加法定理 (三角関数)

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

三角関数の加法定理(かほうていり)とは、三角関数どうしの加法(足し算)と減法(引き算)に関する定理である。

公式[編集]

符号は全て複号同順。±と∓は上なら上、下なら下で等号が成り立つ。

sin⁡(x±y)=sin⁡xcos⁡y±cos⁡xsin⁡y
cos⁡(x±y)=cos⁡xcos⁡y∓sin⁡xsin⁡y
tan⁡(x±y)=tan⁡x±tan⁡y1∓tan⁡xtan⁡y

cot, sec, csc に関する式は以下の通り。あまりきれいな形にはならず、エンペディア読者にこれらを使う人はあまりいないと思われるが、鉄道分岐器に使うので参考までに記載しておく。

cot⁡(x±y)=cot⁡xcot⁡y∓1cot⁡y±cot⁡x
sec⁡(x±y)=sec⁡xsec⁡ycsc⁡xcsc⁡ycsc⁡xcsc⁡y∓sec⁡xsec⁡y
csc⁡(x±y)=sec⁡xsec⁡ycsc⁡xcsc⁡ysec⁡xcsc⁡y±csc⁡xsec⁡y

倍角公式[編集]

加法定理から、以下の公式が簡単に導出できる。

2倍角の公式[編集]

y = x と代入し整理するだけで以下の公式が導かれる。

sin⁡2x=2sin⁡xcos⁡x=2tan⁡x1+tan2x
cos⁡2x=cos⁡2x−sin⁡2x=2cos⁡2x−1=1−2sin⁡2x=1−tan2x1+tan2x
tan⁡2x=2tan⁡x1−tan2x

3倍角の公式[編集]

y = 2x とし、さらに2倍角の公式も用いて整理することにより以下の公式が導かれる。

sin⁡3x=3sin⁡x−4sin⁡3x
cos⁡3x=4cos⁡3x−3cos⁡x
tan⁡3x=3tan⁡x−tan⁡3x1−3tan2x

同様に 4倍角の公式、5倍角の公式、…… なども導けるが、導出が簡単なうえに使用する場面はほとんどないため、覚える必要はほとんどない。

計算問題で sin7x や cos7x を含む数式を見ても「7倍角の公式なんて知らない!無理!(>_<)」などと慌てる必要はない。倍角公式を使わない別の方法がきっとあるはずである。

半角公式[編集]

2倍角の公式より、 cos 2x を sin2 x , cos2 x , tan2 x のみで表すことができることから、 2x を x と置きなおして整理することにより以下の公式が得られる。

sin⁡x2=±1−cos⁡x2
cos⁡x2=±1+cos⁡x2
tan⁡x2=±1−cos⁡x1+cos⁡x=sin⁡x1+cos⁡x=1−cos⁡xsin⁡x

和積公式[編集]

sin⁡(x+y)=sin⁡xcos⁡y+cos⁡xsin⁡y
sin⁡(x−y)=sin⁡xcos⁡y−cos⁡xsin⁡y
cos⁡(x+y)=cos⁡xcos⁡y−sin⁡xsin⁡y
cos⁡(x−y)=cos⁡xcos⁡y+sin⁡xsin⁡y

これをうまく変形すると得られる。

sin⁡(x+y)+sin⁡(x−y)=2sin⁡xcos⁡y
sin⁡(x+y)−sin⁡(x−y)=2cos⁡xsin⁡y
cos⁡(x+y)+cos⁡(x−y)=2cos⁡xcos⁡y
cos⁡(x−y)−cos⁡(x+y)=2sin⁡xsin⁡y

覚え方[編集]

sinとcosに関する2つの式については、以下の覚え方が有名である。

  • 咲いたコスモス コスモス咲いた
  • コスモスコスモス 咲かない咲かない

sinを「咲く」、cosを「コスモス」、符号が逆になる部分を「ない」で表現している。

これ以外にも覚え方はたくさんある。sinとcosを別の文字列に置き換えるものが多く、小林(cos)幸子(sin)や埼玉県(sin)越谷市(cos)が登場したり、死んだり(sin)殺したり(cos)、性的表現をふんだんに使用したりとバリエーションは尽きない模様[1]。あと、「しんこすこすしん、こすこすしんしん」という力技の覚え方もある。[2]

3倍角のsinについては、「3番三振、4番3三振」と覚えることも可能である。

証明[編集]

ここでは高校の教科書に載っている一般的な方法で証明を行う。まず余弦定理を用いて cos⁡(α−β) に関する式を証明し、三角関数の相互関係より他の式も導く。

単位円上に2点 A(cos⁡α,sin⁡α),B(cos⁡β,sin⁡β) をとる。2点間の距離の公式より、

AB2=(cos⁡α−cos⁡β)2+(sin⁡α−sin⁡β)2=2−2cos⁡αcos⁡β−2sin⁡αsin⁡β

三角形OABに余弦定理を用いると、

AB2=OA2+OB2−2OA⋅OBcos⁡∠AOB=12+12−2⋅1⋅1⋅cos⁡∠AOB=2−2cos⁡∠AOB

以上の2式を等号で結び、さらに整理すると以下の式が得られる。

2−2cos⁡∠AOB=2−2cos⁡αcos⁡β−2sin⁡αsin⁡βcos⁡∠AOB=cos⁡αcos⁡β+sin⁡αsin⁡β

ここで、 ∠AOB=α−β または ∠AOB=β−α であるが、 cos⁡(α−β)=cos⁡(β−α) であるため、どちらの場合でも cos⁡∠AOB=cos⁡(α−β) が成り立つ。よって、

cos⁡(α−β)=cos⁡αcos⁡β+sin⁡αsin⁡β⋯(1)

(1)式と三角関数の関係式より、その他の加法定理の公式も導ける。(複号は同順とする)

cos⁡(α+β)=cos⁡{α−(−β)}=cos⁡αcos⁡(−β)+sin⁡αsin⁡(−β)=cos⁡αcos⁡β+sin⁡α(−sin⁡β)=cos⁡αcos⁡β−sin⁡αsin⁡β⋯(2)
sin⁡(α±β)=cos⁡{90∘−(α±β)}=cos⁡{(90∘−α)∓β}=cos⁡(90∘−α)cos⁡β∓sin⁡(90∘−α)sin⁡β=sin⁡αcos⁡β∓(−cos⁡α)sin⁡β=sin⁡αcos⁡β±cos⁡αsin⁡β⋯(3),(4)
tan⁡(α±β)=sin⁡(α±β)/cos⁡(α±β)=(sin⁡αcos⁡β±cos⁡αsin⁡β)/(cos⁡αcos⁡β∓sin⁡αsin⁡β)=sin⁡αcos⁡β±cos⁡αsin⁡βcos⁡αcos⁡β/cos⁡αcos⁡β∓sin⁡αsin⁡βcos⁡αcos⁡β=(sin⁡αcos⁡α±sin⁡βcos⁡β)/(1∓sin⁡αsin⁡βcos⁡αcos⁡β)=(tan⁡α±tan⁡β)/(1∓tan⁡αtan⁡β)⋯(5),(6)

複素数と絡めた解釈[編集]

高校数学の範囲外だが、オイラーの公式 eiθ=cos⁡θ+isin⁡θ を使うと、加法定理は指数法則に従い、容易に導き出せる。

cos⁡(α+β)+isin⁡(α+β)=ei(α+β)=eiαeiβ=(cos⁡α+isin⁡α)(cos⁡β+isin⁡β)=(cos⁡αcos⁡β−sin⁡αsin⁡β)+i(cos⁡αsin⁡β+sin⁡αcos⁡β)

より、実部と虚部を取れば導くことができる。

脚注[編集]

  1. ↑ これに限らず、数学は何かしらの覚え方をマスターしておくべきである。(私論)
  2. ↑ この場合、tanについても「いちひくたんたんたんたすたん」と覚えられる。

関連項目[編集]