中山奏琉
中山 奏琉(なかやま かなる、2003年〈平成15年〉[X 1] - 2025年〈令和7年〉10月12日[+ 1])は、日本のがん患者。X(旧Twitter)でのアカウント名はなかやま。通称グエー死んだンゴニキ、Twitter国葬ニキ。
生涯[編集]
北海道津別町出身。津別町立津別中学校ではソフトテニス部に所属、北海道大会で優勝し、第49回全国中学校ソフトテニス大会の個人戦に出場した[+ 2]。浪人を経て20歳で北海道大学の理系学部に入学。入学した動機は、父親が農業を営んでおり、農業機械の開発を志したため、と病床で高校時代の恩師に明かしていた[* 1]。
2023年(令和5年)10月、類上皮肉腫を患うと、北海道がんセンターに入院し[X 2]、抗癌剤投与や手術を受けて治療を続けた[* 2][* 3]。
2025年(令和7年)9月3日、Xのアカウントが凍結した[X 3]。9月7日、匿名メッセージサービス「マシュマロ」に投稿された「出来れば北海道のお悔やみ欄に名前載せて分かるようにして欲しい ツイート途絶えたとき確認するから」という質問に対して、「中山奏琉があるかどうか調べてくれ。札幌市東区な」と、本名を明かして調べるように返信した[X 4][* 3][注釈 1]。
10月10日11時58分、「多分そろそろ死ぬ」とポストした[X 9]。
10月12日、22歳で死去[+ 1]。10月13日18時、なかやまの友人と称する人物が、なかやまのアカウントで訃報を代理ポストした[X 10]。
なかやまの友人です。
以前よりこのアカウントを預かっておりましたので、代理でご報告いたします。
10月12日の夜、なかやまは静かに息を引き取りました。
このアカウントは、当面の間そのままにしておく予定です。
生前、応援していただいた皆様に心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
通夜は16日、告別式は17日、北見ベルコ会館で行われた[+ 1]。
没後[編集]
成仏してクレメンス[編集]
10月14日20時、なかやまのアカウントに、
グエー死んだンゴ
というポストがなされた[X 11]。生前に予約投稿していたとされる[* 2]。「グエー死んだンゴ」とは、2ちゃんねるの板の一つ「なんJ」で生まれたとされるネットスラングであり、「お前が死ぬんやで」などの暴言レスに対して用いられる、死ぬ間際の断末魔をコミカルに表現したもの[* 3]。「グエー死んだンゴ」へのお約束となるフレーズ「成仏してクレメンス」は人が亡くなった時の追悼の言葉としては、一般的に不適切だとみなされる表現であるが、今回の例に限れば「最もふさわしい追悼の言葉だ」という感想が大半を占め、多くが「成仏してクレメンス」と返信した[* 2][* 4]。
香典包んだンゴ[編集]
10月18日、Xユーザーの一人が「Twitterで見かけた故人のため」との理由を以て、「このニキに敬意を表してお香典包んだンゴ〜 成仏してクレメンス」と、香典と称して国立がん研究センター基金へ寄付したことを表明した[X 12][* 2][* 3]。これをきっかけとして、追悼に加えて寄付の表明も相次ぎ、小説家で医師の知念実希人も10月19日、
このような善意によるキャンペーンには全力で乗りつつ、拡散していくのが正しいSNSの使い方だと思っているので、
私も国立がん研究センター基金に寄付させて頂きました
若い方が亡くなるのは本当に哀しいです
とポストし[X 13]、同じく国立がん研究センター基金への寄付を表明した[* 3][注釈 2]。同日、精神科医の香山リカも「ネトウヨVAN祭り以来久々に流れに乗ってみたンゴ。本名での寄付でゴメンやで。サンキュー中山ニキフォーエバー中山ニキ」と呟き、同様の寄付を行ったことを表明した[X 16][* 3]。さらに、札幌市東区選出の札幌市議会議員の成田祐樹も、「香典代わりに」寄付を表明した[X 17]。国立がん研究センター基金のみならず、がん研究会には17日から件数が増え、21日までに累計1431件の寄付が寄せられ[* 5]、静岡がんセンターにも18日から21日までの4日間で40件超の寄付が寄せられた[* 6][注釈 3]。
また、ヘアドネーションをしたことを表明する人、骨髄バンクへのドナー登録を表明する人など、自身にできる貢献を模索する動きが拡大した[* 4]。
脚注[編集]
注釈[編集]
ツイート出典[編集]
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月4日). “03”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月4日). “北海道がんセンター”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月3日). “何で凍結すんねん!”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月7日). “中山奏琉があるかどうか調べてくれ。”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月3日). “中山奏琉”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月3日). “死ぬときは死ぬんだし気にしたら負けや”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月4日). “雰囲気らしいで”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年9月6日). “恥ずかしいよ〜////”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年10月10日). “多分そろそろ死ぬ”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年10月13日). “なかやまの友人です。”. 2025年10月24日確認。
- ↑ なかやま [@nkym7856] (2025年10月14日). “グエー死んだンゴ”. 2025年10月24日確認。
- ↑ カシシ [@the_m_r_p] (2025年10月18日). “このニキに敬意を表してお香典包んだンゴ〜”. 2025年10月24日確認。
- ↑ 知念実希人 [@MIKITO_777] (2025年10月19日). “このような善意によるキャンペーンには”. 2025年10月24日確認。
- ↑ 知念実希人 [@MIKITO_777] (2025年10月21日). “まだ善意の寄付の波が続いているので、個人的にがん研究への寄付をおかわりしました”. 2025年10月24日確認。
- ↑ 知念実希人 [@MIKITO_777] (2025年10月22日). “1人の青年の悲劇から始まった、この善意による寄付の連鎖を少しでも長引かせるため”. 2025年10月24日確認。
- ↑ 香山リカ [@rkayama] (2025年10月19日). “ネトウヨVAN祭り以来久々に流れに乗ってみたンゴ。”. 2025年10月24日確認。
- ↑ 成田祐樹 [@naritayuki] (2025年10月19日). “グエー死んだンゴ・ニキこと、なかやまさん。”. 2025年10月24日確認。
ウェブサイト出典[編集]
- ↑ a b c “2025年10月15日掲載分 お悔やみ情報”. 北海道お悔やみ情報. 2025年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年10月24日確認。
- ↑ “第49回全国中学校ソフトテニス大会 男子個人戦(PDF)”. 日本ソフトテニス連盟. 2025年10月24日確認。
ニュースサイト出典[編集]
- ↑ 渡辺恒平 (2025年10月22日). “「グエー」、臨終のユーモアがネット揺さぶる◆死の間際に投稿予約?がん研究機関に「香典」続々”. 時事通信. オリジナルの2025年10月22日時点によるアーカイブ。 2025年10月24日閲覧。
- ↑ a b c d “「グエー死んだンゴ」8文字からの寄付の輪 遺族「がん研究進めば」”. 朝日新聞デジタル. (2025年10月22日). オリジナルの2025年10月12日時点によるアーカイブ。
- ↑ a b c d e f “生前の予約投稿で「グエー死んだンゴ」 ネット民哀悼「成仏してクレメンス」、医療機関に「お香典」続々...有名医師も”. JCASTニュース. (2025年10月20日). オリジナルの2025年10月23日時点によるアーカイブ。
- ↑ a b “辞世のX「グエー死んだンゴ」3億表示超え、「香典包んだンゴ」で寄付2万件超 「成仏してクレメンス」ムーブメント続く”. ITmediaNEWS. (2025年10月23日). オリジナルの2025年10月23日時点によるアーカイブ。
- ↑ “「グエー死んだンゴ」「香典代わりに」 がん患者最期の投稿きっかけ、研究拠点に寄付殺到”. 産経ニュース. (2025年10月22日). オリジナルの2025年10月23日時点によるアーカイブ。
- ↑ “闘病つづったX投稿者「死んだンゴ」⇒ネット民「成仏してクレメンス」 医療機関への“香典”の波…静岡がんセンターにも届く”. 静岡新聞DIGITALweb. (2025年10月23日). オリジナルの2025年10月24日時点によるアーカイブ。
- ↑ “闘病つづるXで「死んだンゴ」⇒ネット民「成仏してクレメンス」…“香典”の波は静岡がんセンターにも”. 静岡新聞. (2025年10月24日). オリジナルの2025年10月24日時点によるアーカイブ。