人生
人生(じんせい)とは、人間が、この世で生きていくことで、世の中で生きている間のこと。この世で生きている間に経験することなどである。人間の生活。人の生涯・命。
概要[編集]
2024年時点で、男性の平均寿命は81.04年、女性の平均寿命は87.14年となっている。[1]
人生は、乳幼児期から老年期までの段階(ライフステージ)として区分され、発達心理学や社会学(ライフコース研究)の対象となってきた[2][3]。人生の質や幸福は主観的幸福感や幸福度指標によって測られ、健康・人間関係・所得・人生の選択の自由との関連が研究されている[4][5]。人生の成功や晩年の幸福に何が関わるかは、ハーバード大学の長期にわたる追跡研究や、自己統制力・利他主義などを扱う心理学の実証研究の主題ともなってきた。
生活時間の大きな部分を占める労働のあり方も人生の質と関わる。テレワークや勤務時間の裁量といった柔軟な働き方は、仕事の自律性の高まりや仕事と家庭の葛藤の減少を通じて職務満足と関連することがメタ分析で、在宅勤務が勤務満足度を高め離職を減らしたことが無作為化比較試験で報告されている[6][7]。いっぽう国際労働機関は、柔軟な働き方が労働時間の長期化や仕事と生活の境界の曖昧化をもたらす場合があると指摘し[8]、日本では「人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」が仕事と生活の調和の目標に掲げられている[9]。
人生観[編集]
人間ひとりひとりが自分自身の人生や人間全般の人生について抱く諸観念を人生観という。
人生の段階[編集]
人の一生は発達や社会的役割に応じて段階に区分され、発達心理学では生涯の発達を出生前期から老年期までの8期に分けるのが一般的である[2]。エリク・H・エリクソンが1950年代に示した心理社会的発達理論は、生涯を、対立する2つの心理的傾向によって規定される8つの連続した段階として捉えた[10]。社会学では、個人の生涯を歴史的・社会的文脈の中で捉えるライフコース研究が1960年代以降に形成され、グレン・エルダーはその主題として、人間の生と社会変動の関係、生のタイミング、連結した(相互依存的な)生、人間の主体性の4つを挙げた[3]。
人生の長さの目安となる平均寿命は伸長しており、厚生労働省の簡易生命表によれば、日本では2024年(令和6年)に男81.09年・女87.13年である[11]。長寿化を踏まえて人生の設計を捉え直す議論も行われている。日本政府が2017年に設置した「人生100年時代構想会議」の中間報告は、人々が「教育・仕事・老後」という3ステージの単線型ではなく「マルチステージの人生」を送るようになると述べ、幾つになっても学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する必要があるとした[12]。
人生の質と幸福[編集]
詳細は「幸福」、「主観的幸福感」、「ウェルビーイング」を参照
人生の質や幸福は、心理学では主観的幸福感(subjective well-being)として研究され、生活満足・快感情・不快感情の成分からなるものとして扱われる[13]。エド・ディーナーらの総説によれば、その高さは良好な健康と長寿、良好な人間関係、仕事の成果と関連づけられている[4]。国際比較では世界幸福度報告が、自分の生活を0から10の段階で評価させる設問の3年平均によって各国の生活評価を示し、1人当たりGDP・社会的支援・健康寿命・人生の選択の自由・寛容さ・腐敗の認識の6変数が国ごとの差の4分の3以上を説明すると報告している[5]。
人生における自由や自律の感覚も、幸福の予測因子として研究されている。心理学の自己決定理論は、有能感・自律性・関係性という生得的な心理的欲求を挙げ、その充足を支える環境が内発的動機づけなどの自然な成長過程を促し、これらを妨げる環境は動機づけ・遂行・ウェルビーイングの低下と結び付くと論じた[14]。ロナルド・イングルハートらは、1981年から2007年の各国調査で52か国のうち45か国の幸福感が上昇したことを示し、経済発展・民主化・社会的寛容の拡大が人々の「自由に選択できる」という感覚を高めたことがその上昇につながったと分析した[15]。世界幸福度報告も「人生の選択の自由」を6つの説明変数の1つに含めており[5]、開発経済学ではアマルティア・センが『Development as Freedom』(1999年)で、開発を人々の自由の拡大として捉える見方を示した[16]。
こうした指標には限界もある。世界幸福度報告は6つの説明変数が相関を示すもので因果の推定ではないと注記し[5]、ディーナーらも文化によって重視される幸福の種類が異なると述べている[4]。
ハーバード大学での人生研究[編集]
- ハーバード大学で、行われた肉体的及び心理的な健康状態を追跡する研究が、75年以上かけて、総計700名ほどを対象に行われた。[17][18]
- この研究から得られる最も重要な結論は、ハーバード大のRobert Waldingerによると、質の良い人間関係こそが他の要素群を超えて、人生の幸福と健康に大きく作用していることである。[17]
「第1の人生」「第2の人生」「第3の人生」の3段階に分けられる。第1の人生はファーストエイジ、第2の人生はセカンドエイジ、第3の人生はサードエイジという。この考え方は、イギリスの社会学者、ピーター・ラスレットが提唱した人生の4段階説、3段階説に基づいている。
人生の各発達時期の年齢[編集]
これは1編集者の私見。(編集者:IP利用者)
- 少年=8歳~16、17歳
- 青年=15歳~26歳
- 壮年=27歳~50歳
- 中年=40歳前後~50代半ば(55歳以下)、または40歳以上~50代後半(59歳以下)
- 56歳~64歳=老年への過渡期、高齢への過渡期
- 高齢者=65歳以上
- 65歳~74歳=前期高齢者
- 75歳以上~=後期高齢者
その他[編集]
| これは1編集者の私見。(内容:老化について 編集者:IP利用者) この節では、一部不快となる表現が用いられている場合があります。お読みの際はご注意ください。 |
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人生で、年を取ると、老化度が重なり、身体・心身が古くなり、機能が衰え、顔が変わり、別人に見えた感じになる。人生の後半は、老化の時代で、脳の記憶力の衰えが見られる。特に人生の後半からは、若くなくなり、かわいくなくなり、老化の時代が訪れる時期、初老の時期となる。 人生の年代・世代を色と季節に換算することもある。レビンソンは、人生の年代を色と季節に換算して区分して、10代は春=思春期、20歳以上〜中年への過渡期は夏、中年〜老年への過渡期は秋、白秋、思秋期、老年を冬前期としてある。年齢の等分は、10代に入ってから4分割したものといえる。 |
働き方と人生[編集]
詳細は「テレワーク」、「ワーク・ライフ・バランス」、「フレックスタイム制」を参照
労働は生活時間の大きな部分を占め[19]、働き方は人生の各段階における生き方の選択に関わる。日本の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(2007年策定・2010年改定)は、調和が実現した社会を「子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義している[9]。国際労働機関(ILO)は2023年の報告書で、良好な仕事と生活の調和は職務満足の向上や雇用の安定感と結びつくとする一方、2019年時点で世界の労働者の35.4%が週48時間を超えて働いていたと報告している[8]。
働く時間や場所を選べる柔軟な働き方(フレックスタイム制・テレワーク・ハイブリッドワークなど)と生活の質の関係は、多くの研究の対象となってきた。ガジェンドランとハリソンは46件の研究(12,883人)のメタ分析(2007年)で、テレワークが知覚された自律性を高め仕事と家庭の葛藤を下げるという「小さいが主として有益な」効果をもち、職務満足や離職意向にも有益な効果があり、これらの効果は部分的には知覚された自律性を介していたと報告した[6]。無作為化比較試験では、ブルームらが中国のコールセンターでの9か月の実験(2015年)で、在宅勤務により業績が13%上昇し、勤務満足度が改善し離職率が半減したと報告し[7]、同じ研究者らは技術系企業での6か月の試験(2024年)で、週の一部を在宅とするハイブリッド勤務が職務満足を高め、離職率を3分の1減らし、その後2年間の業績評価と昇進に差がなかったと報告した[20]。勤務時間の裁量についても、ケリーらの職場単位の無作為化試験で、働く時間と場所の見直しを促す取組により仕事と家庭の葛藤が小幅ながら有意に改善し、労働時間が増した証拠は認められなかったと報告された[21]。
通勤時間の長い人は主観的幸福感が体系的に低いことが報告されており[22]、生活時間の配分にも違いが表れている。総務省の2021年(令和3年)社会生活基本調査では、平日にテレワークをしていた有業者の通勤・通学時間は4分(していない人は1時間7分)と短く、睡眠(7時間32分対7時間14分)や趣味・娯楽(35分対19分)の時間が長い一方、仕事の時間は8時間37分対8時間24分と長かった[19]。
研究は効果の限界や条件も指摘している。ガジェンドランとハリソンのメタ分析は週2.5日を超える高頻度のテレワークが同僚との関係を損なったとし[6]、ブルームらの2015年の実験では業績を統制した昇進率が低下した[7]。ILOの報告書は、テレワークについて労働時間の長期化や仕事と私生活の境界の曖昧化を不利益として挙げ、勤務時間の柔軟性については無償の家事・ケア労働の不均等な分担を強めるという批判を挙げつつ、効果を認めない研究は少数で、大勢の研究は勤務時間の柔軟性が労働者への便益を示していると述べている[8]。
同憲章は、目指すべき社会の姿として「就労による経済的自立が可能な社会」「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」「多様な働き方・生き方が選択できる社会」の3つを挙げている[9]。長寿化を踏まえた人生設計については、前述の人生100年時代構想会議がリカレント教育の抜本的な拡充を掲げている[12]。
外部リンク[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ https://kjournalwpx.wpx.jp/article/p=2635
- ↑ a b “発達段階”. コトバンク. 平凡社『最新 心理学事典』. 2026年9月8日確認。
- ↑ a b Elder, Glen H., Jr. (1994). “Time, Human Agency, and Social Change: Perspectives on the Life Course” (英語). Social Psychology Quarterly 57 (1): 4–15. .
- ↑ a b c Diener, Ed; Oishi, Shigehiro; Tay, Louis (2018). “Advances in subjective well-being research” (英語). Nature Human Behaviour 2 (4): 253–260. . .
- ↑ a b c d “Frequently Asked Questions” (英語). World Happiness Report. Wellbeing Research Centre, University of Oxford. 2026年9月8日確認。
- ↑ a b c Gajendran, Ravi S.; Harrison, David A. (2007). “The good, the bad, and the unknown about telecommuting: Meta-analysis of psychological mediators and individual consequences” (英語). Journal of Applied Psychology 92 (6): 1524–1541. . .
- ↑ a b c Bloom, Nicholas; Liang, James; Roberts, John et al. (2015). “Does Working from Home Work? Evidence from a Chinese Experiment” (英語). The Quarterly Journal of Economics 130 (1): 165–218. .
- ↑ a b c International Labour Organization 『Working Time and Work-Life Balance Around the World』 ILO、2023年、2, 13–14, 62–67, 134–135(en)。
- ↑ a b c “仕事と生活の調和とは(定義)”. 内閣府男女共同参画局「仕事と生活の調和」推進サイト. 2026年9月8日確認。
- ↑ Orenstein, Gabriel A. (2026年2月26日). “Erikson's Stages of Psychosocial Development” (英語). StatPearls(NCBI Bookshelf). StatPearls Publishing. 2026年9月8日確認。
- ↑ “令和6年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命(PDF)”. 厚生労働省 (2025年). 2026年9月8日確認。
- ↑ a b “人生100年時代構想会議 中間報告(PDF)”. 人生100年時代構想会議(首相官邸) (2017年12月). 2019年11月20日時点のオリジナル(リンク切れ)よりアーカイブ。2026年9月8日確認。
- ↑ Diener, Ed; Suh, Eunkook M.; Lucas, Richard E. et al. (1999). “Subjective well-being: Three decades of progress” (英語). Psychological Bulletin 125 (2): 276–302. .
- ↑ Deci, Edward L.; Ryan, Richard M. (2000). “The "What" and "Why" of Goal Pursuits: Human Needs and the Self-Determination of Behavior” (英語). Psychological Inquiry 11 (4): 227–268. .
- ↑ Inglehart, Ronald; Foa, Roberto; Peterson, Christopher et al. (2008). “Development, Freedom, and Rising Happiness: A Global Perspective (1981–2007)” (英語). Perspectives on Psychological Science 3 (4): 264–285. . .
- ↑ Sen, Amartya 『Development as Freedom』 Alfred A. Knopf、1999年(en)。ISBN 978-0-375-40619-5。
- ↑ a b https://www.inc.com/melanie-curtin/want-a-life-of-fulfillment-a-75-year-harvard-study-says-to-prioritize-this-one-t.html
- ↑ https://www.adultdevelopmentstudy.org/grantandglueckstudy
- ↑ a b “令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約(PDF)”. 総務省統計局. pp. 1–3 (2022年8月31日). 2026年9月8日確認。
- ↑ Bloom, Nicholas; Han, Ruobing; Liang, James (2024). “Hybrid working from home improves retention without damaging performance” (英語). Nature 630 (8018): 920–925. . .
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- ↑ Stutzer, Alois; Frey, Bruno S. (2008). “Stress that Doesn't Pay: The Commuting Paradox” (英語). Scandinavian Journal of Economics 110 (2): 339–366. .