北神急行電鉄7000系電車

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北神急行電鉄7000系電車
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「さようなら7000系 in 谷上車庫」にて(2023年撮影)
基本情報
運用者 北神急行電鉄神戸市交通局
製造所 川崎重工業
製造年 1987年 - 1989年
製造数 5編成30両
運用開始 1988年4月2日
運用終了 2023年8月17日
廃車 2024年2月22日
投入先 北神線西神・山手線
主要諸元
編成 5両編成 (3M2T) → 6両編成 (3M3T)
軌間 1,435 mm
電気方式 架空単線式直流1,500V
最高運転速度 90 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
台車 SUミンデン式
FS531、FS031、FS031A
主電動機 かご形三相誘導電動機
MB-5021-A(7000系)
MB-5160-B(全閉自冷式、7000-A系)
主電動機出力 170 kW / 基
駆動方式 WN駆動方式
歯車比 6.73
編成出力 2,040 kW
制御装置 三菱製GTO-VVVF(更新前、1C4M方式)
三菱製フルSiC-VVVF(更新後)
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ
抑速ブレーキ
(HRDA-1・日本エヤーブレーキ製)
保安装置 ATC (CS-ATC)、ATO

北神急行電鉄7000系電車(ほくしんきゅうこうでんてつ7000けいでんしゃ)とは、かつて1988年から2023年まで北神急行電鉄神戸市営地下鉄が運用していた鉄道車両電車)である。

概要[編集]

1988年の北神急行開業に合わせて、5両×5編成の25両が製造された。神戸市営地下鉄の西神・山手線に直通するため、車両の規格などは直通先の車両と揃えている。また、1989年には直通先の西神・山手線の6両編成化に合わせて、1両が追加増備された。

2016年からは機器更新工事が施工。詳細は後述するが、神戸市営地下鉄の車両とは違って徹底的な改造が施されており、今後も長く使用するぞという北神急行の意思が感じられる。

しかし、2018年には北神線が神戸市営地下鉄に移管してしまうことが決定してしまう。車両はどうなったかって、当然神戸市営地下鉄に譲渡された。しかし、神戸市営地下鉄は当時、バリアフリー化でホームと車両の隙間を無くす工事をしており、その一環として新型車両6000形を導入し、比較的新しい3000形もろとも従来車の一掃を計画していた。本形式が神戸市営地下鉄のものとなった今、一掃の対象にならないはずもなく、2022年にはついに公式から置換発表がなされる。そして2023年に5編成が一気に廃車となり、本形式は形式消滅した[注 1]

本来は長く使われるはずだったのに、鉄道会社が変わったことによって方針が丸々変わり、更新工事からたったの数年で廃車となったため、不遇の鉄道車両であるともいえよう[注 2]

構造[編集]

車体の長さ・窓の形状や性能は神戸市営地下鉄の車両と同じであるが、北神急行電鉄の親会社・阪急電鉄特有の車両スタイルが随所にみられる。

外観[編集]

アイボリー地に、窓周りにベージュ色を巻いたツートンカラーで、なんとなく北欧風の車両の印象がある。側面の窓上には英字で「𝐻𝑜𝑘𝑢𝑠ℎ𝑖𝑛𝑘𝑦𝑢𝑘𝑜 𝑅𝑎𝑖𝑙𝑤𝑎𝑦」とデザインされている。前面は左側に非常用ドアを設け、一般的な地下鉄の車両のスタイルとなっている[注 3]。前照灯は直通先の神戸市営地下鉄の車両に合わせるためか、関西私鉄では珍しく運転台の下部に配置された。

なお、転落防止幌やドアは阪急電鉄の車両とほぼ同仕様のものを採用(幌はバネで押し合う機構、ドアは取っ手の部分が2つついている点が阪急と同じである)。

内装[編集]

木目調の化粧板、ゴールデンオリーブの座席モケット、天井の照明や空調装置の吹き出し口、さらには袖仕切りや網棚の形状まで、同時期に製造された阪急8000系と酷似している。相違点といえば、袖仕切りの外側が化粧板仕上げになっていることくらいだろうか[注 4]

走行機器[編集]

寸法や性能、運転関係の機器配置は概ね神戸市営地下鉄の1000形に準じつつ、新機軸が導入された。制御装置は三菱電気GTOサイリスタ素子によるVVVFインバーターが搭載され、台車住友金属工業製のSUミンデン式空気ばね台車が採用された[注 5]

運用[編集]

北神急行及び神戸市営地下鉄西神・山手線で運用されていた。相互直通における走行距離調整の兼ね合いもあってか、谷上に行かずに西神・山手線の新神戸折り返し運用も存在した。また、常に2編成は予備車となっており、運用数と予備数の比率が3:2と予備率が高かった。なお西神・山手線で1993年から1995年まで運行していた快速列車については運用されなかった[注 6]

北神急行路線の神戸市営地下鉄への移管後も、運用は変わらず、引き続き神戸市営地下鉄車両と運用が分かれていた。6000形の増備に伴い、2022年6月のダイヤ改正で運用が減少し、日中の運用が消滅した。2023年8月17日に定期運用を終了。

改造[編集]

2016年に機器更新工事を施工。VVVFがMOSFET素子を使用したフルSiC-VVVFに換装し、騒音低減のため主電動機を開放型から全密閉型に変更した。また7052Fから行先表示機を幕式からフルカラーLEDに改造するメニューが追加され、それ以前に改造された7051F・7053F・7052Fについても改造された。神戸市営地下鉄の車両とは違い、徹底した改造がなされた。

車両番号はそのままに形式が7000-A系または7000-C系に変更されている[注 7]

編成表[編集]

← 西神中央     新神戸・ 谷上 →
編成番号 Tc1 M1 M2 T1 M3 Tc2
7051F 7051 7501 7601 7551 7511 7151
7052F 7052 7502 7602 7552 7512 7152
7053F 7053 7503 7603 7553 7513 7153
7054F 7054 7504 7604 7554 7514 7154
7055F 7055 7505 7605 7555 7515 7155

編成別[編集]

7000-A系には○を、7000-C系には△を付す。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. なお、SiC-VVVFを搭載した車両の廃車は全国初である。
  2. また、神戸市が公開した市民意見募集(パブリックコメント) の結果では、「元北神急行の7000形はリニューアルから間もないためもっと使用するべきである」との意見があったが、神戸市は「ワンマン運転化の改造費用対効果を考えると、新車へ置き換えたほうが良いと判断した」とのこと。
  3. 後に登場した神戸市営地下鉄3000形東京都交通局6300形と似通ったデザインとなった。
  4. ただし、後から追加製造された4号車は袖仕切りの外側もモケット仕上げとなっており、もはや相違点を見つけ出すのが困難なレベルになっている。
  5. 電動台車にFS531が、付随台車にFS031がそれぞれ使用されている。
  6. 神戸市営地下鉄車では快速運転開始時に「新長田」「大倉山」幕を撤去したが、当形式は撤去されていない。
  7. 5編成のうち、7051・7052・7053編成が7000-A系、7054・7055編成が7000-C系。

出典[編集]

他の車両との関係[編集]

前世代の同一用途[編集]

近い世代の車両[編集]

次世代の同一用途[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

地下鉄西神・山手線北神線 1000形 - 2000形 - 3000形 - 6000形 - 7000系
地下鉄海岸線 5000形