加法定理 (三角関数)

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三角関数加法定理(かほうていり)とは、三角関数どうしの加法(足し算)と減法(引き算)に関する定理である。

公式[編集]

符号は全て複号同順。±と∓は上なら上、下なら下で等号が成り立つ。

sin(x±y)=sinxcosy±cosxsiny
cos(x±y)=cosxcosysinxsiny
tan(x±y)=tanx±tany1tanxtany

cot, sec, csc に関する式は以下の通り。あまりきれいな形にはならず、エンペディア読者にこれらを使う人はあまりいないと思われるが、鉄道分岐器に使うので参考までに記載しておく。

cot(x±y)=cotxcoty1coty±cotx
sec(x±y)=secxsecycscxcscycscxcscysecxsecy
csc(x±y)=secxsecycscxcscysecxcscy±cscxsecy

倍角公式[編集]

加法定理から、以下の公式が簡単に導出できる。

2倍角の公式[編集]

y = x と代入し整理するだけで以下の公式が導かれる。

sin2x=2sinxcosx=2tanx1+tan2x
cos2x=cos2xsin2x=2cos2x1=12sin2x=1tan2x1+tan2x
tan2x=2tanx1tan2x

3倍角の公式[編集]

y = 2x とし、さらに2倍角の公式も用いて整理することにより以下の公式が導かれる。

sin3x=3sinx4sin3x
cos3x=4cos3x3cosx
tan3x=3tanxtan3x13tan2x

同様に 4倍角の公式、5倍角の公式、…… なども導けるが、導出が簡単なうえに使用する場面はほとんどないため、覚える必要はほとんどない。

計算問題で sin7x や cos7x を含む数式を見ても「7倍角の公式なんて知らない!無理!(>_<)」などと慌てる必要はない。倍角公式を使わない別の方法がきっとあるはずである。

半角公式[編集]

2倍角の公式より、 cos 2x を sin2 x , cos2 x , tan2 x のみで表すことができることから、 2x を x と置きなおして整理することにより以下の公式が得られる。

sinx2=±1cosx2
cosx2=±1+cosx2
tanx2=±1cosx1+cosx=sinx1+cosx=1cosxsinx

和積公式[編集]

sin(x+y)=sinxcosy+cosxsiny
sin(xy)=sinxcosycosxsiny
cos(x+y)=cosxcosysinxsiny
cos(xy)=cosxcosy+sinxsiny

これをうまく変形すると得られる。

sin(x+y)+sin(xy)=2sinxcosy
sin(x+y)sin(xy)=2cosxsiny
cos(x+y)+cos(xy)=2cosxcosy
cos(xy)cos(x+y)=2sinxsiny

覚え方[編集]

sinとcosに関する2つの式については、以下の覚え方が有名である。

  • 咲いたコスモス コスモス咲いた
  • コスモスコスモス 咲かない咲かない

sinを「咲く」、cosを「コスモス」、符号が逆になる部分を「ない」で表現している。

これ以外にも覚え方はたくさんある。sinとcosを別の文字列に置き換えるものが多く、小林(cos)幸子(sin)や埼玉県(sin)越谷市(cos)が登場したり、死んだり(sin)殺したり(cos)、性的表現をふんだんに使用したりとバリエーションは尽きない模様[1]。あと、「しんこすこすしん、こすこすしんしん」という力技の覚え方もある。[2]

3倍角のsinについては、「3番三振、4番3三振」と覚えることも可能である。

証明[編集]

ここでは高校の教科書に載っている一般的な方法で証明を行う。まず余弦定理を用いて cos(αβ) に関する式を証明し、三角関数の相互関係より他の式も導く。

単位円上に2点 A(cosα,sinα),B(cosβ,sinβ) をとる。2点間の距離の公式より、

AB2=(cosαcosβ)2+(sinαsinβ)2=22cosαcosβ2sinαsinβ

三角形OABに余弦定理を用いると、

AB2=OA2+OB22OAOBcosAOB=12+12211cosAOB=22cosAOB

以上の2式を等号で結び、さらに整理すると以下の式が得られる。

22cosAOB=22cosαcosβ2sinαsinβcosAOB=cosαcosβ+sinαsinβ

ここで、 AOB=αβ または AOB=βα であるが、 cos(αβ)=cos(βα) であるため、どちらの場合でも cosAOB=cos(αβ) が成り立つ。よって、

cos(αβ)=cosαcosβ+sinαsinβ(1)

(1)式と三角関数の関係式より、その他の加法定理の公式も導ける。(複号は同順とする)

cos(α+β)=cos{α(β)}=cosαcos(β)+sinαsin(β)=cosαcosβ+sinα(sinβ)=cosαcosβsinαsinβ(2)
sin(α±β)=cos{90(α±β)}=cos{(90α)β}=cos(90α)cosβsin(90α)sinβ=sinαcosβ(cosα)sinβ=sinαcosβ±cosαsinβ(3),(4)
tan(α±β)=sin(α±β)/cos(α±β)=(sinαcosβ±cosαsinβ)/(cosαcosβsinαsinβ)=sinαcosβ±cosαsinβcosαcosβ/cosαcosβsinαsinβcosαcosβ=(sinαcosα±sinβcosβ)/(1sinαsinβcosαcosβ)=(tanα±tanβ)/(1tanαtanβ)(5),(6)

複素数と絡めた解釈[編集]

高校数学の範囲外だが、オイラーの公式 eiθ=cosθ+isinθ を使うと、加法定理は指数法則に従い、容易に導き出せる。

cos(α+β)+isin(α+β)=ei(α+β)=eiαeiβ=(cosα+isinα)(cosβ+isinβ)=(cosαcosβsinαsinβ)+i(cosαsinβ+sinαcosβ)

より、実部と虚部を取れば導くことができる。

脚注[編集]

  1. これに限らず、数学は何かしらの覚え方をマスターしておくべきである。(私論)
  2. この場合、tanについても「いちひくたんたんたんたすたん」と覚えられる。

関連項目[編集]