不完全性定理

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不完全性定理(ふかんぜんせいていり、: inconsistency theorem)とは、ある理論不完全性を主張する、数理論理学の定理である[1]。普通、断りなしに「不完全性定理」と言ったときはゲーデルの不完全性定理を指していることが多く、ここでもそれについて解説する。

ステートメント[編集]

ゲーデルの不完全性定理は、第一不完全性定理と第二不完全性定理からなり、それぞれ

  • (第一不完全性) :ある程度の算術を含む無矛盾で再帰的な理論には、証明も反証も不可能なが存在する。
  • (第二不完全性) :算術を含む無矛盾で再帰的な理論は、自分自身の無矛盾性を証明できない。

と表現される。

よくある誤解[編集]

ゲーデルの不完全性定理は、しばしば「人間の理性の限界を示している」「科学は全ての真理には到達できない」といった旨の主張の理由付けとして濫用されることがある。しかし、こうした濫用の多くは、定理の前提条件を見落としていたり[2]、専門用語をその定義と異なる意味で解釈していたりする場合が多い。実際には、不完全性定理はそうした主張とは関係がない。

上記の「不完全」「無矛盾」「算術」「理論」「証明」「文」などの単語はすべて数理論理学の専門用語として厳密に定義された意味を持つので、辞書的な意味、ましてやウィクショナリーで調べた意味などを当てにしてはならない。

あまり色々書くとボロが出るので詳しくは各自参考文献などで学習していただきたい。

歴史[編集]

不完全性定理は1931年にクルト・ゲーデル[3]が「プリンキピア・マテマティカおよび関連した体系の形式的に決定不能な文について: その1」(独: Über formal unentscheidbare Sätze der Principia Mathematica und verwandter Systeme I)と題する論文で発表した。この論文では第一不完全性定理が適用可能な理論の条件に「ω無矛盾」が含まれていた。これを単なる「無矛盾」に弱めたのは1936年[4]のロッサーの仕事である。

また上記論文では第二不完全性定理の証明は概略のみにとどまり、詳しくは近日発表の「その2」で書かれるとされていたが、結局その2が出版されることはなかった。初めて証明を完成させたのは1939年のヒルベルトとベルナイスである。より詳しくは[5]など参照。

脚注[編集]

  1. 正確にはメタ定理である。
  2. 特に「(ある程度の)算術を含む」という条件が見落とされがちである。
  3. 魔法先生ネギま!とは関係ない。というかたぶんこっちが元ネタ
  4. Barkley Rosser (September 1936). “Extensions of some theorems of Gödel and Church”. Journal of Symbolic Logic 1 (3): 87-91. doi:10.2307/2269028. JSTOR 2269028. https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-symbolic-logic/article/abs/extensions-of-some-theorems-of-godel-and-church/0461E34DC1F219C459EE84CC2FA89068. 
  5. 倉橋太志. “第二不完全性定理について”. 2022年12月4日確認。

参考文献[編集]

  • 廣瀬健・横田一正『ゲーデルの世界 -完全性定理と不完全性定理-』海鳴社
  • 菊池誠『不完全性定理』共立出版 - 第1章と第9章は数学的な話ではない
  • 照井一成『コンピュータは数学者になれるのか? 数学基礎論からプログラムと証明の理論へ』青土社
  • 結城浩『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』SBクリエイティブ - 読み物だが評価が高い