から目を背けられますか…?

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原級留置が登場する作品[編集]

小説
漫画
  • あだち充「みゆき」の間崎竜一(1年浪人、高校を1年留年している)
  • 吉田聡「ちょっとヨロシク!」の苺谷香(高校を2年留年している)
  • いなかっべ大将」(出席日数不足の原級留置のシーンがある)

原級留置を公表している著名人[編集]

高校時

関連項目[編集]

脚注[編集]

出典
注釈
  1. 留年後に全日制高校の教育課程が変わる場合、新課程の授業を受けるが、修得済の科目は振替措置がされるため、必修科目の名称が変更になっても取り直しの必要はない。
    ちなみに、原級留置になるとホームルーム活動も下級年度生と共に行うことになる。
  2. 関西の大学では「○回生」という用語があるが、これは旧制時代の関西の大学で学年毎の関門を設けない完全単位制を採用したことの名残りであり、中途で原級留置になったことを誤魔化す便利な言葉で最大8回生まである。
  3. 「アニキ」と「2期目」をかけている。