リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル
リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル(フランス語: Lièvre à la royale、英語: Hare à la royale)は、フランス料理の1つ。料理名を日本語に直訳すると「王家の野ウサギ」となる[1]。野うさぎの王様風とも呼ばれる[2]。
「ジビエ料理の最高峰」、「フランス料理の特徴が凝縮された料理」とも称される[1]。
概要[編集]
野ウサギ1匹の中に豚肉、フォアグラなどを詰めて、煮込んだ料理である。準備に約10日かかることもあり、「忘れられた料理」とも言われていたが、伝統料理の見直しが行われたことによって、再び関心が高まっている[1]。
歴史[編集]
フランス国王ルイ14世はジビエ料理が好きだったが、高齢のため歯が抜けてしまい、ジビエ肉を食すことが困難になった[1][2]。そこで、ルイ14世は歯が抜けた自分でも楽しめるジビエ料理を料理人に考案させ、硬くなりがちな野ウサギの肉を手間ひまかけて柔らかくするリエーブル・ア・ラ・ロワイヤルが考案された[1][2]。
別の説では、冷蔵庫がまだ開発されていなかった時代に野ウサギの肉を保存するために生み出された料理であり、野ウサギの狩猟時期がワインの発酵の時期と重なっていたことから、赤ワインに野ウサギの肉を漬け込むようになったのが始まりとされる[2]。
レシピの例[編集]
ジビエ料理であり、野ウサギを捕る必要があるため、秋から冬にしか提供されない[1]。
料理法はシェフによっても異なるが、おおむね以下のような手順となる[1]。
- 野ウサギを約1週間つるして肉を緩ませる。
- 野ウサギを皮をはいで骨を取り除き、ハーブなどに漬け込む。
- 野ウサギに詰め物を詰め、円柱状に形を整える。
- 野ウサギに火入れする。数日かける。
- スライスして提供する。
現代のレシピ[編集]
レシピは、さまざまなシェフが手掛けており、それによってレシピ開発も進んだ[2]。現在のレシピは以下の3つのスタイルに大きく分けることができる[2]。
いずれのスタイルも野ウサギ肉を大量の赤ワインに漬け込み、コニャックなどの高級なアルコールやフォアグラなどをソースに使うため、食材原価だけでも高額な料理になる[2]。
アリバブ風[編集]
野ウサギの背中の肉以外の部位の肉、フォアグラ、トリュフなどで詰め物(ファルス)を作り、背中の肉で巻き込んで煮込む[2]。
アントナン・カレーム風とも呼ばれる。
クトー上院議員風[編集]
赤ワインや香味野菜と煮込んだ野ウサギの肉をほぐして提供する[2]。ナイフを使わず、スプーンで食べるのが特徴である。
「クトー上院議員」とはAristide Couteaux(1835年 - 1903年)のことで、この調理法の考案者でもある。
後にジョエル・ロブションやポール・ボキューズが得意とした。
インペリアル風[編集]
リヨン近郊にあるレストラン「ポール・ボキューズ」で提供されていたスタイル[2]。
野ウサギを丸ごと煮込んだものをテーブルに置き、客はそれぞれに好きなように取り分けて食べる[2]。
脚注[編集]
外部リンク[編集]
- Lièvre à la royale - Wikipediaフランス語版